ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

信念と精神の悪戦苦闘

「……もういい、神治に任せていれば、日が暮れる。……リト、撃つんだ!!」
「駄目だ」
「……何を言ってる? 撃てと言ったら撃てよ。上司命令だぞ」
「それでも、駄目だ」
「――貴様、裏切る気か?」
「あいつの気持ちを考えたことがあるのか。ねえちゃんは」
「……なんだと?」
「恐らく、あいつは苦しんでる。……ほかの誰よりも」
「そんなことは知っている!! お前よりは少なくとも……!」
「ならさ、今あいつが受けてる状況はどうよ?」

 その言葉を聞いて、姉ちゃんは言葉を失った。だろうな。もし苦しんでることを知ってるなら、あんな感じにはならないだろうし。

「……リト。撃って」
「祐希?」

 祐希、上目遣いでそう言わないでくれ。お前が男か女か本気で解らなくなる。

「……撃ったら、彼は解放される。ヒギツネノミコトはただ心理攻撃をしているに過ぎない」
「でも……!」
「仮にそれで彼が死んでも、シカタナイこと」
「シカタナイ……だと?」
「ここは宮内庁神霊班。そういうことが起きてもおかしくないし、むしろそういうことを取り扱う部署なんだから、それには死を怖がらない心で立ち向かわなくちゃいけない。……だから、死を怖がる人間はこの部署には必要ないの。用無しよ」

 俺は久しぶりに会った親友にそんなことを言われるなんて思わなかった。誰が……いや、もともとこうだったんだ。
 俺と祐希は生まれた時から、こういう職業につくことは決まってたんだ。
 だって、祐希は四分家でも最大の勢力河上家の御曹司、河上祐希だから。

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