ルームメイトが幽霊で、座敷童。
人間とカミサマの利害一致
夜の街は静かだが、それでも街そのものを照らすネオンはきらびやかだ。ある街じゃ宝石箱とも名付けてそれを売りにしてるらしいが、なるほどそれも頷ける。
今の時期が曖昧になりそうなくらい中途半端な気温が続いてるもんだから俺はジャケットを持ってったのだが、まさかの気温に裏切られる大惨事に見回れた。すげぇ暑い。何でだよと俺はカミサマに怒鳴り付けたい気分だが、なんでも隣には雷神を神憑きさせた人間がいるからな……。ほんとにそんなことしたら身体がいくつあっても足りやしない。
「着いたよ、ここだ」
「……ここって確かケーブルテレビ局じゃないの?」
「偽装してんのよ。馬鹿正直に『宮内庁神霊班支部』なんて書けっこないじゃない」
「……まぁ、確かにそっか」
俺はそういうわけで(あくまでも言っとくが実際に解ったわけじゃないぞ?)宮内庁神霊班支部……もといケーブルテレビ局に入ることとした。まぁ、ねむいからもうどうでもいいか……。
「ここの七階が会議室だがオフィスでもある。そこに神霊班のみんなはいる訳でな」
「まさかほんとにテレビ番組作ってるわけじゃないよね?」
「そこはちゃんとしてるから安心しろ。テレビ局の人間に紛れて神霊班の人間がいるって訳だから」
「何をおっしゃってるんだかさっぱり! 要は姉ちゃんも一応テレビ局員なの?!」
「うん、チーフディレクター」
「しかも中々にいい地位だなおい!」
漫才みたいに周りからは見えるらしいが俺はそうとは思えない。というか思いたくない。だが何故か周りはそう思ってるんだよなあ。まったくもって理解に困る。
「……エレベーター乗るよ」
「へいへい」
そうこう言ってるうちにエレベーターがぴんぽーんと鳴らしたので、いざドアの前に陣取り扉が開くのを待った。――誰もいるわけないと勝手な期待を抱いてた。
んで、扉が開くと――そこには予想外の光景が広がってたわけだ。
「おかえりなさい、副班長」
「……あんた局内では局の地位で呼べって言ったよな?」
そこにいたのはゴスロリの黒いドレスを着た綺麗な少女だった。美少女っていう称号は彼女のためにあるんじゃねぇかと思ったほどだ。なんていうか……触ったら崩れちゃいそうなほど繊細に出来てる人形みたいな、そんなかんじ。生きてる人間が出せる美しさにゃ到底思えなかったんだ。
「ようこそ、リト!」
「……なんで俺の名前を?」
「やだなぁ、幼稚園の頃からの親友だろ?」
まさか。
「……おい、まさか……祐希?」
その言葉にゴスロリ少女もとい祐希ははっきりと頷いた。……いったい誰があの祐希をこんなことにさせたんだろうか? 俺はシャーロックホームズのような灰色の脳細胞は持ってないから推理なんて出来っこなかった。
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