東方魔人黙示録

怠惰のあるま

告白戦争:戦況変化


なんとか地上にまで逃げることに成功した。そして、嬉しいことに全身を動かせるようになった。これで自分の足で逃げれるぞ。
そんなわけで金眼を俺の中に戻す。

「それでは主。頑張ってください」
「あいよ。ああそうだ...紫眼に後で覚えとけと言っておいてくれ」
「御意」

金色の煙と共に金眼はその場から消えた。さぁてと...逃げ場のない地底から逃げてきたわけですが安心の出来る場所はどこにあるかね。
絶対にないと思うが逃げながらでも探そう。

「行くぞパルスィ」
「その前に...あれを相手にしないといけないようね」

パルスィの見つめる先には大量の虫が飛び交っていた。どう見ても毒を持っていそうな虫が目に見えて多かった。
ここに来て出てくるかね。リグルさんよ。

「久しぶりです。お二人さん」
「ようリグル...随分と危険な歓迎だな?」
「歓迎しているように見えますか?」
「ぜぇんぜん」
「なら...覚悟してね?」

リグルを守るように虫の大群が彼女の周りを飛び壁を作った。

「蠢符 リトルバグストーム!」

下手な壁よりも分厚く頑丈な蟲達の壁は現在進行形でさらに頑丈に仕上がっていく。これって壊さないといけないんですよね?かったるいなぁ....
しっかし!俺は頑張るぞ。

「感情 アルマーニイレイザー!」

青色のレーザーが蟲達の壁に直撃。大きな穴が開きリグルの姿が見えた。だが、すぐに穴は閉じてしまった。修復能力がずば抜けてやがんな。
もう一度、魔力を集中させ撃ち放つが無駄に魔力を消費させるだけであった。

「昔っからかてぇなぁ!!この壁わよぉ!」
「はぁぁ...妬ましいわ...」
「僕だっていつまでも弱いままじゃないですよ!!蛍符 地上の彗星!」

蟲達の壁が避けたと思うとリグルが勢い良く飛んでキックをかます。ギリギリで防ぐが突然の攻撃であったため完璧に防ぐことは叶わず、後ろに吹っ飛ばされてしまった。

「アルマ!」
「ふっふっふ!僕だってやるでしょう?」
「イッテェな...クソッ!俺に本気を出させるなよ!めんどくせえだろ!!」
「別に本気でいいんですよ〜?」
「いいんだな...?」

大人気ないと思うが俺は本気を出そうと思う。

「感情《感情解放・暴食》!」

七つの大罪の一つである暴食の罪を解放する。急激な空腹感に襲われるが致し方ない。
ツノから暴食の色である紫色に染まる炎を噴出し、炎と化した舌を口からダラリ...と出した。
あまりにも空腹のため...リグルがご馳走に見える。

「腹減った...」
「あ、あの...僕を見てヨダレを垂らしてます...?」
「クワセロ......」
「ひっ!?」

蟲の壁を作り、俺から距離を取るリグルだったが今の俺にはどんなものもご馳走だ。
バクンッ!!
そんな擬音が似合いそうなほど大きく口を開けて蟲の壁を喰らった。硬い蟲や柔らかくブニョブニョした蟲がいたためか、いろんな食感が俺の口の中に広がる。
いつもの俺なら吐いているが今は違う。

「ウマイナァ......」
「む、蟲達が...!!」
「お前は...喰い甲斐がありそうだ...!」
「ま、待って...!!」

逃げようとするリグルだったが腰に力が入らず、ペタンと地面に腰をついた。
一歩足を踏み出し、リグルを喰らおうとした俺をパルスィが背後から攻撃を与える。

「やりすぎ」
「グヘッ...ああ悪い。久々に解放したもんだから空腹に理性を奪われちまった」
「全く...リグル大丈夫?」
「は、はい...」

優しく手を差し伸べ、リグルを起き上がらせるパルスィ。

「そんでどうするかねぇ...」
「リグルで最後だと思うけど幽香たちがいつ来るか...」
「そのことについては大丈夫だかと...」
「え?」

そうですよね?さとり様?

【もちのろんですよ。映姫さんは私と強欲君が、花の大妖怪は勇儀と怠惰君が相手をしてますよ】

うん。絶対安全だわ。
パルスィもさとり様に心話を受け取っているようで納得していた。リグルにも届いていたのか、驚いた表情を見せている。

「今回は諦めるしかないっすね...」
「お前らいつも思うが...タイミングよく邪魔をしすぎじゃないか?」
「へ?僕達はパルスィさんを邪魔しにきたんすよ?なんでアルマを......ああ、そうゆうことっすか」

あの、一人で自己完結するのやめていただけます?

「今回は本当に諦めるっす。これから二人も止めてきますから安心してください」
「え?お、おう」
「ありがとうリグル」
「いえいえ...」

少し寂しそうな笑顔を残し、リグルは地底への入り口に入っていった。どこか釈然としないが...難を逃れたと言っていいのか?
うん。よしとしようか。

「さてっと...どこに向かおうか」
「......ねぇ行きたいところがあるの」
「行きたいとこ?」
「うん...無縁塚」



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