東方魔人黙示録

怠惰のあるま

こんな日常

幻想郷の地下深く、地底と呼ばれる場所。
その奥地に存在する旧都。そこで喧嘩をする兄妹がいた。
妹の名は鬼人正邪。天邪鬼と呼ばれる種族で最近指名手配をされて追われていたが、今は地霊殿に匿われている。
そして、兄の名は桐月アルマ。悪魔と人間の血が流れる魔人。曽祖母が天邪鬼であったため天邪鬼の血が少し流れている。
さて、なぜこの二人は喧嘩をしているのか。
壱から説明するために始まりから話そう。


△▼△


朝、地霊殿は主である古明地さとりが一番に起きる。屋敷に住んでいる動物達の散歩のためだ。
彼女は散歩のついでに旧都を歩いて知人を起こしに行く。
最初に起こすのは星熊勇儀。山の四天王と恐れられていた彼女は朝早くから特訓をしていた。
そのためにさとりに起こしてもらっている。
今日も元気に特訓を開始する勇儀を見送りさとりは次の知人の元へ行く。
勇儀を起こしたら、今度は地上へ続く入り口付近に巣を作る地上で恐れられた妖怪。土蜘蛛の黒谷ヤマメを起こす。
朝早く起きて地上にいる友達と遊ぶためだそうだ。
散歩を終えて地霊殿に戻ると居候中のナズーリンと水橋パルスィが起き、朝食の準備をする。
さとりは縁側でお茶をすすりながら朝食の用意ができるまで待つ。
その間にアルマが起きてくる。

「あら、おはようございます」

寝起きのため喋りはしない。
コクン、と頷き心で挨拶をし顔を洗いに行く。
それがアルマの日課である。
その後をついて行くように正邪が歩く。地霊殿に匿われてから兄にベッタリとなった。今まで一人で逃げていたのもあるのだろう。
朝食が並べられた居間に全員が揃い
『いただきます』
と言い朝食を食べる。
食べ終わるとそれぞれ仕事に行ったり、遊びに行ったりする。
アルマはパルスィについて行こうとするが、正邪に止められ旧都を一緒に歩くことになった。
まあ、パルスィに言われなければ一緒に行動してはいなかっただろう。

「たまには妹といなさいよ」
「そうだぞバカ兄貴!」
「はぁぁ...わかりました。ほら行くぞ正邪」

やあ、みんな。
俺だ。今、義妹と一緒に旧都を歩いている。
パルスィと地上デートの時に匿うこととなり、成り行きで兄妹になった。
まあ、なんだかんだでいい妹だ。料理も覚えようとする姿勢もあり、家事はなんだかんだででき、自慢できる妹。
バカってつけられてるのが癪だが。

「なぁなぁ、バカ兄貴」
「あのさ。バカってつけるのやめて?」
「ん?嫌だ?」
「嫌に決まってるだろ!バカと呼ばれて喜んでくれると思ったか!?」
「仕方ないなぁ...まったくわがままな兄貴だよ」

俺が悪いんですか?
天邪鬼だからってまとめておこう。考えるのもめんどくさい。
こいつ地霊殿に置いてパルスィのところに行っちゃダメかな。

「ほら行こう!」
「......はぁぁ、わかった」

元気に前を歩く正邪が誰かを見つけると元気に手を振る。

「あ、勇儀だ。おーい勇儀ぃ!」
「なぜ呼ぶ!?」
「おっ!アルマと正邪じゃないか。ちょうどよかったお兄ちゃん借りるぜ?」
「いいよ!」
「おい!勝手に承諾するんじゃねぇぇぇ!!」

俺の叫びは虚しく旧都に響いた。





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