東方魔人黙示録
叔父
これで一件落着と言いたいところだが、まだこいつがいる。グースが目を覚ましたのだ。
「起きたか」
「ああ、というかずっと起きてたぜ?」
「そうかよ」
「まあ、俺の負けだ。魂だけの存在になってるし、このまま消えるとしよう」
グースの体はもう消えかかっていた。
なんかまだ引っかかることがあるんだよな。
「なんでお前は俺を乗っ取った?」
「何言ってるの?貴方の力が欲しかったからでしょ?」
「・・・・いいや、違う。こいつの力を手に入れようとしたんじゃねえ。制御してやろうと思ったのさ」
やはりな。俺の力が前よりも安定している。前は本気を出そうとしてもうまく扱えなかったが今はちゃんと扱える。さっきみたいに敵をなぎ倒すことも余裕でできる。こいつは最初っから俺の身体を返すつもりだったんだな。なんか兄弟揃って癪なことしやがる。
「悪いな」
「気にするな。甥っ子を心配してる叔父がいても不思議じゃないだろ?」
「叔父か・・・・あんたは親父をどう思っていたんだ」
もう消えかけのグースの顔はその質問に、少々驚いていたがすぐにバカにしたような顔になり、質問に答えた。
「マイペースな優男で、自慢の兄だ」
満面の笑みになったグースはどことなくアニマにそっくりであった。
グースの体は完全に消滅し、同時にアルマは意識を失い地面に崩れ落ちた。
目を開けるとそこは地霊殿の天井だった。どうやら、また寝込んでしまったようだ。仕方ないか、本気を出せるようになったとは言え調子に乗って弾幕を撃ちまくればガス欠になるのも当たり前だ。起き上がれないし、身体動かしたいよ。手は辛うじて、何か物が乗ってて動かせない。見るとその乗っかっている物の正体はパルスィだった。寝息を立てて寝ているけど、なんでここで寝たの?頼むから起きてぇさとりさーん。
「なんでしょうか?」
「さっすがさとりさん。心の声を聞いてくれるとは」
「呼ばれてしまってはね。それで助けて上げたいですが、パルスィの気持ちも考えて上げてください。この子はずっと貴方のことを看病してたのですよ」
「そうだったのか。それで、俺どんぐらい寝てた?」
「丸々一ヶ月です」
待て、俺は一ヶ月も寝てただと、じゃあ、食事とか・・・・は大丈夫か。だからこんなに腹が減ったのか。さっきから腹がなって気持ち悪い。
「もう少しお待ちください。今、朝食の準備をしますので」
「朝なんだ」
「パルスィが起きるまで寝ててくださいね」
なるほど、俺がパルスィに手を出せないことをわかった上で、こうゆう状況にしたってことか。これは最強の拘束具だぜ。
「まあ、そうゆうことです。それではごゆっくり」
そう言って笑顔で部屋から出て行きました。全く、抜け目ないな。寝よう
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