僕と狼姉様の十五夜幻想物語 ー温泉旅館から始まる少し破廉恥な非日常ー
20節ー休憩ー
しばらく葉月さんと一緒に作業して汗を流してたんだけど……。
葉月さんは伊代姉の弟であるところの僕がすごく気になるみたいでひっきりなしに話しかけてくる……。
ほんとためらいなくずかずかと踏み込んでくるよー。
東京で彼女とかできなかったのかとか、伊代姉といつも何話してるのとか
……もうほんといろんなこと話した気がする。
でも全く嫌な気持ちにならなかったのはやっぱり面倒見が良くて嫌味のないさばさばした性格だからこそだろうな。
下心なく単純に聞きたいから聞いてる感じがして話しやすいんだと思う。
「よっと……。千草それこっちじゃね?」
「あ、ほんとだ。ありがとーはづきん」
「さっさと終わらせてちっときゅーけーしようぜ。流石にお疲れだし。なんか飲む? おごっちゃる」
「ほんと? じゃあスポーツドリンク欲しいなー」
「任せろ」
と、一度きりのいいところで一旦作業をやめて木陰の下で休憩を取ることに。
もうお互い名前で呼ぶくらい打ち解けちゃって……。
「ほら、つめてーぞ」
「ありがとー」
はづきんから某青いスポーツ飲料の缶を受け取って首に当てる。ひやっこくて熱くなった体によく染みた。
「それにしても男に告白された話はココイチ笑ったわ。可愛すぎじゃね」
「僕が男だってわかってるのにそれなんだもの、ほんと困っちゃった。東京にはいろんな人がいるんだねー」
「いやもうほんと伊代の弟とは未だに信じられてねーし。伊代の弟ってもうマジのイケメンかと思ってたわけよ。ほら、伊代の男バージョンイメージしたらさ」
「まあ……そうだよね。あんまり似てないんだー」
「姉弟似てたって別にいいことないからいいじゃん。うちと一真も似てねーっしょ?」
そう言って葉月さんはけらけらと笑う。
一真と葉月さんは姉弟だけど、両親が離婚してて……お父さんに育てられてるのが一真、お母さんに育てられたのが葉月さんなんだ。
伊代姉にそれを聞いたときはびっくりしたなあ。
「一真は言うこと聞かねー奴だからさぁ。うちの弟のイメージってあんまりよくないわけよっと……おお、どえらい美人がこっち見てるぞ」
「どえらい……?」
「ほれあっち」
葉月さんが指差す方を見るときちっと黒い着物を着た黒髪で赤い瞳の妖艶な美女が手を小さく振って……って。あれ。
「銀露……? と、夜刀? 葉月さん僕ちょっと行ってくるね」
「おー、知り合い?」
「そんな感じ!」
と、僕は葉月さんの元を離れて、僕の様子を見に来たであろう銀露たちのところへ走った。
「おお、随分汗をかいたみたいじゃの」
「もう乾いたんだけどな。匂いでわかっちゃうか。臭い?」
「臭いわけなかろ。たまらん匂いじゃ……」
黒髪の銀露がとろんとした目で僕の首筋に手を這わせてきたんだけど……。
「おい銀狼、こんなところで盛るな! まったく節操なしにもほどがありんす」
「やかましい。わかっておるわ……」
僕は自分の腕とか服とか嗅いでみたけど……そんな汗臭いって感じじゃないはず。たぶん。
でも銀露の嗅覚はごまかせないみたい。
「銀露髪どうしたの? 真っ黒!」
「あまり目立つとぬしに迷惑がかかるからの」
「わっちが黒くしたのじゃ。なかなか悪くないと思いんす」
葉月さんは伊代姉の弟であるところの僕がすごく気になるみたいでひっきりなしに話しかけてくる……。
ほんとためらいなくずかずかと踏み込んでくるよー。
東京で彼女とかできなかったのかとか、伊代姉といつも何話してるのとか
……もうほんといろんなこと話した気がする。
でも全く嫌な気持ちにならなかったのはやっぱり面倒見が良くて嫌味のないさばさばした性格だからこそだろうな。
下心なく単純に聞きたいから聞いてる感じがして話しやすいんだと思う。
「よっと……。千草それこっちじゃね?」
「あ、ほんとだ。ありがとーはづきん」
「さっさと終わらせてちっときゅーけーしようぜ。流石にお疲れだし。なんか飲む? おごっちゃる」
「ほんと? じゃあスポーツドリンク欲しいなー」
「任せろ」
と、一度きりのいいところで一旦作業をやめて木陰の下で休憩を取ることに。
もうお互い名前で呼ぶくらい打ち解けちゃって……。
「ほら、つめてーぞ」
「ありがとー」
はづきんから某青いスポーツ飲料の缶を受け取って首に当てる。ひやっこくて熱くなった体によく染みた。
「それにしても男に告白された話はココイチ笑ったわ。可愛すぎじゃね」
「僕が男だってわかってるのにそれなんだもの、ほんと困っちゃった。東京にはいろんな人がいるんだねー」
「いやもうほんと伊代の弟とは未だに信じられてねーし。伊代の弟ってもうマジのイケメンかと思ってたわけよ。ほら、伊代の男バージョンイメージしたらさ」
「まあ……そうだよね。あんまり似てないんだー」
「姉弟似てたって別にいいことないからいいじゃん。うちと一真も似てねーっしょ?」
そう言って葉月さんはけらけらと笑う。
一真と葉月さんは姉弟だけど、両親が離婚してて……お父さんに育てられてるのが一真、お母さんに育てられたのが葉月さんなんだ。
伊代姉にそれを聞いたときはびっくりしたなあ。
「一真は言うこと聞かねー奴だからさぁ。うちの弟のイメージってあんまりよくないわけよっと……おお、どえらい美人がこっち見てるぞ」
「どえらい……?」
「ほれあっち」
葉月さんが指差す方を見るときちっと黒い着物を着た黒髪で赤い瞳の妖艶な美女が手を小さく振って……って。あれ。
「銀露……? と、夜刀? 葉月さん僕ちょっと行ってくるね」
「おー、知り合い?」
「そんな感じ!」
と、僕は葉月さんの元を離れて、僕の様子を見に来たであろう銀露たちのところへ走った。
「おお、随分汗をかいたみたいじゃの」
「もう乾いたんだけどな。匂いでわかっちゃうか。臭い?」
「臭いわけなかろ。たまらん匂いじゃ……」
黒髪の銀露がとろんとした目で僕の首筋に手を這わせてきたんだけど……。
「おい銀狼、こんなところで盛るな! まったく節操なしにもほどがありんす」
「やかましい。わかっておるわ……」
僕は自分の腕とか服とか嗅いでみたけど……そんな汗臭いって感じじゃないはず。たぶん。
でも銀露の嗅覚はごまかせないみたい。
「銀露髪どうしたの? 真っ黒!」
「あまり目立つとぬしに迷惑がかかるからの」
「わっちが黒くしたのじゃ。なかなか悪くないと思いんす」
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