僕と狼姉様の十五夜幻想物語 ー温泉旅館から始まる少し破廉恥な非日常ー
19節ー癒しの時間ー
「……」
「流石にしっかり怒られたみたいね。銀ちゃんが探しに行ってくれたから良かったものの、下手したら警察に捜索届け出しに行く勢いだったのよ」
「ごめんなさい……」
こ……ってり絞られたあと、僕は伊代姉の部屋に行った。別に慰められたいわけじゃなくて、伊代姉にも心配かけただろうから謝りにきたつもりだったんだけど……。
落ち込んでる僕を見かねて膝枕してあげると言われ、その優しい言葉に甘んじてしまった。
伊代姉の膝柔こくてあったかい……。
「もう高校生だし、そんなに厳しくしなくてもいいとは思うけれど……。あ、丁度いいわ。耳掻いてあげる」
「えっ、ほんと!? ぅーんでもいいよ。もう遅いし……伊代姉も疲れてるでしょ」
「大丈夫よ、明日休みだし。昔はよくしてあげてたわよねーっと……」
伊代姉はただ膝枕するのに飽きたのか、手近にあった細い耳掻き棒を取って僕の耳にあてがった。
確かに昔は伊代姉によく耳掻きしてもらってたっけ。めちゃくちゃ上手いんだこれが!
さっきまでの非日常の中にいたからぐっと日常に引き戻される感じがする……。
「また変なところ行ってたんでしょ。あんまり心配かけちゃだめよ?」
「うん。でもすごいところだったんだよ。何がすごいかと言われると……うーん……言いづらいけど」
かりかり……かりかり……細くて薄めの耳掻きが乾燥した耳垢をこする音がする。
伊代姉は耳掻きに集中しつつも思っていることを僕に話しかけてくれていた。
「あ、ここ溜まってるわね……」
かりっと音がして、伊代姉がふぅと達成感からでる息をつく。
「あんたももう高校生だし、ある程度の夜遊びはいいって母さんも言ってるけれど……ちゃんと連絡はしないとダメでしょ」
電波が繋がらなくてどうにもならなかったんだけど、それももう言い訳だよね……。
素直に謝っとかないと……。
あー、耳掻ききもちいー……。
「ねえ千草」
「んーなにー?」
「銀ちゃんとばっかり遊んでないで、私とも遊んで欲しいんだけどー?」
「伊代姉は部活で忙しいでしょ?」
「今は試合前だからちょっと忙しいけれど……それでも遊べないってほどじゃないわよ」
じゃあ暇な時一緒にどっかいこ……と言ってから僕はふと思い出す。
「そういえば神谷先輩とはどーなの?」
「どーなのってなによ」
「いや、なんだか神谷先輩、伊代姉のこと気になってたみたいだったから……ほら、誰から見ても神谷先輩ってモテそうだし、実際すごい人気者なんでしょ?そんな人に気に入られてる伊代姉すごいなって思ってたか……いたッ!」
ぎゃああ! 耳掻き棒の先がなんだか入っちゃいけないところに! 痛い!! なんで突然力入ってんのさ!!
「……私言わなかったっけ。ああいう人間、私苦手なのよ。頭もいいし顔もいいし性格も良くて非の打ち所がないのは分かるけど。でも嫌」
ごめんごめんと僕の頭を撫でてなだめてくれてから、再び耳掻き棒を僕の耳に入れてきた。
あらかた耳垢は取れたから、今度は痒そうなところに先を当ててシャカシャカと早い動きで優しく擦ってくれる。
これは耳垢を取る……というより単純にただ気持ちいいからやってくれること。
いやほんとこれうまい人がやるとめちゃくちゃ気持ちいいんだよ。
「ほらこれあんたが好きなやつ……こしょこしょこしょ」
「うううぅ……きもちいー……!」
「流石にしっかり怒られたみたいね。銀ちゃんが探しに行ってくれたから良かったものの、下手したら警察に捜索届け出しに行く勢いだったのよ」
「ごめんなさい……」
こ……ってり絞られたあと、僕は伊代姉の部屋に行った。別に慰められたいわけじゃなくて、伊代姉にも心配かけただろうから謝りにきたつもりだったんだけど……。
落ち込んでる僕を見かねて膝枕してあげると言われ、その優しい言葉に甘んじてしまった。
伊代姉の膝柔こくてあったかい……。
「もう高校生だし、そんなに厳しくしなくてもいいとは思うけれど……。あ、丁度いいわ。耳掻いてあげる」
「えっ、ほんと!? ぅーんでもいいよ。もう遅いし……伊代姉も疲れてるでしょ」
「大丈夫よ、明日休みだし。昔はよくしてあげてたわよねーっと……」
伊代姉はただ膝枕するのに飽きたのか、手近にあった細い耳掻き棒を取って僕の耳にあてがった。
確かに昔は伊代姉によく耳掻きしてもらってたっけ。めちゃくちゃ上手いんだこれが!
さっきまでの非日常の中にいたからぐっと日常に引き戻される感じがする……。
「また変なところ行ってたんでしょ。あんまり心配かけちゃだめよ?」
「うん。でもすごいところだったんだよ。何がすごいかと言われると……うーん……言いづらいけど」
かりかり……かりかり……細くて薄めの耳掻きが乾燥した耳垢をこする音がする。
伊代姉は耳掻きに集中しつつも思っていることを僕に話しかけてくれていた。
「あ、ここ溜まってるわね……」
かりっと音がして、伊代姉がふぅと達成感からでる息をつく。
「あんたももう高校生だし、ある程度の夜遊びはいいって母さんも言ってるけれど……ちゃんと連絡はしないとダメでしょ」
電波が繋がらなくてどうにもならなかったんだけど、それももう言い訳だよね……。
素直に謝っとかないと……。
あー、耳掻ききもちいー……。
「ねえ千草」
「んーなにー?」
「銀ちゃんとばっかり遊んでないで、私とも遊んで欲しいんだけどー?」
「伊代姉は部活で忙しいでしょ?」
「今は試合前だからちょっと忙しいけれど……それでも遊べないってほどじゃないわよ」
じゃあ暇な時一緒にどっかいこ……と言ってから僕はふと思い出す。
「そういえば神谷先輩とはどーなの?」
「どーなのってなによ」
「いや、なんだか神谷先輩、伊代姉のこと気になってたみたいだったから……ほら、誰から見ても神谷先輩ってモテそうだし、実際すごい人気者なんでしょ?そんな人に気に入られてる伊代姉すごいなって思ってたか……いたッ!」
ぎゃああ! 耳掻き棒の先がなんだか入っちゃいけないところに! 痛い!! なんで突然力入ってんのさ!!
「……私言わなかったっけ。ああいう人間、私苦手なのよ。頭もいいし顔もいいし性格も良くて非の打ち所がないのは分かるけど。でも嫌」
ごめんごめんと僕の頭を撫でてなだめてくれてから、再び耳掻き棒を僕の耳に入れてきた。
あらかた耳垢は取れたから、今度は痒そうなところに先を当ててシャカシャカと早い動きで優しく擦ってくれる。
これは耳垢を取る……というより単純にただ気持ちいいからやってくれること。
いやほんとこれうまい人がやるとめちゃくちゃ気持ちいいんだよ。
「ほらこれあんたが好きなやつ……こしょこしょこしょ」
「うううぅ……きもちいー……!」
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