超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
真相 その2
「なっ!」とエドワードは驚愕の声を上げる。
ただ、少女の首。
魔法的強化も、特殊なアイテムの使用も見受けられない。
それが鋼のような強度で自分の剣技をはじき返した。
「何をした? いや、一体、何をしている!」
またもアリスはクスクスと笑う。
「驚いたでしょう。愛するドラゴンの首をも切り取った剣で私の首は切れない。何が起きてるのか想像すらできない。そんなところですか?」
「―――—ッッッ!?」とエドワードは驚く。
動機を、そして方法を見破られたのか? そんな疑問。
「そんなに驚かないでくださいよ。たまたま、貴方と同じような人を知っていただけです」
「俺と同じような人間?」
「えぇ、ドラゴンから寵愛を受けた人を」
「くっ、お前どこまで――――」
「知っているか? ですか? 私にはわかりません。わからないのです。ドラゴンから愛され、ドラゴンを愛す人間の気持ちなんて、だから私は理解するためにある行動を開始したのです」
「何を――――言っているんだ? お前は?」
「失礼、話が脱線してしまいましたね。 どうやら、知り合いに聞いた所、ドラゴンという生物は人間に化けれるそうですね」
「化けれると表現するな」
「あら、ごめんなさい。表現が気に入らなかったみたいね。どこまで話したかしら、そう彼女たちは人間に化ける」
「――――」
「そうして、生活できるという事は……ドラゴンは体の質量を減らせるという証拠です。何トンもある生物が、そのままの体重で日常生活を送れるはずがないのですから、では……どこまで軽くなれるのかしら」
「――――」
「あら? ダンマリですね。生きているのかしら? まぁいいです。単純な話、ここで死んだドラゴンは貴方ごときの剣で切断できるように首を薄くした。それだけの事です」
「うあぁぉぉぉぉぉぉぉ」と感情が爆発したかのようにエドワードは飛び掛かっていく。
渾身の力を込めた剣はアリスの額に直撃して砕かれた。
無論、アリスの額ではなく、砕かれたのは剣の方だ。
「――――まだ話を続けましょうよ。おそらく、ここのドラゴンは狂っていたのでしょう。男狂い……この場合で使う言葉ではなかったのかしら?」
そう小首を傾げるアリスの顔面にエドワードの拳が叩き込まれた。
しかし、アリスにはダメージを受けた痕跡が残っていない。
「人間の男と一緒になりたいと望んだのでしょう。想像するだけでおぞましい事ですが……しかし、そのドラゴンには問題が1つ。後継者がいなかった事です」
新たに短剣を持ち替えたエドワードの刺突が何度もアリスの腹部に突き立てられる。
「人間である貴方は永遠にダンジョンの……それも最深部で暮らすわけにはいきません。しかし、ドラゴンはラスボスとして最深部にいなければいけません。おぞましい事に、きっと貴方たちは子作りに励んだことでしょう。吐き気がしますが…… それでも子供は生まれなかった。だから、ドラゴンはこう考えたのです」
それだけは言わせないとエドワードの攻撃は激しさを増す。
しかし、アリスは微動だにしない。
「ダンジョンを最深部から階層を1つ1つ潰していき、第一層目を最深部にしよう……と」
ダンジョン内に魔物がいなかった理由。それは――――
「ドラゴンによって魔物は全滅させられた。まるで、ウィルスですね。仮に、このダンジョンが生物だとしたら病死になるのかしら」
「それ以上――――」
「はい?」
「それ以上、貴様が彼女を語るな!」
怒鳴り声を上げると同時に、エドワードは切り札の1つを切った。
魔力による体の一部を局部的な強化。
アリスに向かって短剣を投擲。それと同時に踏み込み、間合いを詰める。
やはり、短剣はアリスの体を貫かない。 甲高い金属が響いて、防がれた。
(だが、構わない)
エドワードは強化に使った魔力を接触のタイミングで拳へ濃縮。
数々の魔物を葬った素手での一撃。
しかし、それすらもダメージに――――
(だが、構わない)
本命はここからだ。
接触した拳。そこに込められた魔力。
それを媒介にして――――
必殺のゼロ距離魔法
炎系の攻撃魔法を発射するのではなく、ゼロ距離を利用して敵の内部に炎を具現化させ暴れさせる。
相手の装甲も無関係に防御力無効化の内部破壊。
打たれたアリスは爆発したかのように火炎に包まれた。
「やったか?」
確信的な一撃。
今まで、どんな魔物を耐え切れた事はない。
しかし、ならばなぜ……エドワードは「やったか?」などと疑問系だったのか?
それは、他ならぬ彼自身が――――倒せるとは思っていなかったからだ。
「可愛らしい一撃ですね。そうそう、ではどうして魔物の死骸が残っていないのか? それは食べちゃったからですよね?」
立ち上がる業火が一瞬で消滅した。
先ほどの攻撃など、なかったかのようにアリスは話をやめない。
そして彼女は告発した。
ドラゴンの罪を、同族殺しと同族食いを――――
ただ、少女の首。
魔法的強化も、特殊なアイテムの使用も見受けられない。
それが鋼のような強度で自分の剣技をはじき返した。
「何をした? いや、一体、何をしている!」
またもアリスはクスクスと笑う。
「驚いたでしょう。愛するドラゴンの首をも切り取った剣で私の首は切れない。何が起きてるのか想像すらできない。そんなところですか?」
「―――—ッッッ!?」とエドワードは驚く。
動機を、そして方法を見破られたのか? そんな疑問。
「そんなに驚かないでくださいよ。たまたま、貴方と同じような人を知っていただけです」
「俺と同じような人間?」
「えぇ、ドラゴンから寵愛を受けた人を」
「くっ、お前どこまで――――」
「知っているか? ですか? 私にはわかりません。わからないのです。ドラゴンから愛され、ドラゴンを愛す人間の気持ちなんて、だから私は理解するためにある行動を開始したのです」
「何を――――言っているんだ? お前は?」
「失礼、話が脱線してしまいましたね。 どうやら、知り合いに聞いた所、ドラゴンという生物は人間に化けれるそうですね」
「化けれると表現するな」
「あら、ごめんなさい。表現が気に入らなかったみたいね。どこまで話したかしら、そう彼女たちは人間に化ける」
「――――」
「そうして、生活できるという事は……ドラゴンは体の質量を減らせるという証拠です。何トンもある生物が、そのままの体重で日常生活を送れるはずがないのですから、では……どこまで軽くなれるのかしら」
「――――」
「あら? ダンマリですね。生きているのかしら? まぁいいです。単純な話、ここで死んだドラゴンは貴方ごときの剣で切断できるように首を薄くした。それだけの事です」
「うあぁぉぉぉぉぉぉぉ」と感情が爆発したかのようにエドワードは飛び掛かっていく。
渾身の力を込めた剣はアリスの額に直撃して砕かれた。
無論、アリスの額ではなく、砕かれたのは剣の方だ。
「――――まだ話を続けましょうよ。おそらく、ここのドラゴンは狂っていたのでしょう。男狂い……この場合で使う言葉ではなかったのかしら?」
そう小首を傾げるアリスの顔面にエドワードの拳が叩き込まれた。
しかし、アリスにはダメージを受けた痕跡が残っていない。
「人間の男と一緒になりたいと望んだのでしょう。想像するだけでおぞましい事ですが……しかし、そのドラゴンには問題が1つ。後継者がいなかった事です」
新たに短剣を持ち替えたエドワードの刺突が何度もアリスの腹部に突き立てられる。
「人間である貴方は永遠にダンジョンの……それも最深部で暮らすわけにはいきません。しかし、ドラゴンはラスボスとして最深部にいなければいけません。おぞましい事に、きっと貴方たちは子作りに励んだことでしょう。吐き気がしますが…… それでも子供は生まれなかった。だから、ドラゴンはこう考えたのです」
それだけは言わせないとエドワードの攻撃は激しさを増す。
しかし、アリスは微動だにしない。
「ダンジョンを最深部から階層を1つ1つ潰していき、第一層目を最深部にしよう……と」
ダンジョン内に魔物がいなかった理由。それは――――
「ドラゴンによって魔物は全滅させられた。まるで、ウィルスですね。仮に、このダンジョンが生物だとしたら病死になるのかしら」
「それ以上――――」
「はい?」
「それ以上、貴様が彼女を語るな!」
怒鳴り声を上げると同時に、エドワードは切り札の1つを切った。
魔力による体の一部を局部的な強化。
アリスに向かって短剣を投擲。それと同時に踏み込み、間合いを詰める。
やはり、短剣はアリスの体を貫かない。 甲高い金属が響いて、防がれた。
(だが、構わない)
エドワードは強化に使った魔力を接触のタイミングで拳へ濃縮。
数々の魔物を葬った素手での一撃。
しかし、それすらもダメージに――――
(だが、構わない)
本命はここからだ。
接触した拳。そこに込められた魔力。
それを媒介にして――――
必殺のゼロ距離魔法
炎系の攻撃魔法を発射するのではなく、ゼロ距離を利用して敵の内部に炎を具現化させ暴れさせる。
相手の装甲も無関係に防御力無効化の内部破壊。
打たれたアリスは爆発したかのように火炎に包まれた。
「やったか?」
確信的な一撃。
今まで、どんな魔物を耐え切れた事はない。
しかし、ならばなぜ……エドワードは「やったか?」などと疑問系だったのか?
それは、他ならぬ彼自身が――――倒せるとは思っていなかったからだ。
「可愛らしい一撃ですね。そうそう、ではどうして魔物の死骸が残っていないのか? それは食べちゃったからですよね?」
立ち上がる業火が一瞬で消滅した。
先ほどの攻撃など、なかったかのようにアリスは話をやめない。
そして彼女は告発した。
ドラゴンの罪を、同族殺しと同族食いを――――
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