超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
鎧伝説
「さて、これで新造ダンジョンの調査も終わりだな」
「えぇ、ダンジョン化の原因はゴブリンシャーマンキング改めGSKの儀式が原因だった……あれ?」
ピッタとドラゴンが制止した。そうかと思うとそわそわ、うろうろと挙動不審な感じになってきた。
「どうした? ドラゴン? また、何かやらかしたのか?」
僕は冗談交じりの軽口のつもりだったが……
「まだ、ダンジョンの肥大化は止まってません」
「なに? あの奇妙な儀式が原因じゃなかったのか?」
「わかりません。ですが、ここがダンジョンの最深部なのは確かです。ダンジョンを活性させる力の流れはここが中心になっているのですが……」
「落ちつけ。何か見落としてないか?」
僕は儀式を行っていた場所を見る。
崩れた木々。まだ火が揺らめいている。
「待てよ。……火が揺らめいている?」
僅かにも昇る煙の動きを目で追う。 天井には煙が僅かに溜まっているのみ。
「煙がどこかから逃げている?」
「ちょっとサクラさん! 1人で行かないでくださいよ」
僕は壁に手をやる。ヒンヤリとした冷たさ。
「……」
僕は瞳を閉じて集中する。
「……雨の臭い? いや、異臭が混じっている」
煙からわかる空気の流れ。
岩から温度を奪う存在を、文字通りの手さぐりで追いかけ————水気の臭いを追う。
「ここだ! ドラゴン! 穴を開けろ!」
「へぇ? そこに一体、何があるのですか?」
「わからない。だから、早く!」
「分りました! とにかく、破壊ですね! ドラゴニックパンチ!」
ぽん!
ただ、軽く手を前に出した。
それだけのように見えた。
しかし、そのパンチは岩を砕き、大地を揺るがせるに十分な威力を有していた。
「穴を開けろ!」なんて僕の指示以上の効果を発揮して、巨大な、それは巨大な大穴を開けたのだった。
「これは……サクラさん、見てください」
そう促されて、中を覗いてみると―———
「なっ!? これは!」
地下湖が広がっていた。
「本当にあったのか? いや、でも村長は人寄せのために作った話だったと……」
「この際、真偽は置いといて、覚えてますか? 村長さんの話」
「そりゃ、もちろん覚えているけど、それが……あっ!」
そうだった。
そもそもの話は―———
祠の奥に奇妙な鎧を発見した所から始まっていた。
なんでも、その鎧に近づくと人間が液体になってしまうそうだ。
「地下湖の中心に、その鎧があるのか?」
「わかりません。ですが、この周辺の岩は巧妙に隠されていますが……どうも人の手が加わっているみたいです」
「……人がこれを隠したと言うなら、やっぱり村長や村人の仕業か? 最初は観光地に利用するつもりだったが手に負えなくなって隠ぺいした。その後、鎧の影響で祠がダンジョン化した……とか?」
「でも、村長さんたち嘘をついてるようには見えませんでしたよ。村人の全員がお金に目がくらんでいる瞳をしてましたよ」
金に眼がくらんでいるから、信用できるって……いやな信頼の仕方だな。
「でもどうするんだ? 本当に鎧があっても近づく方法が思いつかないぞ?」
「取りあえず、嘘か本当を調べるため、生きたゴブリンを捕獲して、湖に叩き込みましょ!」
「容赦ないな!!」
だが、湖がダンジョン化の原因には間違いない……と言うか、他にダンジョン最深部に原因らしき要素がないのだ。
どうやってでも、調査を続けるしか……あれ?
「おい、ドラゴン?」
「はい? なんですか? サクラさん?」
「何か、音がしないか?」
「……そう言えば、機械音と言いますか……駆動音でしょうか?」
機械音? 駆動音?
こんな所で、そんな音のなるような物なんか……
そう思って、音が聞こえてくる箇所を凝視する。
「何か、水面下で動いているように見えるのだが……」
「奇遇ですね。私にも見えます。 鎧と言いますか……甲冑が平泳ぎしながら浮上して……」
ドラゴンは最後まで言わなかった。
なぜなら、言い終えるよりも早く―———
泳ぐ鎧が水から飛び出て来たからだ。
「えぇ、ダンジョン化の原因はゴブリンシャーマンキング改めGSKの儀式が原因だった……あれ?」
ピッタとドラゴンが制止した。そうかと思うとそわそわ、うろうろと挙動不審な感じになってきた。
「どうした? ドラゴン? また、何かやらかしたのか?」
僕は冗談交じりの軽口のつもりだったが……
「まだ、ダンジョンの肥大化は止まってません」
「なに? あの奇妙な儀式が原因じゃなかったのか?」
「わかりません。ですが、ここがダンジョンの最深部なのは確かです。ダンジョンを活性させる力の流れはここが中心になっているのですが……」
「落ちつけ。何か見落としてないか?」
僕は儀式を行っていた場所を見る。
崩れた木々。まだ火が揺らめいている。
「待てよ。……火が揺らめいている?」
僅かにも昇る煙の動きを目で追う。 天井には煙が僅かに溜まっているのみ。
「煙がどこかから逃げている?」
「ちょっとサクラさん! 1人で行かないでくださいよ」
僕は壁に手をやる。ヒンヤリとした冷たさ。
「……」
僕は瞳を閉じて集中する。
「……雨の臭い? いや、異臭が混じっている」
煙からわかる空気の流れ。
岩から温度を奪う存在を、文字通りの手さぐりで追いかけ————水気の臭いを追う。
「ここだ! ドラゴン! 穴を開けろ!」
「へぇ? そこに一体、何があるのですか?」
「わからない。だから、早く!」
「分りました! とにかく、破壊ですね! ドラゴニックパンチ!」
ぽん!
ただ、軽く手を前に出した。
それだけのように見えた。
しかし、そのパンチは岩を砕き、大地を揺るがせるに十分な威力を有していた。
「穴を開けろ!」なんて僕の指示以上の効果を発揮して、巨大な、それは巨大な大穴を開けたのだった。
「これは……サクラさん、見てください」
そう促されて、中を覗いてみると―———
「なっ!? これは!」
地下湖が広がっていた。
「本当にあったのか? いや、でも村長は人寄せのために作った話だったと……」
「この際、真偽は置いといて、覚えてますか? 村長さんの話」
「そりゃ、もちろん覚えているけど、それが……あっ!」
そうだった。
そもそもの話は―———
祠の奥に奇妙な鎧を発見した所から始まっていた。
なんでも、その鎧に近づくと人間が液体になってしまうそうだ。
「地下湖の中心に、その鎧があるのか?」
「わかりません。ですが、この周辺の岩は巧妙に隠されていますが……どうも人の手が加わっているみたいです」
「……人がこれを隠したと言うなら、やっぱり村長や村人の仕業か? 最初は観光地に利用するつもりだったが手に負えなくなって隠ぺいした。その後、鎧の影響で祠がダンジョン化した……とか?」
「でも、村長さんたち嘘をついてるようには見えませんでしたよ。村人の全員がお金に目がくらんでいる瞳をしてましたよ」
金に眼がくらんでいるから、信用できるって……いやな信頼の仕方だな。
「でもどうするんだ? 本当に鎧があっても近づく方法が思いつかないぞ?」
「取りあえず、嘘か本当を調べるため、生きたゴブリンを捕獲して、湖に叩き込みましょ!」
「容赦ないな!!」
だが、湖がダンジョン化の原因には間違いない……と言うか、他にダンジョン最深部に原因らしき要素がないのだ。
どうやってでも、調査を続けるしか……あれ?
「おい、ドラゴン?」
「はい? なんですか? サクラさん?」
「何か、音がしないか?」
「……そう言えば、機械音と言いますか……駆動音でしょうか?」
機械音? 駆動音?
こんな所で、そんな音のなるような物なんか……
そう思って、音が聞こえてくる箇所を凝視する。
「何か、水面下で動いているように見えるのだが……」
「奇遇ですね。私にも見えます。 鎧と言いますか……甲冑が平泳ぎしながら浮上して……」
ドラゴンは最後まで言わなかった。
なぜなら、言い終えるよりも早く―———
泳ぐ鎧が水から飛び出て来たからだ。
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