超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
第一村人発見!?
「探索者?貴方は?」
「おや、自己紹介は昨日の夜に済ませたはずですがな」
「すいません。どうも、まだ寝ぼけてるみたいで……」
そんな僕の様子に老人はカラカラと笑った。
「ワシはこの村の村長でしてな。昨日、訪ねてきた貴方様に宿を提供したのですよ」
「ん?そう言われてみると……」
「おやおや、それも覚えていませんか?」
僕は慌てて「いやいや、覚えてますよ」と誤魔化した。
「ご存じの通り、この付近の村はダメです。全滅しました」
「全滅」
「そう、全滅です」
老人―――村長の言葉で昨日の惨劇を思い出して来た。
動く死体 かつて人間だったはずのグール達が本能に従い動き回る悪夢。
あれを、僕は―――
「そこで、探索者さまに魔物退治をお願いしたのです。思い出しましたか?」
「確かに、そうだったな。そんな記憶がある」
「まぁ、実質的には魔物退治というよりも魔物を呼び寄せた原因を排除してほしいわけですがな」
村長の奇妙な言い回しに僕の頭には疑問符が浮かぶ。
「原因?排除?」
「探索者さまは、どうして、この村だけが無事だと思いますか?」
「この村だけ?」
「そうです、この村だけなのです。この村を囲むように周囲の村は魔物に襲われたにも関わらず、この村だけが……魔物が避けるように無事なのです」
「!?それは…本当に???」
「本当です、魔物達は、この村だけは襲いません。しかし、村人がこの村を出た途端に魔物達は襲い掛かってくるのです」
「なるほど。つまり、周囲に魔物が発生したのは、この村の中に原因がある。それでこの村は襲われないけど、それでは埒が明かない。だから原因を取り除いてほしいと?」
「その通りです。いくら、村の中は安全と言っても、村の農作物だけで飢えを凌ぐのに限界はいずれくるでしょう。ですから、その前に……」
お願いします、そう言う老人の表情は悲痛な叫びを表現していた。
それを断る術を僕は持たない。
「それでは、僕の仲間は?姿が見えませんが、すでに調査を始めてるんでしょうか?」
しかし、返ってきた返事は―――
「え?探索者さまは、この村に来た時から1人でしたよ」
想定外の言葉だった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「う~ん」と僕は村を歩きながら唸る。
僕がこの村に着いたとき、既にクリムとドラゴンとははぐれていた?
あの2人の事なら心配はいらないはずだが、どうも嫌な予感はする。
僕の欠落した記憶では、何が起きていたのだろうか?
「嫌な予感がする」と何度と呟きながら、村を徘徊する。
その姿は変質者のように見えるのか?それとも排他的な村社会なのか?すれ違う村人は一定の距離を保ち、僕に近づかない。
非協力的だ。村長は「協力しろ」と触れ回っていないのだろうか?
気さくに「やぁ」と話しかけても、そそくさと離れて行った。
どうしようか? そう悩んでいると視線を感じた。
視線には敵意も悪意もない。感じられたのは純粋な好奇心だ。
つまり、この視線の主は―――
僕は黙って歩き出す。
心の中で
(だるまさんが……転んだ!)
呪文を唱えて振り返ると……そこには子供がいた。
「おや、自己紹介は昨日の夜に済ませたはずですがな」
「すいません。どうも、まだ寝ぼけてるみたいで……」
そんな僕の様子に老人はカラカラと笑った。
「ワシはこの村の村長でしてな。昨日、訪ねてきた貴方様に宿を提供したのですよ」
「ん?そう言われてみると……」
「おやおや、それも覚えていませんか?」
僕は慌てて「いやいや、覚えてますよ」と誤魔化した。
「ご存じの通り、この付近の村はダメです。全滅しました」
「全滅」
「そう、全滅です」
老人―――村長の言葉で昨日の惨劇を思い出して来た。
動く死体 かつて人間だったはずのグール達が本能に従い動き回る悪夢。
あれを、僕は―――
「そこで、探索者さまに魔物退治をお願いしたのです。思い出しましたか?」
「確かに、そうだったな。そんな記憶がある」
「まぁ、実質的には魔物退治というよりも魔物を呼び寄せた原因を排除してほしいわけですがな」
村長の奇妙な言い回しに僕の頭には疑問符が浮かぶ。
「原因?排除?」
「探索者さまは、どうして、この村だけが無事だと思いますか?」
「この村だけ?」
「そうです、この村だけなのです。この村を囲むように周囲の村は魔物に襲われたにも関わらず、この村だけが……魔物が避けるように無事なのです」
「!?それは…本当に???」
「本当です、魔物達は、この村だけは襲いません。しかし、村人がこの村を出た途端に魔物達は襲い掛かってくるのです」
「なるほど。つまり、周囲に魔物が発生したのは、この村の中に原因がある。それでこの村は襲われないけど、それでは埒が明かない。だから原因を取り除いてほしいと?」
「その通りです。いくら、村の中は安全と言っても、村の農作物だけで飢えを凌ぐのに限界はいずれくるでしょう。ですから、その前に……」
お願いします、そう言う老人の表情は悲痛な叫びを表現していた。
それを断る術を僕は持たない。
「それでは、僕の仲間は?姿が見えませんが、すでに調査を始めてるんでしょうか?」
しかし、返ってきた返事は―――
「え?探索者さまは、この村に来た時から1人でしたよ」
想定外の言葉だった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「う~ん」と僕は村を歩きながら唸る。
僕がこの村に着いたとき、既にクリムとドラゴンとははぐれていた?
あの2人の事なら心配はいらないはずだが、どうも嫌な予感はする。
僕の欠落した記憶では、何が起きていたのだろうか?
「嫌な予感がする」と何度と呟きながら、村を徘徊する。
その姿は変質者のように見えるのか?それとも排他的な村社会なのか?すれ違う村人は一定の距離を保ち、僕に近づかない。
非協力的だ。村長は「協力しろ」と触れ回っていないのだろうか?
気さくに「やぁ」と話しかけても、そそくさと離れて行った。
どうしようか? そう悩んでいると視線を感じた。
視線には敵意も悪意もない。感じられたのは純粋な好奇心だ。
つまり、この視線の主は―――
僕は黙って歩き出す。
心の中で
(だるまさんが……転んだ!)
呪文を唱えて振り返ると……そこには子供がいた。
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