超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
「人の王」 対 「魔物の王」
「うむ、認めよう。余は英雄に成らんとする者の全てを認める。
だが、しかし――――
英雄になった者は認めぬ」
「え?」
いつの間にか王の手は剣が握られていた。
そのまま振り上げられた剣は僕に向け、真っ直ぐに振り落された。
その太刀筋には迷いかや生じるブレもなく、美しさすら感じられる。
だから――――
反応が遅れた。
回避……不能。
受け……不能。
魔法による……
脳裏に浮かぶ選択肢の数々。
それと同数並ぶ不能の文字。
それらの全てが「死」の1文字へ変化され埋め尽くされていく。
もはや、残された選択肢は――――
剣と言う薄い鉄板が僕の頭部へ潜り込んでいくのを待つだけ。
その一択となっていた。
だが、最後まで決して目を逸らさない。
僕は、向かい来る白刃から視線を外さず……
それが僕にできる抗議の手段だったのだ。
しかし―――
甲高い金属音が鳴り響き、折れた剣先が宙を舞っていた。
折れた?いや、違う。
王の手にあったはずの剣、その白刃は無残にも引きちぎられていたのだ。
そう、高速で振り落された剣を空中で、それも素手で引きちぎる。
そんな行為を行った者がいた。
それは――――
「人の王よ。不敬ではあるまいか? ただが、人の世の王である存在のお前が、私の伴侶を手にかけるのか?」
そこにはドラゴンがいた。
一体、どこから現れたのか? 瞬きもせずに見ていた僕にもわからなかった。
突然の乱入者に対して、護衛であるはずの騎士たちは動けずにいた。
もう既にドラゴンに何かされた後なのか……バタバタと規則正しく順番に倒れ始めた。
この場に立っている者は3人のみ。
王とドラゴンと……それから僕。
ドラゴンの装いは、普段通りの人間バージョン。
露出の多い踊り子風の服装は、この場にそぐわないのか? あるいは相応しいのか?
ただ、普段とは異なり、王に対して威圧的で攻撃的な態度。
対して王は――――
「ほう、ソナタが魔物の王か。化け物めが」とまるで感情が抜け落ちたかのように返す。
「英雄とは余と同格の存在。目指すは結構なことよ。だがな、余の前で英雄に至った者が……余と同等の者が立てば殺す。それが道理であろう?」
「同格の者は全て殺すか?それは正しい唯一無二の在り方かもしれぬが……そこに至る者がいる時点で、誇る事ではあるまい。無論、ソナタの存在がな」
「ほう、化け物が余を愚弄するか!」
憤怒する王を前にドラゴンは、挑発するように腕を僕の首に回していく。
その行為は官能的とは言い難く、まるで巨大な蛇に絞められているように感じられた。
「いいや、愚弄はせぬよ、人の王。ただ、私の物に手を出そうする怒りを表したにすぎぬ」
ドラゴンは僕に体重をあずけてくる。
昔、彼女から聞いたコブラツイストや卍固め。
あるいは、メキシコプロレス式複合間接技ジャベみたいに僕を絞め……痛い痛い!? なんで僕に対してまで怒りを表現してるのさ!?
「ならば、怪物よ。余にどうしてほしいのだ?次第によっては剣を納めても構わんぞ」
「我が伴侶を英雄として認めよ。それだけでよい」
「その者を余と対等に扱えと言うか?笑止!」
引きちぎられた剣をドラゴンに向ける。
ドラゴンは冷たく嗤う。
「人の王よ。……恐怖を感じぬのは、そう育てられた……いや、成長過程で作り替えられたのか。それが王としての姿だと……いや、それは良い」
ドクンと心音が跳ね上がった。
恐怖を…… 作り替えられた?
同質? 僕と同じ? 王と僕は同じ存在?
「化け物が余を語るか!?許さぬぞ!」
そのまま、王は剣を振るう。
ドラゴンに巻き付かれた僕ごと、切り裂かんと剣を走らせる。
対するドラゴンも追撃に動きだす。
それを僕は――――
「行け!龍の足枷!?」
僕は声を張り上げた。
だが、しかし――――
英雄になった者は認めぬ」
「え?」
いつの間にか王の手は剣が握られていた。
そのまま振り上げられた剣は僕に向け、真っ直ぐに振り落された。
その太刀筋には迷いかや生じるブレもなく、美しさすら感じられる。
だから――――
反応が遅れた。
回避……不能。
受け……不能。
魔法による……
脳裏に浮かぶ選択肢の数々。
それと同数並ぶ不能の文字。
それらの全てが「死」の1文字へ変化され埋め尽くされていく。
もはや、残された選択肢は――――
剣と言う薄い鉄板が僕の頭部へ潜り込んでいくのを待つだけ。
その一択となっていた。
だが、最後まで決して目を逸らさない。
僕は、向かい来る白刃から視線を外さず……
それが僕にできる抗議の手段だったのだ。
しかし―――
甲高い金属音が鳴り響き、折れた剣先が宙を舞っていた。
折れた?いや、違う。
王の手にあったはずの剣、その白刃は無残にも引きちぎられていたのだ。
そう、高速で振り落された剣を空中で、それも素手で引きちぎる。
そんな行為を行った者がいた。
それは――――
「人の王よ。不敬ではあるまいか? ただが、人の世の王である存在のお前が、私の伴侶を手にかけるのか?」
そこにはドラゴンがいた。
一体、どこから現れたのか? 瞬きもせずに見ていた僕にもわからなかった。
突然の乱入者に対して、護衛であるはずの騎士たちは動けずにいた。
もう既にドラゴンに何かされた後なのか……バタバタと規則正しく順番に倒れ始めた。
この場に立っている者は3人のみ。
王とドラゴンと……それから僕。
ドラゴンの装いは、普段通りの人間バージョン。
露出の多い踊り子風の服装は、この場にそぐわないのか? あるいは相応しいのか?
ただ、普段とは異なり、王に対して威圧的で攻撃的な態度。
対して王は――――
「ほう、ソナタが魔物の王か。化け物めが」とまるで感情が抜け落ちたかのように返す。
「英雄とは余と同格の存在。目指すは結構なことよ。だがな、余の前で英雄に至った者が……余と同等の者が立てば殺す。それが道理であろう?」
「同格の者は全て殺すか?それは正しい唯一無二の在り方かもしれぬが……そこに至る者がいる時点で、誇る事ではあるまい。無論、ソナタの存在がな」
「ほう、化け物が余を愚弄するか!」
憤怒する王を前にドラゴンは、挑発するように腕を僕の首に回していく。
その行為は官能的とは言い難く、まるで巨大な蛇に絞められているように感じられた。
「いいや、愚弄はせぬよ、人の王。ただ、私の物に手を出そうする怒りを表したにすぎぬ」
ドラゴンは僕に体重をあずけてくる。
昔、彼女から聞いたコブラツイストや卍固め。
あるいは、メキシコプロレス式複合間接技ジャベみたいに僕を絞め……痛い痛い!? なんで僕に対してまで怒りを表現してるのさ!?
「ならば、怪物よ。余にどうしてほしいのだ?次第によっては剣を納めても構わんぞ」
「我が伴侶を英雄として認めよ。それだけでよい」
「その者を余と対等に扱えと言うか?笑止!」
引きちぎられた剣をドラゴンに向ける。
ドラゴンは冷たく嗤う。
「人の王よ。……恐怖を感じぬのは、そう育てられた……いや、成長過程で作り替えられたのか。それが王としての姿だと……いや、それは良い」
ドクンと心音が跳ね上がった。
恐怖を…… 作り替えられた?
同質? 僕と同じ? 王と僕は同じ存在?
「化け物が余を語るか!?許さぬぞ!」
そのまま、王は剣を振るう。
ドラゴンに巻き付かれた僕ごと、切り裂かんと剣を走らせる。
対するドラゴンも追撃に動きだす。
それを僕は――――
「行け!龍の足枷!?」
僕は声を張り上げた。
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