異世界リベンジャー
襲撃
俺はモナルの名前を叫ぶ。
しかし、声がでない。出てくるのは擦れた音。
疲労か?それとも戦いのダメージが原因か?
鉛のようにドロリとした液体が喉に纏わりついている。
それでも、声を上げ続ける。
「……モ…………モナ…ル…… モナル!」
出てきた声は、しゃがれ声。まるで別人の声だ。
それでも、声を張り上げる。
「ユズル!どうして…何があったのです!」
悲鳴のような声。やがて、声の主を見つける。
彼女の―――モナルの姿を見た瞬間、体から力が抜けてくる。
でも、ダメだ。
彼女に伝えなければならない事がある。
クルスの死を……
「そ、そんな……」
クルスの最後を知り、モナルの表情は見る見るうちに青ざめていく。
「落ち着くんだモナル。これを仕組んだ人間は、城の中にいる。それもクルスに命令ができる人物だ。誰か心当たりはないか?」
モナルは首を横に振る。
「わかりません。クルスに命令ができる人間なんて、私を除けば数人しかいないはずのに……」
「……」と俺は無言になり考え始めた。
クルスに命令ができる立場の人間は限られている。
そんな人物は……モナルが言う通り数人しかいない。
容疑者は数人に絞られた。しかし、それは良い事ではない。
なぜなら、ソイツは間違いなく力を持っている。それも権力という力だ。
ここに留まれば、留まるほど、ソイツはジリジリと包囲網を縮めていく。
だから――――
「モナル、俺と一緒に、ここから逃げ出さないか?」
俺は彼女に手を差し出した。
不思議だ。少し前までは、あんなにも疑心暗鬼だったのに――――
モナルに会ってから、そんな疑いは起こらない。
彼女に裏切られたら、この世界で何も信じられなくなる。
ひょっとしたら、俺の深層心理の奥深くでは、そんな考えがあって、無条件にモナルを信頼しているのかもしれない。
けれども、それでも、おれは……
「……」
モナルは無言だ。彼女が浮かべる表情からは、困惑と不安が感じ取れる。
それでも、俺は辛抱辛く、無言で待った。
例え、彼女がこの手を振り払っても、俺は彼女を恨む事はしない。
1人で、この世界を生き抜き。元の世界に戻って見せる。だから……
やがて、モナルの表情から決意というものが見えた。
そこに困惑と不安は消え失せている。
彼女は俺が差し出す手を握ろとして……倒れていった。
「え?」
何が起こった?俺は前のめりに倒れていくモナルの体を慌てて支える。
ぬるっとした手ごたえ。それは血だった。
彼女の左胸から血液が流れ出ている。
何が起こったのか? 魔力は感知しなかった。
一体誰が、どんな方法で攻撃を仕掛けてきたのか?
俺はモナルの体を抱きかかえると治癒魔法を発動させる。
それと同時に周囲に向けて探索用の魔力を広げる。
そして、ソイツはすぐに見つかった。
屋上の庭園。その小さな木に隠れていたソイツ。
ソイツは――――
探究者シェル
――――だった。
しかし、声がでない。出てくるのは擦れた音。
疲労か?それとも戦いのダメージが原因か?
鉛のようにドロリとした液体が喉に纏わりついている。
それでも、声を上げ続ける。
「……モ…………モナ…ル…… モナル!」
出てきた声は、しゃがれ声。まるで別人の声だ。
それでも、声を張り上げる。
「ユズル!どうして…何があったのです!」
悲鳴のような声。やがて、声の主を見つける。
彼女の―――モナルの姿を見た瞬間、体から力が抜けてくる。
でも、ダメだ。
彼女に伝えなければならない事がある。
クルスの死を……
「そ、そんな……」
クルスの最後を知り、モナルの表情は見る見るうちに青ざめていく。
「落ち着くんだモナル。これを仕組んだ人間は、城の中にいる。それもクルスに命令ができる人物だ。誰か心当たりはないか?」
モナルは首を横に振る。
「わかりません。クルスに命令ができる人間なんて、私を除けば数人しかいないはずのに……」
「……」と俺は無言になり考え始めた。
クルスに命令ができる立場の人間は限られている。
そんな人物は……モナルが言う通り数人しかいない。
容疑者は数人に絞られた。しかし、それは良い事ではない。
なぜなら、ソイツは間違いなく力を持っている。それも権力という力だ。
ここに留まれば、留まるほど、ソイツはジリジリと包囲網を縮めていく。
だから――――
「モナル、俺と一緒に、ここから逃げ出さないか?」
俺は彼女に手を差し出した。
不思議だ。少し前までは、あんなにも疑心暗鬼だったのに――――
モナルに会ってから、そんな疑いは起こらない。
彼女に裏切られたら、この世界で何も信じられなくなる。
ひょっとしたら、俺の深層心理の奥深くでは、そんな考えがあって、無条件にモナルを信頼しているのかもしれない。
けれども、それでも、おれは……
「……」
モナルは無言だ。彼女が浮かべる表情からは、困惑と不安が感じ取れる。
それでも、俺は辛抱辛く、無言で待った。
例え、彼女がこの手を振り払っても、俺は彼女を恨む事はしない。
1人で、この世界を生き抜き。元の世界に戻って見せる。だから……
やがて、モナルの表情から決意というものが見えた。
そこに困惑と不安は消え失せている。
彼女は俺が差し出す手を握ろとして……倒れていった。
「え?」
何が起こった?俺は前のめりに倒れていくモナルの体を慌てて支える。
ぬるっとした手ごたえ。それは血だった。
彼女の左胸から血液が流れ出ている。
何が起こったのか? 魔力は感知しなかった。
一体誰が、どんな方法で攻撃を仕掛けてきたのか?
俺はモナルの体を抱きかかえると治癒魔法を発動させる。
それと同時に周囲に向けて探索用の魔力を広げる。
そして、ソイツはすぐに見つかった。
屋上の庭園。その小さな木に隠れていたソイツ。
ソイツは――――
探究者シェル
――――だった。
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