現世(うつしよ)と幻(うつつ)の世界で……
第76話、祐也は調べた内容を、説明しました。
紅の破壊的英会話に撃沈した祐也に、モルガーナが慌てて、英語を教える役を引き受けた。
そして、一夜明け、
「やぁ。君が祐也だね。ガラハッドだよ。おじさんと呼んでおくれ~」
と、姿を見せたのは、大柄で筋肉質、赤髪と髭の男。
服は古ぼけて穴の空いたシャツにボロボロのデニムパンツ。
あははは~‼
と笑う姿は豪快であるが……、
「あの、失礼ですが……もしかして、だ、大臣の?」
「あぁ。一応な~‼おじさんは、仕事と休暇は使い分けとるんだ」
笑う。
テレビでは厳しい眼差しで、正論をはく身なりのきちんとした大臣が、家では普通のおじさん……。
横で苦笑する日向。
「俺もビックリしたが、慣れると、面白いぞ?」
『あー!英語ノーデイ‼なのに‼チップ要求~‼』
紅の一言に、
『紅。ノーもデイも英語だが?紅の方がチップだぞ?』
『ガーン‼昨日は頑張ってモルガーナさんのお手伝いしたのに~‼』
『何してるんだ?』
『えへん‼みんなが英語はワーってなるからね?日本語しゃべれる人を毎日一人選んで、その人とだけ日本語なんだよ~‼今日は、ひなにいちゃん‼』
「最近は英語の方が楽なんだが……。それより、モルガーナさん」
日向は差し出す。
「これ、なんでしょう」
プルプル震えて怯えている日向の指にぶら下げられているもの。
大きさは二センチほど……小さいものの、手足があり、頭があり、そして羽があった。
「あら、フェアリー……だけど……見たことはないわ」
「エェェ‼見られるんですか?」
「うっすらとだけど。この子ほどはっきりは見えないわ。ちょっと下ろしてくれる?」
自分の手のひらに乗せて、
「あなたはだぁれ?私はモルガーナよ」
問いかけると、
『おかあしゃん、たしゅけて。おとうしゃんどこでしゅか』
たどたどしい日本語。
『わぁ‼日本語しゃべったぁぁ‼』
『こら‼騒がない』
祐也の声に振り返ったフェアリーはてててと走ってくると、
『おとうしゃん‼』
『……俺より前に親父だな。祐也』
『え、えぇ?ちょっ……待ってくれ、も、もしかして……ブロンズ姫‼あのときのか?』
『おとうしゃんが植えてくれたのでしゅ』
エッヘン。
と、小さい赤ちゃん妖精は自慢するがすぐに、
『おとうしゃん‼おかあしゃんが捕まってましゅ‼あたちはおかあしゃんにしがみついてまちたが、見つけられて、鳥しゃんに運ばれたでしゅ‼ぽいっと落ちたら、ちゅかまったでしゅ』
『どこから来たんだ?』
ウェインの顔を見ると答える。
『鳥しゃんはおしゃべりしゃんでしゅ。日が昇らないと飛べないって。日が真正面だから嫌だわって。それに、妖精の王子しゃまと東の島国の、妖精の血を引いたお姫しゃまとの結婚は今晩だって』
『他には‼』
う~んと考えて、
『本当は、妖精の取り替え子のレディが戻ってきたけれど、うゆさい。それに比べて、ハンガーストライキに嫌々言うけど、シルバーのリングを渡したらありがとうってゆったおひめしゃまは可愛い。王子しゃまは気を引こうとすゆけど、嫌々って。でも、今晩、狼が戻ってくるから、ダイジョウブ……って』
『狼?』
日向の一言に、モルガーナが、
「父の事かも知れないわ‼」
「え?アルテミス卿?」
「公に名乗っているアーサーは月の狼と言う意味なの。今夜、狼……」
「モルガーナ。君の実家じゃないかな?ここから西だし。鳥たちもそこまで考えてなかったから、ここがウェインの領地とも思っていない。しかし、どうして父上が妖精と……」
「その件なんですが……」
祐也は、持っていた本と、写しを出す。
「今夜そんなことがあると言うなら急ぐべきだと思うんです。この日記には、結論から言って、解決したけれど、曖昧だった内容が記載されてました。でも、この方法しかないなら……」
「どんな方法だ?」
「昔なので、今では意味もないような気がするんですけど……馬の蹄鉄。月の光を帯びた銀のナイフ……です。他は、モルガーナさんは妖精はハーブが好きと言っていましたが、前に一回、向こうで風遊かあさんに聞いたんです。虫除けに煙を焚くと逃げる。それに、ハーブにも嫌われるハーブがありました。臭いのきついハーブやカラシですね。日本でも鷹の爪と言って、唐がらしを干して細かく砕いたものを一味と言って使いますが、激しい辛さは苦手だと思います」
「何でだね?」
ガラハッドは興味津々に聞く。
すると奇妙な顔で、
「……穐斗は、ものすごく一味や辛子、七味が苦手なんです」
「七味?」
「はい、一味……辛子を砕いたもの以外に、芥子の実、陳皮、胡麻、山椒、麻の実、紫蘇、海苔、青海苔、生姜、菜種等が入っています。一応陳皮は蜜柑の皮を天日で干して、入浴剤にしたり、中国の漢方薬として利用されています。生姜も紫蘇も、アジアのハーブです。ですが、生姜は体を暖める効果がある代わりにピリッとします。紫蘇は少しレモンバームに近い感じですね。山椒もアジアのハーブで、独特の辛みです」
「俺は辛いの大丈夫だがな。持ってきているし」
日向は一味と七味を出す。
「先輩‼」
「しばらく辛いものは控える……。それで穐斗が戻れば万々歳だ」
「……う~む。曖昧だが、それで行くしかあるまい」
ガラハッドは頷く。
「えっ?ガラハッドさんも行くんですか?」
「わしは理解できないことが好きなんだが、全くもって、そういうことに出会わんのだよ。残念だ。でも、初めて妖精に会えた‼こんなうれしいことはない‼」
髭親父が目をキラキラさせて、祐也の目の前の妖精を見ている。
『えっと、ブロンズ姫。おじさんに、はじめましてって』
『はじめましゅて‼おじちゃま』
「おぉぉぉ~( 〃▽〃)何てかわいいんだ‼モーリィ‼モーリィ‼わしも、モーリィの見ている世界が見えたぞ‼」
「まだ一人でしょ?それにこの子は、人の孵した妖精よ?」
「それでもいいんだ~‼幽霊がいると言う屋敷に行っても、会わないし、見えないし、その部屋にすんだら、幽霊がいなくなったと言われたし……珍しいものが好きなのに‼」
嘆くおじさんに、祐也は、
『ブロンズ姫……おじさんと遊んでいいよ』
『あい‼』
このあと、祐也と日向、ウェインは見るんじゃなかったと心底後悔するのだった。
そして、一夜明け、
「やぁ。君が祐也だね。ガラハッドだよ。おじさんと呼んでおくれ~」
と、姿を見せたのは、大柄で筋肉質、赤髪と髭の男。
服は古ぼけて穴の空いたシャツにボロボロのデニムパンツ。
あははは~‼
と笑う姿は豪快であるが……、
「あの、失礼ですが……もしかして、だ、大臣の?」
「あぁ。一応な~‼おじさんは、仕事と休暇は使い分けとるんだ」
笑う。
テレビでは厳しい眼差しで、正論をはく身なりのきちんとした大臣が、家では普通のおじさん……。
横で苦笑する日向。
「俺もビックリしたが、慣れると、面白いぞ?」
『あー!英語ノーデイ‼なのに‼チップ要求~‼』
紅の一言に、
『紅。ノーもデイも英語だが?紅の方がチップだぞ?』
『ガーン‼昨日は頑張ってモルガーナさんのお手伝いしたのに~‼』
『何してるんだ?』
『えへん‼みんなが英語はワーってなるからね?日本語しゃべれる人を毎日一人選んで、その人とだけ日本語なんだよ~‼今日は、ひなにいちゃん‼』
「最近は英語の方が楽なんだが……。それより、モルガーナさん」
日向は差し出す。
「これ、なんでしょう」
プルプル震えて怯えている日向の指にぶら下げられているもの。
大きさは二センチほど……小さいものの、手足があり、頭があり、そして羽があった。
「あら、フェアリー……だけど……見たことはないわ」
「エェェ‼見られるんですか?」
「うっすらとだけど。この子ほどはっきりは見えないわ。ちょっと下ろしてくれる?」
自分の手のひらに乗せて、
「あなたはだぁれ?私はモルガーナよ」
問いかけると、
『おかあしゃん、たしゅけて。おとうしゃんどこでしゅか』
たどたどしい日本語。
『わぁ‼日本語しゃべったぁぁ‼』
『こら‼騒がない』
祐也の声に振り返ったフェアリーはてててと走ってくると、
『おとうしゃん‼』
『……俺より前に親父だな。祐也』
『え、えぇ?ちょっ……待ってくれ、も、もしかして……ブロンズ姫‼あのときのか?』
『おとうしゃんが植えてくれたのでしゅ』
エッヘン。
と、小さい赤ちゃん妖精は自慢するがすぐに、
『おとうしゃん‼おかあしゃんが捕まってましゅ‼あたちはおかあしゃんにしがみついてまちたが、見つけられて、鳥しゃんに運ばれたでしゅ‼ぽいっと落ちたら、ちゅかまったでしゅ』
『どこから来たんだ?』
ウェインの顔を見ると答える。
『鳥しゃんはおしゃべりしゃんでしゅ。日が昇らないと飛べないって。日が真正面だから嫌だわって。それに、妖精の王子しゃまと東の島国の、妖精の血を引いたお姫しゃまとの結婚は今晩だって』
『他には‼』
う~んと考えて、
『本当は、妖精の取り替え子のレディが戻ってきたけれど、うゆさい。それに比べて、ハンガーストライキに嫌々言うけど、シルバーのリングを渡したらありがとうってゆったおひめしゃまは可愛い。王子しゃまは気を引こうとすゆけど、嫌々って。でも、今晩、狼が戻ってくるから、ダイジョウブ……って』
『狼?』
日向の一言に、モルガーナが、
「父の事かも知れないわ‼」
「え?アルテミス卿?」
「公に名乗っているアーサーは月の狼と言う意味なの。今夜、狼……」
「モルガーナ。君の実家じゃないかな?ここから西だし。鳥たちもそこまで考えてなかったから、ここがウェインの領地とも思っていない。しかし、どうして父上が妖精と……」
「その件なんですが……」
祐也は、持っていた本と、写しを出す。
「今夜そんなことがあると言うなら急ぐべきだと思うんです。この日記には、結論から言って、解決したけれど、曖昧だった内容が記載されてました。でも、この方法しかないなら……」
「どんな方法だ?」
「昔なので、今では意味もないような気がするんですけど……馬の蹄鉄。月の光を帯びた銀のナイフ……です。他は、モルガーナさんは妖精はハーブが好きと言っていましたが、前に一回、向こうで風遊かあさんに聞いたんです。虫除けに煙を焚くと逃げる。それに、ハーブにも嫌われるハーブがありました。臭いのきついハーブやカラシですね。日本でも鷹の爪と言って、唐がらしを干して細かく砕いたものを一味と言って使いますが、激しい辛さは苦手だと思います」
「何でだね?」
ガラハッドは興味津々に聞く。
すると奇妙な顔で、
「……穐斗は、ものすごく一味や辛子、七味が苦手なんです」
「七味?」
「はい、一味……辛子を砕いたもの以外に、芥子の実、陳皮、胡麻、山椒、麻の実、紫蘇、海苔、青海苔、生姜、菜種等が入っています。一応陳皮は蜜柑の皮を天日で干して、入浴剤にしたり、中国の漢方薬として利用されています。生姜も紫蘇も、アジアのハーブです。ですが、生姜は体を暖める効果がある代わりにピリッとします。紫蘇は少しレモンバームに近い感じですね。山椒もアジアのハーブで、独特の辛みです」
「俺は辛いの大丈夫だがな。持ってきているし」
日向は一味と七味を出す。
「先輩‼」
「しばらく辛いものは控える……。それで穐斗が戻れば万々歳だ」
「……う~む。曖昧だが、それで行くしかあるまい」
ガラハッドは頷く。
「えっ?ガラハッドさんも行くんですか?」
「わしは理解できないことが好きなんだが、全くもって、そういうことに出会わんのだよ。残念だ。でも、初めて妖精に会えた‼こんなうれしいことはない‼」
髭親父が目をキラキラさせて、祐也の目の前の妖精を見ている。
『えっと、ブロンズ姫。おじさんに、はじめましてって』
『はじめましゅて‼おじちゃま』
「おぉぉぉ~( 〃▽〃)何てかわいいんだ‼モーリィ‼モーリィ‼わしも、モーリィの見ている世界が見えたぞ‼」
「まだ一人でしょ?それにこの子は、人の孵した妖精よ?」
「それでもいいんだ~‼幽霊がいると言う屋敷に行っても、会わないし、見えないし、その部屋にすんだら、幽霊がいなくなったと言われたし……珍しいものが好きなのに‼」
嘆くおじさんに、祐也は、
『ブロンズ姫……おじさんと遊んでいいよ』
『あい‼』
このあと、祐也と日向、ウェインは見るんじゃなかったと心底後悔するのだった。
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