現世(うつしよ)と幻(うつつ)の世界で……
第75話、ミニブロンズ姫は必死に探します。
ブロンズ姫は、葉っぱを差しておくだけで、一週間くらいで芽が出る。
丁度、調子が悪くなりつつあった穐斗の代わりに、祐也が、
「穐斗。一つ折って差しておいたぞ?伸びるといいな?」
「じゃぁ、少し大きくなったら、祐也にあげる~。祐也がお父さん~」
キャハハ……と笑った穐斗に、
「じゃぁ、お前がお母さんか?」
と笑った。
それから、それを聞いていた小さい命は小さい芽を醒ましたばかりだったのである。
「おかあしゃん?」
まだ根もチョロチョロで、折った葉の栄養である程度成長しているミニブロンズ姫……ミニ姫は、横になっていた穐斗がどこかに行くのに気がつき、慌てて自分自身の本体をぽいっと穐斗のパジャマに入れて、
「おねえしゃんたち、おかあしゃんところにいってきましゅ‼」
「だ、大丈夫?」
不安げな姉達に、
「大丈夫でしゅ‼おとうしゃん、呼ぶでしゅ‼」
と、一寸法師よりも小さい体でうんしょと、追いかけていき、服をつかんでいった。
自分の体に戻り、身を潜めていたが、
「あぁ、穢らわしい。このような服などごみとして捨ててしまいましょう」
と言う椿の声で、ぽいっと床に落ちたパジャマからのそのそ這い出て、ベッドのすみに隠れた。
そして、周囲を閉ざした穐斗にそろそろと近づいたのだった。
「おかあしゃん……」
「えっ?」
「おかあしゃん。ぶ、ブロンズ姫の一番ちいしゃいでしゅ」
「えっ?」
目を丸くした穐斗の服を這い上がり、膝の上で、
「おかあしゃん。あにょ、おとうしゃんしゃがしてきましゅ‼」
「で、でもね?ここはどこなのか……」
「わかんにゃいので、ててて~‼でしゅ‼」
真っ青になる。
「ちょっと待ってぇ‼僕も方向音痴で祐也に怒られるんだよ?どこか解らない所は動いちゃダメって」
「ん~?ここ、おとうしゃん、匂いしましゅ」
「えぇぇぇ?祐也がいるの‼」
「違うでしゅ。ここじゃないでしゅ。んーとあっち‼」
ベランダを示す。
「すぐに行ける?」
「……しゃがしましゅ!」
飛び跳ねて行こうとした小さい赤ちゃん妖精を、
「解らないのに飛び出して捕まったら駄目だから、ね?」
「でも、お手伝い……」
「一緒にいて、ね?お願い」
抱き締める。
「もうちょっと……多分、きっと祐也は見つけてくれるから……ね?」
そして、穐斗の行方不明は、メールのあと、クローバー親父のパイプのお陰で電話がかけられるようになった醍醐が、
「ひな‼ど、どないしまひょ‼穐斗が‼」
「火であぶれ‼」
日向はごく一般の、妖精祓いをいってのける。
「そないなことやって、あてらは虐待や言うて捕まる‼」
「じゃぁ、一番簡単な、銀で祓え」
「へ?」
「silverは、清らかなものだろう。穐斗が身に付けていた指輪ががらくたなら、銀が苦手ってことだ。やっておけ。それと、確か鉄も嫌がると一部の風習にもあったな……」
今までの調査結果を説明する。
「もしかしたら、穐斗はこっちに来ているかもしれない。でも、ランズ・エンドの城は、ハロウィンの夜に扉を閉ざし、4月の末に開かれるまでは眠っているはずだ。こちらで探してみる。風遊さんには、動揺しないで待っていてほしいと。それとスゥにも……寒くなるから、体を大事にしろと……」
「解りました。ツンデレはこれだから……」
「腹黒よりましだ‼じゃぁな。調べる」
電話を切った日向は呟く。
「何で、突然穐斗を誘拐したんだ?それさえわかれば……」
と再び本を読もうとした日向はバタバタという物音と共に、
「先輩‼穐斗が‼どこに行ったか……」
包帯を頭に巻いた祐也である。
首はガーゼ、まだ痛々しい上に無理をしたせいか、青い顔をしている。
「大丈夫か?穐斗は、解らん。だが、こっちにいるかもしれない」
「そうなんですか‼」
「かも、だがな。急いで探そう」
「はい‼」
歩こうとした祐也を背後からウェインが捕まえる。
「祐也は寝てて。僕らが探すよ」
祐也はベッドに送られ、監視役として、紅がすさまじい英語の発音で祐也が熱を出したという落ちがあったのだった。
丁度、調子が悪くなりつつあった穐斗の代わりに、祐也が、
「穐斗。一つ折って差しておいたぞ?伸びるといいな?」
「じゃぁ、少し大きくなったら、祐也にあげる~。祐也がお父さん~」
キャハハ……と笑った穐斗に、
「じゃぁ、お前がお母さんか?」
と笑った。
それから、それを聞いていた小さい命は小さい芽を醒ましたばかりだったのである。
「おかあしゃん?」
まだ根もチョロチョロで、折った葉の栄養である程度成長しているミニブロンズ姫……ミニ姫は、横になっていた穐斗がどこかに行くのに気がつき、慌てて自分自身の本体をぽいっと穐斗のパジャマに入れて、
「おねえしゃんたち、おかあしゃんところにいってきましゅ‼」
「だ、大丈夫?」
不安げな姉達に、
「大丈夫でしゅ‼おとうしゃん、呼ぶでしゅ‼」
と、一寸法師よりも小さい体でうんしょと、追いかけていき、服をつかんでいった。
自分の体に戻り、身を潜めていたが、
「あぁ、穢らわしい。このような服などごみとして捨ててしまいましょう」
と言う椿の声で、ぽいっと床に落ちたパジャマからのそのそ這い出て、ベッドのすみに隠れた。
そして、周囲を閉ざした穐斗にそろそろと近づいたのだった。
「おかあしゃん……」
「えっ?」
「おかあしゃん。ぶ、ブロンズ姫の一番ちいしゃいでしゅ」
「えっ?」
目を丸くした穐斗の服を這い上がり、膝の上で、
「おかあしゃん。あにょ、おとうしゃんしゃがしてきましゅ‼」
「で、でもね?ここはどこなのか……」
「わかんにゃいので、ててて~‼でしゅ‼」
真っ青になる。
「ちょっと待ってぇ‼僕も方向音痴で祐也に怒られるんだよ?どこか解らない所は動いちゃダメって」
「ん~?ここ、おとうしゃん、匂いしましゅ」
「えぇぇぇ?祐也がいるの‼」
「違うでしゅ。ここじゃないでしゅ。んーとあっち‼」
ベランダを示す。
「すぐに行ける?」
「……しゃがしましゅ!」
飛び跳ねて行こうとした小さい赤ちゃん妖精を、
「解らないのに飛び出して捕まったら駄目だから、ね?」
「でも、お手伝い……」
「一緒にいて、ね?お願い」
抱き締める。
「もうちょっと……多分、きっと祐也は見つけてくれるから……ね?」
そして、穐斗の行方不明は、メールのあと、クローバー親父のパイプのお陰で電話がかけられるようになった醍醐が、
「ひな‼ど、どないしまひょ‼穐斗が‼」
「火であぶれ‼」
日向はごく一般の、妖精祓いをいってのける。
「そないなことやって、あてらは虐待や言うて捕まる‼」
「じゃぁ、一番簡単な、銀で祓え」
「へ?」
「silverは、清らかなものだろう。穐斗が身に付けていた指輪ががらくたなら、銀が苦手ってことだ。やっておけ。それと、確か鉄も嫌がると一部の風習にもあったな……」
今までの調査結果を説明する。
「もしかしたら、穐斗はこっちに来ているかもしれない。でも、ランズ・エンドの城は、ハロウィンの夜に扉を閉ざし、4月の末に開かれるまでは眠っているはずだ。こちらで探してみる。風遊さんには、動揺しないで待っていてほしいと。それとスゥにも……寒くなるから、体を大事にしろと……」
「解りました。ツンデレはこれだから……」
「腹黒よりましだ‼じゃぁな。調べる」
電話を切った日向は呟く。
「何で、突然穐斗を誘拐したんだ?それさえわかれば……」
と再び本を読もうとした日向はバタバタという物音と共に、
「先輩‼穐斗が‼どこに行ったか……」
包帯を頭に巻いた祐也である。
首はガーゼ、まだ痛々しい上に無理をしたせいか、青い顔をしている。
「大丈夫か?穐斗は、解らん。だが、こっちにいるかもしれない」
「そうなんですか‼」
「かも、だがな。急いで探そう」
「はい‼」
歩こうとした祐也を背後からウェインが捕まえる。
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