住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

七瀬さんの愛のこもったプレゼント

「遊びに来たわ」
「あ、いらっしゃいませぇ」
「ぅわ……」

微笑む七瀬さんは、じぃっと私と恵さんを見たあと。

「座って良いかしら?」
「あ。はい、どうぞ!」

勿論座って良いですよぉ。
私の声を聞いて、七瀬さんは……私の隣に座りました、って、わわ……ちっ近いぃ。

「……」
「……」
「……」

あっありゃ? 急に黙っちゃいました。
えと、きっ気まずいですね。

「そうだ。先に渡しておくわね」

その気まずさを破ったのは七瀬さん。
持ってきた紙袋から、何かを取り出しました……んー? なんでしょ、綺麗に梱包されてますね、しかも赤いリボン付きです。

って、わわ、それ……私に渡してきましたよ。

「これ。胡桃へのバレンタインプレゼント」
「えっ!? わっ私にですか!?」

えっえぇぇぇっ!? おっ驚きですっ! そんなの聞いてませんよぉっ。

「はい。受け取って」
「はっはい! ありがとうございます!」

おっおぉぉ……。円柱型……ですね、しかもこれ結構重いです。
これ、高かったんじゃないですか? まだ中身見てないですけど、高級感漂ってますよ?

「開けてみて」
「はっはい!」

なっなにが入ってるんでしょう。
えーと、破かない様に綺麗に開けてっと……っ!!

「こっこれは……水飴! しかもお徳用!」
「業務スーパーで買ったわ」

まっ、まさか……水飴とは……しかもお徳用!? こっこんなの、うっ嬉しすぎですよぉぉぉぉっ!!!!

「七瀬さぁぁぁん」
「っ!! くっ胡桃!?」
「ちょっ、胡桃ぃぃっ!」

嬉しすぎて気持ちが抑えきれなくて、私……七瀬さんに抱き付いて押し倒しちゃいました。
七瀬さん、驚いちゃってますね……えへへ、やっちゃいました。

「七瀬さん、ありがとうございまふ。とっても嬉しいです!」

でもでも、もすこし抱き付いてます! だって、嬉しいんですものっ。

「えへへへ」
「っ!?」

私が、微笑むと……七瀬さん真っ赤になって鼻押さえちゃいました、分かりやすく照れてます、可愛らしいですねぇ。

「ちょっ、胡桃っ。離れなって。危ないよ!」
「わっ、恵さん?」

あらら、強引に引き剥がされちゃいました……。
あ、七瀬さん、カクカクしてます。
ちょっと強く抱きすぎちゃいましたかね?

「ごめんなさい。もう帰るわ」
「え。もう帰っちゃうんですか?」
「えっえぇ……やることを思い出したの」
「そっそうですか」

七瀬さん、まだカクカク震えながら出ていきました。
……私が強く抱きすぎて身体壊した、なんて事はないですよね? ちょっと心配です。

「はぁ……」

ん? 恵さん、ため息つきましたね。
なにかありました? とっても疲れきった顔してます。

「胡桃ぃ」
「はっはい」
「もすこし危機感もった方が良いよ。ほんとに」
「え?」

??? きっ危機感? どゆことです? なっなんか知りませんが、注意されちゃいました……。




その後は、暫く恵さんと話して、私は着替えて寝ちゃいました。
毎年、やる気全部無くなっちゃうバレンタインの夜、でも今回は恵さんと七瀬さんのお陰で……とても楽しい夜になりました! 明日、きちんとお礼しないといけませんねっ。

ふふふふ、恵さん、七瀬さん、本当にありがとうございます。

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