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わいず

山田のチョコの真実 2

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貴女は都会の喧騒の中に咲く一輪の華ーー
私は、それを探す探求者ーー
貴女の心を満たしたい、私の愛で満たしたいーー
私の愛を受け取って、こんな言葉じゃ足りないけれど記させて貰うわこの言葉ーー
FOREVERLOVEふぉーえばーらぶ 貴女をずっと愛してる。

貴女の心の安らぎ 霜月 七瀬より

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「………………」

うっうん、なっなかなか……その、えと……個性的? 直情的……いや、情熱的、いやいや詩的なラブレター……だよな? ラブレター……で良いんだよな? 怪文書じゃないよな? いっいや、ラブレターと言うことにしておこう。

なっなかなかハードな内容だ、もうほんと……色んな意味で。

なんだこの軽く吐き気をもようす程くっっさい言葉を書き記したラブレターは! あまりにアレ過ぎてなんも言えなくなったぞ!  あと全身に鳥肌がたってしまった! これを受け取った恵様、きっと白目向いて震えるぞ、後なんも言えなくなるぞ……絶対に。

あと、霜月七瀬って……誰だよ! 知らないよ! そんな奴学校にいねぇよ!

え、もしかして……他校の奴? だったら俺、手詰まりだわ。
なんにも出来ねぇわ……と言うか、七瀬って……女みたいな名前だなぁ。

ま、それは置いといてだ……どうすんのコレ。
どうしようもなくないか? 俺、どうしたら良いんだ?

くっそ。
七瀬め……どんな奴か知らないが、とんでもない事をしてくれたな! あんな手紙書くぐらい好きなら間違えんなよ!

「他校の相手なら事前確認必須だろうがぁぁぁぁ……」

拳を作ってブルブル震える俺は……だんっ! と床を殴った。

「……いや、今は怒ってる場合じゃない」

この事態、なんとか好転させないといけない。
だがどうやって? さっきも言った通り、七瀬なんて奴はこの学校にいないし、俺も知らない。
当然、どの学校に通ってるのかも知らない……だったら、どうする?

「……取るとしたら一つしかないだろう」

本当は最初からうっすらと思ってた。
だが、すごく恥ずかしいし変な誤解が生まれる……まぁ後者の方は上手く説明すれば何とかなるだろうが……前者、ここが鬼門。

俺がやろうとしてる事は……女子と録に会話もしてない奴がいきなり告白する様な物、それと似ている。

えと、つまりだ……俺が直接恵様にチョコを渡す。
と言う事だ。
正直間違えた七瀬って奴が悪いから放っておけば良いんだが……そうもいかないだろ? 気持ちを込めて送ったチョコレート、受け取って貰わないと可愛そうじゃないか。

まっまぁ……恵様、バイト先で働いてる、胡桃って言う女店員が好きなんだけどな……。
俺、直接見たし……そこからなんだよな、なんか色々と妄想して変な事になったのわ。

まっまぁ、その事は今は良い。
七瀬って奴は面識が無いし手を貸すいわれはないが……助けてやるよ。
ちゃんと感謝しろよ? あと、お前自身きちんと会って気持ちを伝えろ! 告白って……そう言う物だと思うんだ。

まぁ、俺……告白した事ないから偉そうな事言えないけどな。
あっはっはっはっはっ…………はぁ。

「がんばろ……色々と、その……うん……がんばろ」

虚ろな眼で呟いた。
窓は閉めてるのに虚しい風がビュゥゥ……と吹いた。
大丈夫、俺まだ十代、チャンスはある、あるったらある! 

まぁ……うん、取り敢えず、放課後恵様が一人になったのを見計らって渡そう。
そう思って、そのまま弁当を食べた。

その弁当は、虚しい気持ちを癒してくれる優しい味だった。
母さん……今日の弁当も美味しいよ。

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