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わいず

私は思う、甘いものは正義だと! 5

「うぅぅ……もう無理ぃ、あたし限界ぃ」
「おっおれも……これ以上は、いっ胃がぁぁぁ」

恵さんと止さんがダウンしちゃいましたね。
机にべたぁっと突っ伏してます。
お菓子食べてダウンするなんて変な人ですねぇ。

「胡桃」
「んあ? にゃぎゃとしゃん?」

もごもごと口を動かす私、今マシュマロ食べてます。
甘いです、柔らかいです、無限に食べられますねっ。

「むぅ、勢い止まらず食べてるな。凄い食欲だ」

ふっふっふっ、甘い物ですからねぇ。
入る所が違うんですよ、それに良く言うでしょう? 甘い物は別腹、お腹はふくれないってね。

「長門さんも食べてますか?」

こくんっ、と飲み込んで聞いてみます。
そしたら長門さんは、むんっ! と胸を張りました。

「食べてるぞ、さっきケーキ1切れ食べた」
「ほぉ、そうなんですか……」

なんのケーキ食べたんですかね?
チョコ? チーズ? ショートケーキ? あっ、因みに私はさっきケーキ食べましたよ? ホール1個丸々ペロリと頂きました。

どれもこれも美味しかったですよぉ、なのでもう1回食べようと思ってます。

「ふむ、そろそろ言おうか……」

ん、今何か言いました? 小さくて聞こえませんでした。
気聞返しましょう、と思いましたが、それよりも先に長門さんが話してきました。

「胡桃、食べながらで良いから聞いて欲しい」

ん? 急に真剣な顔付きになりましたね。
食べながらで良いって言ってますけど……一応食べるの止めてしっかり聞きましょうか。

「実はこれ、試食会ではないのだ!」
「……へぇ、そうなんですか。…… えぇぇぇぇっ!?」

ちょっ、驚きですよ! これ、試食会じゃないんですか? ずっとそうだと思ってましたよ?

じゃぁ一体、これは何なんですか? なんの為に甘い物食べてるんですか?
まぁ、私にとって凄く良い事なので何があっても問題ないんですけど……気になります。
気になっちゃって、口が空いたままになっちゃいました。

「実はこれは、バレンタイン間近恒例! 甘い物沢山食べようぜ祭だったのだぁっ!」
「ふぁっ!?」

なっなん……なんて素晴らしい計画なんでしょう。
それなのに、恵さんと止さんは2人して、じとぉっと長門さんを睨んでます。
なっなにか不満げな視線ですね……。

「でだな、毎年恒例で発注ミスって甘い物が大量に届いてしまった……なので全部食ってくれ!」
「任せて下さい!」
「いや、任されたらダメ!」

即答えました。
その事ならどんっ! 任せて下さい! と思ったんですけど……恵さんが何故か「ダメ」って言ってきましたね。

「毎回毎回バカみたいに同じ失敗して! てんちょ1人でなんとかしなさいよ!」
「いやぁ、そうしたいだが量を間違えてなぁ……私はうっかりさんだな、わっはっはっはっ」

いやぁ参った参った、って感じに笑う長門さん。
なるほど、うっかりですか……納得しました。

「でも、それなら正直に言えば喜んで食べましたよ?」
「ん、そうなのか? いやな、物が届いてミスに気付いた時にな? 怒られると思って嘘ついたんだ」

にこぉって笑う長門さんを「笑って誤魔化すな!」と怒る止さん。

「そんな怒っちゃダメですよ。些細なミスじゃないですか」

そう言うと二人して「えぇ……」と言ってきました。
なんでそんなに引いた様な視線してるんです?

なんて疑問を抱いてたら、ぽむっと背中を叩かれました。

「よくぞ言った! だが、バレンタイン間近恒例!甘い物沢山食べようぜ祭を開催しようとしてたのは本当だ! だから楽しんでくれ!」
「はいっ!」

ふっふっふっ……。
なんか期待されちゃってますね? これはあれですね……期待には沿わないとダメですねぇ、じゅるり……。

「全部食べ尽くすつもりで食べちゃいます!」
「おぉっ、頑張れ! 私も適度に頑張るぞ!」

ぐっ! と手を握って気合いをいれます。
理由はなんであろうと私は甘い物を食べますよっ、いつでもウェルカムですっ。


この後、何時も以上に気合い入れて甘い物を食べまくった私。
恵さんと止さんは早々にダウンしちゃいました、なんかお腹いっぱいとかなんとか言ってました。

で、ですね……私、どんどん食べて食べて食べ続けたんですが……まぁ流石に全部食べるのは無理でした。

なので長門さんが最後の策として残してた"おすそわけ作戦"を決行しました。
おすそわけの相手は自分の会社の社員さんらしいですよ?

これ、社員さん喜ぶんじゃないですかね? だって甘い物は正義ですから!

ふふふふぅ、今日は甘い物山程食べれて幸せですっ。
これで仕事も何時も以上にバリバリ出来ますよ!

と、元気になった私。
ですけど恵さん、止さんはげっそりしてました。
七瀬さんは「ふふ、良い物が味わえて幸せ」と言ってにこにこしてました、良い事ですね。


と、こう言う感じで幕を閉じました。
こう言う事、毎年してるんですねぇ……素晴らしいですねぇ、甘い物が沢山食べれるなんて!
あ、でも次からは長門さんがミスしない様に私が見ましょう。

「そして好きな物とか頼んじゃいましょう、うへへへへ……」

そんな邪な事を考えつつ、私は今日食べた甘い物を思い出しながら過ごしました。

またこう言うの開いて欲しいですねぇ。
そう思った私ですが……翌日おもむろに体重計に乗ったら悲しい事になってて泣きを見て食べ過ぎた事に後悔する事になるとは、この時知る由もありませんでした……。

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