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わいず

止捜索、裏話 3

あれから2人は仲良くアイスを食べたり、一緒にゲームをしてたりしたわ。

格闘ゲームは一方的に胡桃がやられてたわね。
負けそうになってる胡桃と来たら……なんか、心の底から来るものがあったわ。

アイス食べてる時は、とても楽しそうに会話していた。
それを陰ながら見てた私は、沢山百合妄想する事が出来たの、うふっうふふふふ……。

でも、そんな嬉しい事ばかり起こらなかった。
途中で、時代錯誤の不良に絡まれたりしてたわ。

腹がたって思わず飛び出したけれど、胡桃が颯爽と解決したの……。
見事な肘内が不良の頭に当たったわね、見てて痛そうだったわ。

ふふ、あの不良、無様に逃げて行ったわ、良い気味よ。

それにしても……胡桃、凄く強かったわね。
強い女性も私の好みよ、そんな女性には優しく抱き締められたいわね。
そして耳元で「一生守ってあげる」とか言われてみたい……。

うっはぁ、たぎるわぁ……めちゃくちゃ興奮してきたわぁ、ぐへへへ。

っと、いけない……またいつもの癖が出てしまったわ。
つい出てしまうのよね、気を付けないといけないわ。

ニヤけた顔をペチペチ叩いて引き締める。
あ、胡桃が走って何処かへ行ったわね……それを止が追い掛けて行ったわ。

私も後を追い掛けましょう。


「……相変わらず、目立った事するわね」

所変わって商店街、さっきと変わらずそこそこ人が歩いてる。

胡桃も止も直ぐに出てっちゃうから追い掛けるのが大変よ。

あ、別に私の足が遅いとかそう言う問題じゃなくて……尾行する時は、他人の目も気にしないと不審者に間違われるからよ。
ほんと大変よ……色々と物陰に隠れて、足音とかたてずに歩いてるのよ?

その苦労が貴女達に分かるかしら?

と、そんな事は置いといて……現状を説明した方が良いわね。
えと、今は止が胡桃に飛び掛かった所よ。

そしたら胡桃は「ひゃいっ」って悲鳴を上げた……可愛い。
それと、胡桃に飛び付いた止も可愛い……。

止って、行動の全てが可愛らしくてたまらないのよね……あれを素でやってるんだから驚きよね。

うんうん、と頷きながら思う私、すると2人に動きがあった。

「……また何か話してるわね」

気になるからもう少し近付いて見ましょう。
何を話しているか、気になる事ですしね。
と言う訳で近付いてみる、張れない様にこっそりとね……。

「お姉さんはさ、おれを助けてくれたからお礼をするぜ!」
「え、そんなの良いですよ……」

お店の陰に隠れて聞いてみたら、そんな会話が聞こえて来たわ。
なるほど、お礼ね……止はどんなお礼をするのかしら?
……とてもドキドキな事を胡桃にするのかしら? そう思うのは私だけかしら。

「遠慮はすんなよー、な? お礼させて」

なんて冗談はさておき、2人を良く見てみる。
ふむ……胡桃、止に上目使いでお願いされて頬が真っ赤ね……もしかしなくても萌えているわね、気持ちは分かるわ。

止は恥も外聞も全部捨ててでも抱き締めたくはる身体つきだもの。

「分かりました。では、お言葉に甘えますね」
「ほんとか!? じゃっ、早速行くぜ! おれの行き付けの店にレッツらゴーゴー!」
「あ、ちょっと待ってください!」

……おっと、止の事を考えてたら会話が進んだわ。
どうやらお礼を貰う事にしたのね、ふふふ、さぁて止のお礼って何かしらね。

なんて事を思ってたら、胡桃が止を呼び止めたわ。

「貴女の名前を教えて下さい。私は桜塚 胡桃と言います」

え? 貴女達、まだ名前を教えて無かったの?
てっきり、名前を教え合って仲良くなったからデートしてるものだと思ったのだけど……違ったのね、なんか残念だわ。

「あ、そう言えば名前言ってないじゃん」

いっけねぇ、そう呟きながら頭をカリカリ掻く止。
あ、今思ったのだけど、名前も知らないのに、良く会話が続いたわね……。

「じゃ、言おっかな」

まぁ、それをさておき……止が胡桃から数歩離れて変なポーズを取り出したわ。
それをした瞬間、道行く人達は足を止めて様子を見る。
「なんだなんだ?」「何が始まるの?」なんて呟きも聞こえる。

……注目されたわね。
胡桃もそれに気づいて焦っているわ。

「おれはソコソコな腕を持つゲーマー!」

あ、自己紹介が始まったわ。
そう言えば、私が止と初めて出会った時もポーズをとって言われたわね。
あの時の事は良く覚えてる、どや顔を見せ付けながら、胸を張ってツインテールをふりふりしながらしてたわね……。

あの時は思わず押し倒しそうになったわ……まぁ自我を保てたから襲わなかったのだけどね。

「ゲーマー界では、おれの事をリトルって言われてるぜ!」

ふふふ、そうね……ゲーマー界では、止はリトルって名乗ってるわね。
そしてその名はゲーマーの中では有名、ゲームの雑誌に載るくらいね……。

私、何度か止とゲームで対戦をしたのだけど、一度も勝てた事が無いわ。
って、人が大分集まって来たわね……ちょっとしたイベント状態になってるわ。

「ゲームはオールジャンルとはいかないけれど、上手くやれる自信があるぜ!」

びしっ!
拳を上に突き上げ格好良いポーズをとる止。
あぁ……なんて可愛い仕草をするのかしら。
今すぐ此処から飛び出して押し倒したい……でも、それをしてはダメよ。
まだフラグが成立してない、せめてフラグ成立してから襲うのよ!

……って、自分の欲を抑えてて気付かなかったけれど、胡桃……白い目で止を見てるわ、きっと「うわぁ……この娘、痛い娘です。今すぐ走って逃げたいくらい、関わりたく無い人です」って思ってるに違いないわ。

何故そう思うのか? そんなの簡単よ、だって胡桃……今顔が真っ赤だもの。
それくらい察しが付くわ。

あ、止が大きく息を吸ったわね。

「二十歳手前の自称美少女! お酒は呑むけど煙草は飲まない、の誓いを立てる平成生まれの元気っ娘! 見た目はチビだが、度胸はある方! その名も……小片 止!」

びしっ!
格好良いポーズを決める止……この唐突に格好つける所も可愛いわぁ。
それに、妙に長くて変な誓いを立てる変な所も可愛い! あぁ、いつか告白してハーレム要因に加えたいわぁ、くひっくひひひひ……。

と、不気味な笑いをしつつ、胡桃の方を向いてみる。
あらあら、胡桃の何とも言えない表情も素敵……よしっ、写真取っておきましょう。

そう思った瞬間、ポケットからスマホを素早く取り出し、パシャッと写真に収た後、私は思う。

思った以上に私を楽しませてくれるわ。
長門には悪いけれど、暫く2人の様子を見ていきましょうか。

そんな事を思った私は、ふふふふ……と笑ったのであった。

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