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わいず

お酒のお付き合いの話し 3

あれから時間が少し経ちました。

「それでなぁ、胡桃はなぁ、真面目過ぎて、ダメなんらぞぉ、わぁはっはっはぁ、うぃひっく」

酔いどれです、長門さんが偉く面白い感じになっちゃってます。

「あぁもうっ、これ以上お酒飲んじゃダメですよ、ふらっふらじゃないですか!」

今の長門さんは、視線が定まってません、目をとろーんとさせて、呂律が回ってなくて、ふらふらです。

「なぁにぃ、酔ってるらとぉ、うへへぇ、らったらぁ、ひっくっ、その時にちゅかえりゅ、台詞があるろぉ」

陽気に笑う長門さんは私を見てペチペチ叩いて来ます、あぁ周りの人に見られてるじゃないですか! 良いんですか? この人達は、あなたの社員さんですよ? 今、酔っぱらう所見られちゃってるんですからね!

「わらし、酔っちゃったみらい……」

と、その時です。
長門さんが頬を紅潮させ、顔を斜め上に向け、言ってきました。
目なんか、潤んでますし、なでか知りませんが、胸元をちょっぴりはだけさせてますし、やってる事と言ってる事の意味が分かりません。

「知ってますよ、改めて言わなくても分かってます、それと、風邪引きますから、服はちゃんと着て下さいね」

とりあえず、はだけた服をきちんと直してあげましょう。

「うぅぅ、ノリ悪いろぉ、ドキッとしろぉぉぉっ」

そしたらです、暴れました。
なので、頭を、べちんっと叩いて黙らせます、静かにしてくださいっ。

「っ、ぶったなぁ、らめらんらろぉ、ぶったらいけないらぞぉ」

顔を真っ赤にして、私に指差す長門さん、その腕をぶんぶん振るってきます。
あぁ、もう……面倒臭いですねぇ。
ここは、私1人じゃどうにか出来ません、手伝って貰いましょう。

「七瀬さん、すみませんが力を貸してくださ……い?」

その為に振り向きました。
私の側には七瀬さんが座っているのです、なので助けを求めるとしたら、七瀬さんしかいません。
……えっ、えと、なっ七瀬さん? カウンターにうつ伏せになってますけど、大丈夫ですか? 座った状態でその姿勢は背骨に悪いですよ?

って、突っ込んでる場合じゃありません! 完全に酔いつぶれちゃってるじゃないですか!

「なっ七瀬さん、大丈夫ですか!? って、ちょっ、長門さん! 抱き付かないで下さいっ」
「うへへぇ、わらしは酔ったんらろぉ、漫画的には押し倒してぇ、色々するんらろぉ、ぐひひひぃ」

あぁもぅ、表情がまるっきりエロ親父ですよ! その様子を近くで見てる、店員さんを見てください! あまりの社長の酔いっぷりに目を反らしてますよ! これ以上は社員から見た社員の印象が変わって来ますよ!

「うっ、お酒臭い……」

て感じに色々思ってると、そんな臭いを感じました。
きっと長門さんは明日、二日酔いに苦しむんでしょうね……。

はぁ、仕方がありません、ここは、されるがなって今の状況を耐え抜きましょう。

「すみません、うちの社長が……」
「あっ、大丈夫ですよ? 気にしないでください」

ここで、カウンターの向こう側にいる方が助け船を出してくれました。
深々と頭を下げてきます。

……って、ん?

「しゃ、社長って……もしかして、あなたはこのビルの社員さんですか?」
「はい、バーテンダーの資格があると言ったら、ここを経営する様に言われました」

……なるほど、不条理な社長命令はこの人にも被害が出てましたか。

「そうですか、大変ですね」
「いっいえいえ、そんな事は……あははは」

社員さん、笑顔を作ってますけど、ひきつってますよ? 無理しなくても良いんですからね。

それにしても、部下に気を使う上司、こうはなりたくありませんね。

「うへへぇ、胡桃ぃ、お前は可愛いなぁ」
「はいはい、有難うございます」

今だ後ろから抱き付いたままの長門さんは、私の胸やお腹を触りまくって来ます。
くっ、くすぐったい……。

と、その時です!七瀬さんが、ガバッ、と起き上がりました。
そして、斜め上を見据えて語り初めます。

「百合と言うのは素晴らしい、それを例えるなら甘き密と美しき華、つまり百合と言うのは、全ての美を象徴した文化であるの」

……え、いきなり何言ってるんですか? こわい。

「ふふ、で、百合に関する妄想なのだけど、私はついついエロに走りがちね、ダメよね、悪い癖よ……百合と言うのはエロス以外に色々とあるのだから」
「あっ、あの……七瀬さん?」

さっさっきから何を言ってるんです? 一点を見つめて独り言言わないでください、軽くホラーを感じます、止めて下さい。

「手繋ぎ、2人でショッピング、一緒にお仕事、えとせとら、えとせとら……ふふっふひひひっ」

あぁ、聞き入れて貰えませんでした。
なんか、不気味に笑っちゃってますね、よし、放っておきましょう。
関わると、確実に面倒な事になりそうです!

と言うか、ここは長門さんだけでも部屋に送るべきじゃないですか?
んー、七瀬さんは後で何とかするとして、よしっ、そうしましょう!
と、決めた所で、さっそく行動を開始しましょう。

「すみません」
「はい? 何でしょう」

まず、社員さんに声をかけます。

「長門さんの部屋って知ってますか?」
「はい、知っていますが……如何するつもりで?」
「もう、部屋に帰そうかと思いまして」
「あぁなるほど、でしたら我々がお送りしますよ」

私の言う事を理解したのか、頷く社員さん。
こっちに来ようと移動して来そうなので、すかさずこう言います。

「いっいえ、私が背負って行くので、部屋を教えて下さい」
「そっそうですか、分かりました、長門社長の部屋は最上階の000号室になります」

社員さんに迷惑を掛ける訳にはいきませんからね、ここは私が行きましょう。
って、長門さんの部屋って000号室なんですね、なっなんか0が3つって格好良いです。

「はい、有難うございます、送ってくる間、七瀬さんをよろしくお願いしますね」
「かしこまりました」

その言葉を聞いて、抱き付く長門さんを何とか引き剥がし立ち上がります。

「ほら、長門さん、私の背中に乗ってください」
「んぁ? 背負っれくれるのかぁ、あははぁ、わぁいっ、少女漫画みらいらぁ」

でろんでろんの長門さんに背を向けると、長門さんは私にまた抱き付いてきます。

それを、おんぶの状態にします。

「うぉぉ、胡桃は力持ちらなぁ」

そんな長門さんの声を聞いた後、私は社員さんに一礼した後、お店を出ていきます。

はぁ……本当に酔っぱらいの相手をするのは疲れますね。
でもまぁ、こう言う経験も大切なんでしょうね。

お店から出た私は、赤い絨毯が引かれた、長い廊下を、ゆっくりと歩きます。
エレベーターは、この廊下を真っ直ぐ行って、2つ目の曲がり角を曲がる、そこにエレベーターがあります。

さっさと行って、さっさと七瀬さんの所に戻りましょうかね。

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