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わいず

ある日のポテチの話し 2

「商品が売れるのは良いんだが、少し気になってな」

うぅむ……、唸る長門さんは腕を組み考えます。
凄くどうでも良い悩みなんですが、気になるのは私も同じです。

はて、なんででしょう? 新しい味が出たからですかね? あっ因みに私は塩チョコ味が好きです!

薄塩のポテチに甘いチョコレートソースが掛かってるあれです、あれ美味しいですよね。
まぁ中々見当たらないから、あまり食べてませんけどね、もっと売り出せばいいのに。

「あれか、急にポテチに飢えたか? あるよな、急に何かを食べたくなる時って」
「うん、ある」

長門さんの言葉に、こくこくと頷く七瀬さん、確かにそう言うのありますね。
私、甘い物食べてる時には無性にしょっぱい物食べたくなります。
それとおんなじなんでしょうか?

「……でも、急過ぎません? そんなにポテチって食べたくなりますかね?」
「コーラ飲んだら食べたくなるわ」
「あぁ、まぁ七瀬さんの言う通りですけど……」

コーラとポテチの味の愛称は最高、だけどカロリー的な物を考えると最悪……と、今はそんなのはどうでもいいです。

「んー、私の記憶によれば、ポテチを買った客の殆どが成人女性だったな」
「えぇ? それってなんか変ですね」

ポテチって、高カロリーですから女性はあんまり買わない気がします。
まぁ私は買うんですけどね、塩チョコ味のを……。

「ふむ、気になったのならその商品を見れば良いか」
「あっ、そうですね、それがてっとり速いです」

長門さんは手に持ってた箸を置き、立ち上がります、だけど動きを止めました、なぜなら。

「持ってきたよ」

既に七瀬さんが持ってきてたからです。
えと、いつの間にいったんですか? 全く気づきませんでした。

七瀬さんは微笑んで、眼鏡をくいっと上げた後、ポテチを長門さんに渡します。

「ありがとう七瀬、さて……じっくりと調べようか」

因みに、お客様が買ったポテチの味はフルーツカレー味、カレーのスパイシーさとフルーツの甘味が見事にマッチした旨辛味、と書かれてます。

むぅ、カレーはいらないですね、甘いのだけで充分です!

「胡桃」
「あっ、はい! なんですか、七瀬さん」

びっくりした、急に話し掛けられちゃいました。
驚きながらも反応すると、七瀬さんは、まじまじとこっちを見ていました、そっそんなに見ないでください。

「なんか、不満げな顔してる」

え? そんな顔してたんですね、気付きませんでした。

「え? あぁ、顔に出ちゃってましたか……えと、フルーツカレー味じゃなくて、フルーツ味として出して欲しかったって思っただけですよ」
「……そう」

私の言葉を聞いて、そう答えると七瀬さんは、くすりと笑い。

「ほんと、好きなのね……甘い物が」

こう言ってきました、なのでこっちも微笑んで。

「はい、大好きです!」

こう言いました。
甘い物は最強、それだけで1年は生きていけます! あと甘い物があればご飯3杯は進みますねっ、食べ合わせ最悪そうだから一緒に食べた事ありませんけどね……。

「わかったぞっ!」

と、そんな会話をしていると、長門さんが大きな声を上げました。
どうやら、何か分かったみたいです。

「恐らく、今日ポテチが売れに売れてる理由は、これだ!」

にっ、と笑う長門さんは私と七瀬さんにポテチの袋を見せ付けます。
どうやら見せられているのは裏側みたいです、そこにはこんな事が書かれてました。

《今話題沸騰のイケメンアーティストに会おう!》

イケメンアーティスト……、気になったので、良く見る為に長門さんからポテチを受け取ります。

そしたら七瀬さんも覗き混んできました、なんか息が荒いですね、大丈夫ですか?

「……なるほど、こう言う事ですか」

と、そんな事は気にせず読んだら、なぜポテチの売れ行きが良いのか分かりました。
それはズバリ! ポテチを買って中に入ってるシールを10枚集めてハガキに張って応募すると、イケメンアーティストのイベントチケットが貰える! と言うキャンペーンがあるからでした。

「ふむ、よく考えたなぁ……ポテチを売る会社も儲け、イベント設営の奴等も儲ける訳か」

うんうん、と頷く長門さん、確かに長門さんの言う通りです。
今日日、こう言う売り方が出てきたんですね、ちょっと驚きました。

「だが!」
「わっ、おっ大声出さないで下さいよ!」

だんっ! テーブルを叩く長門さんに驚く私、すかさず注意しますけど、長門さんは聞いてくれません。

「味が私の好みでないのが気に食わない!」
「いや、知りませんよ!」

どこにキレてるんですか、まぁその意見には少しだけ賛同しますけどね。

「私も味が嫌、コンソメの方が良かった」
「なっ七瀬さんまで……」

ふんすっ、強く鼻息を出す七瀬さん、なんでか知りませんけど、ぐっ! と拳を作ってます。

「むっ、七瀬はコンソメ派か、私は断然……薄塩だ!」

あ、なんか好きなポテチの味について話出しましたね。
そう私が察すると、2人が私の方を見てきました。

「胡桃は何味が好きなんだ?」
「胡桃は何味が好きなの?」

ほぼ同時に言ってくる。
まぁ聞かれると思いましたけど、一言言わせてください、話変わっちゃってますよ?

と、思いつつも私は「塩チョコ味が好きです」と答えました。

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