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わいず

ある日のポテチの話し

「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
「良く来たな」

今日も今日とて寒いです、今はお客様が沢山入ってくる昼頃、太陽が出てるのに寒いってどういう事ですかね? 太陽さんもっと頑張って下さい。

と言う心の声を言いつつ、お店に入ってきたお客様に挨拶、相変わらず長門さんの挨拶は軽い、もっと七瀬さんや恵さんを見習ってください!

2人共しっかりしてるんですから、店長である長門さんがそれではダメですよ!
ほら、七瀬さんを見てください、素早くレジ打ちしてますよ、あっ因みに私は棚の整理と商品補充してます。

しっかしあれですね、やはり昼頃は混みますねぇ、こんな時恵さんが居てくれたらなぁ。

そう言えば、私が恵さんの友達に男に間違われたあの日、恵さんは嬉しい事言ってくれましたね、今の私が好きって……ちょっぴり照れ臭いですけど、物凄く嬉しいです。

「あの、すみません」
「っ、はっはい! なんでしょうか?」

うぉっと、お客様が話し掛けて来ましたね。
暖かそうなコートを着た女性ですね、なんでしょうか?

「コルベーのポテチって、もう無いんですか?」
「へ? コルベーのポテチですか?」

コルベーと言えばあれですね、大手お菓子メーカーの1つです。
他にもラッパ蟹煎かにせん、ポテラコ……他にも沢山あります。

「棚を見たら無くて、もしかして、もう無いですか?」
「え、あっいえ、あります、今すぐ補充します!」

こうしちゃいられません、さっさと補充しましょう。
しかしあれですね、昼前にお菓子とは……まさか昼食にお菓子食べるつもりですかね? ダメですよ! ちゃんとご飯を食べないと。

とは、お客様には言えません、なのでさっさと補充します。
ポテチ入り段ボールを持ってきて、さっさっさっと……よし、出来ました。

「お待たせしました」
「ありがと」

ぺこり、頭を下げた後はポテチ (薄塩味)を4個持ってレジに向かいます。
って、4個も買うんですか? 買いすぎじゃないですか?

しかも持ってたのはポテチだけですねぇ、お昼はあれだけで済ますつもりなんどしょうか? あぁ、注意したい。
いや、どう考えても1人で食べる様じゃありませんよね? 恐らく、皆で食べる用のおやつを買ったんでしょう。

そう思いつつ、私は作業を再開します、あぁ忙しい忙しい。


「ふぅ……やっと、空いてきましたね」
「ん、昼時は混む」
「全く、あいつ等は暇人か何かか?」

昼間の忙しい時間は過ぎて今は休憩時間です、はぁ……疲れました。
スタッフルームにある、パイプ椅子に腰掛け背伸びする私、あっ、勿論七瀬さんも長門さんも椅子に座ってます。

すると長門さんがテーブルに指差して言いました。

「取り合えず弁当食べよう、腹が減ったからな」
「ん、長門の言う通り、お腹すいたわ」

そこには、お弁当があります、お店とかで売ってるお弁当です。
それに紙が巻かれてるんですが、そこには《三ツ星》と言う文字が刻まれてました。

三ツ星……あぁ、私が勘違いした、近くの商店街にある大衆食堂の名前でしたよね。
あそこ、お弁当も作ってたんですね。

「何も聞かないで、彩り弁当を頼んだが……いいよな?」
「はい、構いませんよ」
「問題ないわ」

私と七瀬さんの話を聞くと長門さんは「そうか」と言ってお弁当をそれぞれ渡してきます。
それぞれが蓋を開けて、中身を確認、ふむ、野菜中心のお弁当ですね、鮭の切り身がメインっぽいです。

「では、頂きます」
「「頂きます」」

行儀良く手を合わせての合掌、それからは、ぱくぱくとご飯やおかずを食べてきます。

あぁ美味しい、この大根の煮物、味が染みてますねぇ、あと、このキュウリのお漬け物、ご飯と良く合います。

やっぱり、お昼御飯はこうでなくてはいけません。
お菓子で済ませるなんて言語道断です! と言う事で皆さん、主食がお菓子になっちゃダメですよ?

ぱくっ、心の中でそんな事を思いつつ梅干しを食べます。
あぁ酸っぱい、これが干し梅だったら尚美味しいのに……でも、普通の梅干しもいけますよ。

「そう言えば」

と、その時です。
長門さんが、ご飯を食べ、こくんっとした後、話し掛けてきます。

「はい?」
「なにか?」
「いやな、気になった事があるんだ」

え、気になった事ですか……。
長門さんが気になった事、なんか録な事じゃ無い気がしますが……まぁ聞きましょうか。

「今日はやけにポテチが売れる気がする」
「あ、私もそれは思ったわ」

え、そうなんですか? 私は商品補充やってたから分かりませんね……ポテチって美味しいですけど、そんなに売れる物なんでしょうか?

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