住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

お客様は色んな人がいる 3

お昼の休憩、私達が休憩すると、長門さんの会社で働いてる社員が何時もの様に代わりに働いてくれてます。

「さぁ説明してもらいますよ、あのお客様になにをしたんですか?」

椅子に座る私は同じく椅子に座る七瀬さんを問い質します。
さっき私に勢い良く頭を下げてきたチャラいお客様、激しく怒鳴ってた彼とは大違いです。

これはあれです、七瀬さんが何かしたんです、ダメなんですよ、お客様に何かをするのは!

「特別な事はしてないわ、ただこう言っただけ」
「何を言ったんですか?」

涼しげな顔で七瀬さんは言いました。

「それはひみつ」
「えぇっ、なんでですかっ、気になりますよ!」

ダンッーー
テーブルを叩いて言い寄りますが七瀬さんは答えてくれません。
すると、ぽんぽんっと私の肩を叩く長門さんはなにやら遠い目をしながらこう言ってきました。

「察してやれ」
「え、何をです?」
「はっはっはっ」

え、なっなんでそこで笑うんです? 訳がわかりません。

「決まってるだろう、胡桃がどんなに恐ろしい女かを教えたんだよな、七瀬」
「………」

おっ恐ろしいですか、そうですか、七瀬は黙ったまま頷いてます。
それでチャラいお客様はあの怯えようだったんですね。
で、ひみつにする程私の恐さを伝えた様ですがなんと言ったんでしょう? ここは優しい微笑みをして聞きいてみましょうか。

「七瀬さん」
「教えない」
「まだ何も言ってないですよ?」
「胡桃は鬼みたいになってるから教えない」

鬼みたいなって……失礼ですね、ちゃんとにっこり笑ってますよ。

「うむ、まさに鬼の様なオーラを出してるな、顔は笑顔だがその裏では怒りに燃えていると言う奴だな」

はぁそうですか、長門さん解説ありがとうございます。

「そんな事無いですよ、怒らないから言ってください 」
「ほんとう?」
「はい、ほんとうです」

ですから、どどんっと言っちゃってください。
むんっ、と胸をはって言うと七瀬さんは眼鏡をくいっと上に上げた後、「分かったわ」と言って話してくれました。

「このコンビニで騒ぎを起こすと死ぬと言ったの」
「いや、なんて事を言ってるんですか、変な事言わないでください……と言うかそれを信じるお客様も変ですね」

三編みを手で弄りながら私を見る七瀬さん、なんか視線が熱を帯びてる気がするのは気のせいでしょうか?

「ほんとはそんな事言ってないのだけど」
「え、何か言いました?」
「いえ何も」

んー……まぁいいか、この話はこれで終わりです。

「もうお客様に変な事言わないで下さいね」
「善処するわ」

善処じゃなくて、絶対に言わないで欲しいんです。
だって、店員が変な事を言ったら変な店だと思われるじゃないですか。
……いえ、もうそう思われてるかもしれませんね、店長があれですから。

「どうした胡桃? 呆れた顔をしているな」
「何でもないです、気にしないでください」
「そうか、ならば気にしない」

にっと笑う長門さんは私を見て拳を握り親指を立てます、少しは気にしろって言った方が良かったですかね? と思ったその時です。

チャラチャラチャァァンっーー
軽快な音楽が流れて来ました、これはスマホの着信音ですかね? でもこれは私のじゃないです、七瀬さんを見るとスマホを取る様子はありません。
という事はこれは長門さんのですね。

「天塚だ、うん、うん、むぅ、またか」

スマホを取り出して話をし出す長門さん、相手は誰でしょう? 社長ですから取引先? はたまた別の用事でしょうか。

でも長門さんの顔……なんか呆れてますね、あっ今ため息つきました。

「ちゃんと肉と野菜とかを食え、なに? 野菜は嫌いだって? それでも食え、毎日栄養補充食品と水ばかり飲み食いするんじゃない」

どうやら相手はだらしのない人見たいですね。
長門さんの言葉を聞いてたらそう思いました、毎日栄養補充食品食べてるんですかね? あぁ言うのって美味しいですけど毎日はダメです、ちゃんと食べれるなら食べた方がいいですよ。

「くっ、切られてしまった」
「相手はあの娘?」

深いため息を吐く長門さんに向かって七瀬さんは話し掛けました、それに応える様に首を縦に振ります。

「あぁ、我が店の問題児からだ」
「もっ問題児!?」

そっそんな人がお店で働いてるんですか? 問題児……そう言えば私も昔はそうでしたねぇ、色んな悪さをしましたよ、ふふふふふ。

「その問題児の生活環境が色々とヤバイ、だからちょっと行ってくる」
「ん、了解」
「わっわかりました!」

ガタッーー
椅子から立ち上がる長門さんはお店の制服のままエレベーターの所へ向かっていきます。
せっ生活環境……長門さんの電話相手は余程だらしのない人なんでしょうか? でも七瀬さんからそんな人の話聞いてませんよ? 聞いたのは恵さんと今はいない止さんって人、もしかして他に人がいるんでしょうか? それとも……。

「じゃぁ頼んだぞ、人手が足らない様なら私の社員を適当に呼ぶと良い、ではな」

っ! あっいつの間にか長門さんがエレベーターに乗ってました。
と言う訳でそのまま扉がしまり長門さんは行っちゃいました。

エレベーターの扉が閉じた後、私と七瀬さんは顔を見合わせます。

「頑張ろうね」
「はっはい!」

と言うことは休憩が終わったら七瀬さんと私とで働くんですか……ふっ2人で大丈夫ですかね? まぁ長門さんがいないから大丈夫でしょう、そう思う事にして後半も頑張りましょう!

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