住み込み就職 お仕事時々お遊び
出会いの話っ 2
大変ですっ、ものすっごく大変な事になりました。
何か知らないけど突然面接が始まってしまいました……どうしてこうなったんですか! そもそも私、その店に就職するって言ってないのに!
ものすごく慌てながらながら台所へ向かいます、社長にアイスを渡す為です、あの限定10個のアイスではなく普通に売られてる棒付きアイスですが、だっ大丈夫ですよね?社長相手に失礼じゃないですよね?
「おっ怒られたら謝りましょう」
だって今アイスはこれしかないんです、仕方無いじゃないですか!と自分で言い訳をしつつ、その棒付きアイスを手に取り冷蔵庫のふたを閉める、因みに味はソーダ味、坊主頭の少年がマスコットキャラの棒アイスです。
それとこの棒付きアイスは当たり付きなんですっ、せめて当たりが出るのを祈りましょう。
そうと決まれば早く炬燵のある部屋に向かいましょう!きっと天塚さんは「まだか」と思ってるにちがいありません! 面接が始まると言うのにアイスを渡すのもどうかと思うんですけど……言ってしまったから仕方無いですよね?
えぇいっ、もうどうでも良いですっ、なるようになります!
急いで炬燵のある部屋に向かって走りますっ、そしてその扉を横にガラガラッて引きました……そしたら。
「わっはっはっはっ!いやぁ最近の芸人は面白いなぁ」
炬燵に入ってテレビ見て笑ってました、テレビに映ってるのは今流行りの芸人さんの漫才、盛大にくつろいでますね。
なっなんでしょうこの光景は、最初にこの部屋に案内して「少し待ってて下さいね?」と言ってアイスを取りに戻って来たらこれですか。
なんと言う寛ぎ様、人ん家なのに全くの遠慮が無い……これが社長と言う役職に就く人のメンタルなんですね。
と若干天塚さんの遠慮の無い行動に度肝を抜かれてその場に立ち尽くす。
「ん、おぉ来たか、まぁ入るが良い」
「えっ、あ……はい!」
そして私の家なのにまるで自分の家みたいに私を炬燵に入るように誘う、まっまぁ寒いから入りますけど……えーと、座る位置は……めっ面接するから真正面に座ろう、はぅぅ暖かい。
「いやぁやはり炬燵は暖かいなぁ」
「えっあっはいっそうですね!」
至極当たり前の事を言われてしまった、私と来たら緊張からかラッパーの様に返してしまった、だけど天塚さんは気にもせずに炬燵の上に置いてあったカップアイスを食べる。
「このアイスも素晴らしい、食べ掛けで溶けてしまってるのは残念だが」
ぱくりぱくりっ、天塚さんアイスを食べる手が止まりません……って、あぁぁ!
「そっそれ私のアイスっ」
「むっ、そうだったのか?それはすまない」
あっあぁ、たっ楽しみにしていたアイス、全部食べられませんでしたぁぁ、こっこれは社長相手に棒アイスを出そうとした罰! わっ悪い事は出来ませんね。
「えと、あっアイスです」
だけど気持ちを切り替えますっ、だって面接するんですから!アイス食べられた位でしょげてちゃ駄目なんです! 駄目なん……ですよ、ぐすん。
「いや、私は君のを食べてしまったからな、それは君が食べると良い」
「いっいえ、ぜっ是非食べて欲しいです!」
遠慮なんて不必要です、と言う気迫で言ってみる、そしたら天塚さんは「そうか」と言って私から棒付きアイスを受け取った。
そして袋を開けアイスを取り出す、青色のアイス、あのアイスはソーダの甘い味が売りなんですよねぇ、あと大きな氷粒のシャリシャリが楽しめて美味しさを倍増してるんですっ! よしっ、今度食べてましょう、と思ったその時です!
「なっ何だこれは!?」
突然天塚さんが声をあげた! わっわっわぁぁっ、どっどどどっどうしたんですかぁぁっ、って慌ててると続けて天塚さんは声あげました。
「見ろっ、持ち手の棒の所に当たりの文字があるぞ!これはレアだ!」
「えっ、あぁ本当ですね、れっレアですね」
うきうき顔で嬉しそうに言う天塚さん、なっ何事かと思いました、ビックリさせないで下さいよぉ、って本当に当たりを当てるなんて、すっ凄い運の持ち主ですね。
「いやぁこう事もあるんだなぁ、製造行程でこう言うミスが起こるなんてなぁ、いやぁ珍しい、あむっ」
「そっそうですね、珍しいですね」
と言うかほんっと嬉しそうですね、まぁ気持ちは分かりますけど、って、食べ方が何かやらしいです、いっ色気を感じます。
「うむっ、おいしい」
ぺろっと舌先で唇付近を舐めました、その仕草にどきっとしつつ天塚さんをじぃ……と見つめる私、これが社長の食べ方なのかぁとか感心して見てます。
「ん?どした?」
「いっいえ、なにも無いです!」
いっいけない、じっくり見すぎてしまいました「そうか、なら良い」と疑問を浮かべたままアイスを食べ続ける天塚さん、時おりテレビを見てけらけら笑ってます。
あれ?面接いつするでしょう、なんか今社長と一般人がただ寛いでるだけにしか思えないんですが……もっもしかして今まさに面接って始まってるんですか? そっそうに違いありません、天塚さんの寛ぎはきっとあれだ、何時面接が始まっている事に気付くかのテストに違いありません!
だっだとしたら名前言わないといけないですかね? もう大分時間が経ってますし印象が悪くなりますよね?よっよし言いましょう。
「あっ改めて自己紹介しますっ!桜塚胡桃と言いますっ、よろしくお願いしますっ」
「うぉっ、ビックリしたぁ、いきなりどうした?何処か悪いのか?」
えっえぇぇっ、わっ悪い印象どころか身体の心配をされてしまいました、あっあわわわっ、どっどうしよう、って天塚さんが私を見てますっ、アイスを食べながら私を見てます。
「あっあの、大学を出てからフリーターをしていました!」
でっでもそこで緊張して固まっちゃいけませんよね?じっ自己PRしないといけません。
「そっそか」
あっあれぇ?何か「何言ってんだこいつ?」とか思われてません?表情が疑問に満ち溢れてますよ?
「たっ体力なら自信がありますっ」
だったら自分の長所を言いましょう、これで挽回です!
「たっ体力あるって、いきなりそんな事を言うな!恥ずかしい奴だなぁ」
「えっ、あっ、すいません」
おっ怒られた、アイス食べながら怒られてしまいました、なっなぜでしょう? 天塚さん顔真っ赤です、別に体力がある=恥ずかしい奴、にはなりませんよね? 私何か変な事を言ったんでしょうか?
「うむ、わかれば良いんだ」
そう言ってアイスを食べる、あっ……食べ終わっちゃいました。
「ではアイスも食べ終わった事だしそろそろ始めようか」
「へ?始める?なっ何をですか?」
アイスの棒を炬燵に上に置いて、じぃ……と私を見つめてくる、なっなに?何が始まるんですか?
「面接だ、今から始めるぞ」
「へ?…………っ!」
まだ始まってなかった、はっ恥ずかしいっ!まっまともに前を向けませんよぉ、うっうぅ、盛大に勘違いしてしまいました。
「えと、ではまず名前は桜塚胡桃だったな」
「はっはい、そうです」
面接始まってると思ってさっき言いましたからね。
「大学卒業してからはフリーターとも言ってたな」
「はっはい!」
うん、それも言った、就職が上手くいかなくてフリーターになったなんて口が裂けても言えません。
「因みにどんな事をしていた?」
「コンビニでレジ打ちとか前だしとかです、他にも色々やってますっ、ピザの配達とか」
いわゆるアルバイトですね、お給料が少ないから他の仕事場を掛け持ちとかしてました。
「ほぉでは大事な事を聞こう」
「はっはい!」
うぉっ……そんな事言われたら緊張が増しちゃうじゃないですか!
だっ大事な事ってなんですか?わが社のイメージを答えろとかですか? むっ無理ですよっ、調べてもないですし、第一受かったとしてもバイト先の事もあるんですし直ぐに就職なんて無理です!
「彼氏はいるのか?」
とか、考えたら大事な質問が来ました、ちゃんと答えないと、彼氏はいるか?でしたよね?残念ながらこの24年間いたことなんてありません、ですから答えは。
「いません……え?」
普通に答えちゃったけど、なっなんですかこの質問は? 彼氏の有無が仕事に関係するんですか? とか考えてたら次の質問がとんできました。
「ほぉ、ならば何か特技はあるか?」
あっこれは普通の質問ですね、でも特技ですか……頭に思い付くのはあれしかないですね。
「料理です、特にお菓子作りが得意です」
アイスも作ろうと思ったら作れますしホールケーキだって1人で作った事もあります! すると、天塚さん指を口元に当てて考え始めました、うっ、何か空気がピリピリ来てきました、きっ緊張のし過ぎですかね?
「では最後の質問だ」
「はい!」
ごくりっ、最後はどんな質問が来るんでしょう、出来れば簡単なのが良いですね。
「処女か?」
「は……ぇぇぇっ!何を聞くんですかこの人はぁぁぁっ!」
なっななっなななななぁっ!最後の最後で真顔でどえらいのぶちこんで来ましたよこの人っ。
「まっまぁ処女なんですけどね……」と何故か呟く、私も何言ってるんでしょう、うっうぅはっ恥ずかしい!
それにしてもしっ仕事の関係で重要な事って言いましたよね? はっ! もしかしてそう言うサービスをするって事ですか!? チラシには'コンビニと同じ'とか書いていたのにそんなサービスをするんですね?はっ破廉恥です!
「あっいや、そんなに恥ずかしがるな、個人的に気になるんだ」
「こっ個人的ぃぃっ、どっどういう事ですか!」
あっあぁ……まずい、まずいですよぉ、この人やり手の社長でクールなイメージなのにアブない人に思えてきました。
「んー、誤解しただろうから言っておくぞ? 私はノーマルだ、処女かどうかはあれだ、もしそうじゃなかったらプレイの時はどうだったか詳しく聞こうと思ったんだ、他意はない」
「…………」
「いや、本当だからな? だからそんな目をするな」
天塚さんから距離を取りました、変だ、この人変な人です!
「そんな気味の悪そうな物を見る目を止めろ……そこまで引くことはないだろう」
「だっだって、いきなりあんな事聞くから……」
全てそっちが悪いんですよ、私は悪くありません。
「うむ、すまなかった」
こりこりっと頬を掻きながら謝る天塚さん、素直に謝ったのでさっきの事は、一旦忘れましょう。
「では、個人的に解釈するが、えぇ桜塚は処女、つまりは未経験者と言う事……つまり私と同じか」
「処女処女言わないで下さいっ、恥ずかしい人ですねっ!」
そう私が怒ると身体をビクッとさせる天塚さん、こほんっと咳払いをして両手を炬燵の上に乗せました。
「まぁそれは置いといてだ桜塚、今ので結論が出た」
「え……でっ出たんですか?」
なんか良くわからないですけど結論が出たらしい、さっきからこの人のペースで疲れてきました。
「面接の結果、合格だ!」
拳を握り、ぐっと親指を立てる、そしてにこっと微笑んだ桜塚さん、へぇそうですか合格したんですか。
「って、ごっ合格ぅぅっ、そんな早く決めちゃって良いんですか!」
「うむっ、決めちゃって良いのだ」
いっ意味が分かりません、こんなに早く合格が出るなんてさっ詐欺か何かですか?
「では行くか」
「え?行くって何処へですか?」
なんか立ち上がっちゃいましたけど、どうしたんでしょうか?
「勿論私の店にだ」
「へぇ気を付けて帰ってくださいね」
何か散々言ったあともう帰っちゃうんですね……あっ、お見送りしないと、とか思ってたら天塚さんが私の所へ来て無理やり立ち上がらせて来ました。
「何を言ってるんだ桜塚も一緒に行くんだぞ?」
「はい?」
ぱちんっと指を鳴らした天塚さん、いやいやそんな事はどうでも良くて、私も連れてくんですか? 今この瞬間? いっいやいやいや、おっ可笑しいっ非常に可笑しいですよ! こんなの普通じゃありません!
「お呼びですかい社長」
「桜塚をヘリに乗せろ」
「へい、御安いご用で」
ってうわぁっ!さっきのガタイの良いグラサン男さんじゃないですかっ、何時の間に家に入ってきたんですか? って……何かこっちに近付いて来てますね、なっなんですか?
「失礼しやす」
「えっうっうわっ!」
担がれた、肩に担がれた……まるで重い荷物を持つかの様に。
「なっ何してるんですか!おっ下ろして下さい!」
「さて桜塚、先に行っておこう」
グラサン男の肩で暴れる私、そんな事を気にせず桜塚さんはこう言って来ました。
「就職おめでとう、私は桜塚を歓迎するぞ」
わぁ満面の笑みですね、って思ってる場合ですか!
「では行こう」
「へい」
えっえぇっ!移動しましたよ?私担がれたまま移動してますよ?
「ちょっ、うわぁぁっ、たっ助けてぇぇ!」
抵抗しながら悲鳴を上げる私、でも虚しくも連れていかれちゃいました、いっ一体この先どうなるんでしょう。
何か知らないけど突然面接が始まってしまいました……どうしてこうなったんですか! そもそも私、その店に就職するって言ってないのに!
ものすごく慌てながらながら台所へ向かいます、社長にアイスを渡す為です、あの限定10個のアイスではなく普通に売られてる棒付きアイスですが、だっ大丈夫ですよね?社長相手に失礼じゃないですよね?
「おっ怒られたら謝りましょう」
だって今アイスはこれしかないんです、仕方無いじゃないですか!と自分で言い訳をしつつ、その棒付きアイスを手に取り冷蔵庫のふたを閉める、因みに味はソーダ味、坊主頭の少年がマスコットキャラの棒アイスです。
それとこの棒付きアイスは当たり付きなんですっ、せめて当たりが出るのを祈りましょう。
そうと決まれば早く炬燵のある部屋に向かいましょう!きっと天塚さんは「まだか」と思ってるにちがいありません! 面接が始まると言うのにアイスを渡すのもどうかと思うんですけど……言ってしまったから仕方無いですよね?
えぇいっ、もうどうでも良いですっ、なるようになります!
急いで炬燵のある部屋に向かって走りますっ、そしてその扉を横にガラガラッて引きました……そしたら。
「わっはっはっはっ!いやぁ最近の芸人は面白いなぁ」
炬燵に入ってテレビ見て笑ってました、テレビに映ってるのは今流行りの芸人さんの漫才、盛大にくつろいでますね。
なっなんでしょうこの光景は、最初にこの部屋に案内して「少し待ってて下さいね?」と言ってアイスを取りに戻って来たらこれですか。
なんと言う寛ぎ様、人ん家なのに全くの遠慮が無い……これが社長と言う役職に就く人のメンタルなんですね。
と若干天塚さんの遠慮の無い行動に度肝を抜かれてその場に立ち尽くす。
「ん、おぉ来たか、まぁ入るが良い」
「えっ、あ……はい!」
そして私の家なのにまるで自分の家みたいに私を炬燵に入るように誘う、まっまぁ寒いから入りますけど……えーと、座る位置は……めっ面接するから真正面に座ろう、はぅぅ暖かい。
「いやぁやはり炬燵は暖かいなぁ」
「えっあっはいっそうですね!」
至極当たり前の事を言われてしまった、私と来たら緊張からかラッパーの様に返してしまった、だけど天塚さんは気にもせずに炬燵の上に置いてあったカップアイスを食べる。
「このアイスも素晴らしい、食べ掛けで溶けてしまってるのは残念だが」
ぱくりぱくりっ、天塚さんアイスを食べる手が止まりません……って、あぁぁ!
「そっそれ私のアイスっ」
「むっ、そうだったのか?それはすまない」
あっあぁ、たっ楽しみにしていたアイス、全部食べられませんでしたぁぁ、こっこれは社長相手に棒アイスを出そうとした罰! わっ悪い事は出来ませんね。
「えと、あっアイスです」
だけど気持ちを切り替えますっ、だって面接するんですから!アイス食べられた位でしょげてちゃ駄目なんです! 駄目なん……ですよ、ぐすん。
「いや、私は君のを食べてしまったからな、それは君が食べると良い」
「いっいえ、ぜっ是非食べて欲しいです!」
遠慮なんて不必要です、と言う気迫で言ってみる、そしたら天塚さんは「そうか」と言って私から棒付きアイスを受け取った。
そして袋を開けアイスを取り出す、青色のアイス、あのアイスはソーダの甘い味が売りなんですよねぇ、あと大きな氷粒のシャリシャリが楽しめて美味しさを倍増してるんですっ! よしっ、今度食べてましょう、と思ったその時です!
「なっ何だこれは!?」
突然天塚さんが声をあげた! わっわっわぁぁっ、どっどどどっどうしたんですかぁぁっ、って慌ててると続けて天塚さんは声あげました。
「見ろっ、持ち手の棒の所に当たりの文字があるぞ!これはレアだ!」
「えっ、あぁ本当ですね、れっレアですね」
うきうき顔で嬉しそうに言う天塚さん、なっ何事かと思いました、ビックリさせないで下さいよぉ、って本当に当たりを当てるなんて、すっ凄い運の持ち主ですね。
「いやぁこう事もあるんだなぁ、製造行程でこう言うミスが起こるなんてなぁ、いやぁ珍しい、あむっ」
「そっそうですね、珍しいですね」
と言うかほんっと嬉しそうですね、まぁ気持ちは分かりますけど、って、食べ方が何かやらしいです、いっ色気を感じます。
「うむっ、おいしい」
ぺろっと舌先で唇付近を舐めました、その仕草にどきっとしつつ天塚さんをじぃ……と見つめる私、これが社長の食べ方なのかぁとか感心して見てます。
「ん?どした?」
「いっいえ、なにも無いです!」
いっいけない、じっくり見すぎてしまいました「そうか、なら良い」と疑問を浮かべたままアイスを食べ続ける天塚さん、時おりテレビを見てけらけら笑ってます。
あれ?面接いつするでしょう、なんか今社長と一般人がただ寛いでるだけにしか思えないんですが……もっもしかして今まさに面接って始まってるんですか? そっそうに違いありません、天塚さんの寛ぎはきっとあれだ、何時面接が始まっている事に気付くかのテストに違いありません!
だっだとしたら名前言わないといけないですかね? もう大分時間が経ってますし印象が悪くなりますよね?よっよし言いましょう。
「あっ改めて自己紹介しますっ!桜塚胡桃と言いますっ、よろしくお願いしますっ」
「うぉっ、ビックリしたぁ、いきなりどうした?何処か悪いのか?」
えっえぇぇっ、わっ悪い印象どころか身体の心配をされてしまいました、あっあわわわっ、どっどうしよう、って天塚さんが私を見てますっ、アイスを食べながら私を見てます。
「あっあの、大学を出てからフリーターをしていました!」
でっでもそこで緊張して固まっちゃいけませんよね?じっ自己PRしないといけません。
「そっそか」
あっあれぇ?何か「何言ってんだこいつ?」とか思われてません?表情が疑問に満ち溢れてますよ?
「たっ体力なら自信がありますっ」
だったら自分の長所を言いましょう、これで挽回です!
「たっ体力あるって、いきなりそんな事を言うな!恥ずかしい奴だなぁ」
「えっ、あっ、すいません」
おっ怒られた、アイス食べながら怒られてしまいました、なっなぜでしょう? 天塚さん顔真っ赤です、別に体力がある=恥ずかしい奴、にはなりませんよね? 私何か変な事を言ったんでしょうか?
「うむ、わかれば良いんだ」
そう言ってアイスを食べる、あっ……食べ終わっちゃいました。
「ではアイスも食べ終わった事だしそろそろ始めようか」
「へ?始める?なっ何をですか?」
アイスの棒を炬燵に上に置いて、じぃ……と私を見つめてくる、なっなに?何が始まるんですか?
「面接だ、今から始めるぞ」
「へ?…………っ!」
まだ始まってなかった、はっ恥ずかしいっ!まっまともに前を向けませんよぉ、うっうぅ、盛大に勘違いしてしまいました。
「えと、ではまず名前は桜塚胡桃だったな」
「はっはい、そうです」
面接始まってると思ってさっき言いましたからね。
「大学卒業してからはフリーターとも言ってたな」
「はっはい!」
うん、それも言った、就職が上手くいかなくてフリーターになったなんて口が裂けても言えません。
「因みにどんな事をしていた?」
「コンビニでレジ打ちとか前だしとかです、他にも色々やってますっ、ピザの配達とか」
いわゆるアルバイトですね、お給料が少ないから他の仕事場を掛け持ちとかしてました。
「ほぉでは大事な事を聞こう」
「はっはい!」
うぉっ……そんな事言われたら緊張が増しちゃうじゃないですか!
だっ大事な事ってなんですか?わが社のイメージを答えろとかですか? むっ無理ですよっ、調べてもないですし、第一受かったとしてもバイト先の事もあるんですし直ぐに就職なんて無理です!
「彼氏はいるのか?」
とか、考えたら大事な質問が来ました、ちゃんと答えないと、彼氏はいるか?でしたよね?残念ながらこの24年間いたことなんてありません、ですから答えは。
「いません……え?」
普通に答えちゃったけど、なっなんですかこの質問は? 彼氏の有無が仕事に関係するんですか? とか考えてたら次の質問がとんできました。
「ほぉ、ならば何か特技はあるか?」
あっこれは普通の質問ですね、でも特技ですか……頭に思い付くのはあれしかないですね。
「料理です、特にお菓子作りが得意です」
アイスも作ろうと思ったら作れますしホールケーキだって1人で作った事もあります! すると、天塚さん指を口元に当てて考え始めました、うっ、何か空気がピリピリ来てきました、きっ緊張のし過ぎですかね?
「では最後の質問だ」
「はい!」
ごくりっ、最後はどんな質問が来るんでしょう、出来れば簡単なのが良いですね。
「処女か?」
「は……ぇぇぇっ!何を聞くんですかこの人はぁぁぁっ!」
なっななっなななななぁっ!最後の最後で真顔でどえらいのぶちこんで来ましたよこの人っ。
「まっまぁ処女なんですけどね……」と何故か呟く、私も何言ってるんでしょう、うっうぅはっ恥ずかしい!
それにしてもしっ仕事の関係で重要な事って言いましたよね? はっ! もしかしてそう言うサービスをするって事ですか!? チラシには'コンビニと同じ'とか書いていたのにそんなサービスをするんですね?はっ破廉恥です!
「あっいや、そんなに恥ずかしがるな、個人的に気になるんだ」
「こっ個人的ぃぃっ、どっどういう事ですか!」
あっあぁ……まずい、まずいですよぉ、この人やり手の社長でクールなイメージなのにアブない人に思えてきました。
「んー、誤解しただろうから言っておくぞ? 私はノーマルだ、処女かどうかはあれだ、もしそうじゃなかったらプレイの時はどうだったか詳しく聞こうと思ったんだ、他意はない」
「…………」
「いや、本当だからな? だからそんな目をするな」
天塚さんから距離を取りました、変だ、この人変な人です!
「そんな気味の悪そうな物を見る目を止めろ……そこまで引くことはないだろう」
「だっだって、いきなりあんな事聞くから……」
全てそっちが悪いんですよ、私は悪くありません。
「うむ、すまなかった」
こりこりっと頬を掻きながら謝る天塚さん、素直に謝ったのでさっきの事は、一旦忘れましょう。
「では、個人的に解釈するが、えぇ桜塚は処女、つまりは未経験者と言う事……つまり私と同じか」
「処女処女言わないで下さいっ、恥ずかしい人ですねっ!」
そう私が怒ると身体をビクッとさせる天塚さん、こほんっと咳払いをして両手を炬燵の上に乗せました。
「まぁそれは置いといてだ桜塚、今ので結論が出た」
「え……でっ出たんですか?」
なんか良くわからないですけど結論が出たらしい、さっきからこの人のペースで疲れてきました。
「面接の結果、合格だ!」
拳を握り、ぐっと親指を立てる、そしてにこっと微笑んだ桜塚さん、へぇそうですか合格したんですか。
「って、ごっ合格ぅぅっ、そんな早く決めちゃって良いんですか!」
「うむっ、決めちゃって良いのだ」
いっ意味が分かりません、こんなに早く合格が出るなんてさっ詐欺か何かですか?
「では行くか」
「え?行くって何処へですか?」
なんか立ち上がっちゃいましたけど、どうしたんでしょうか?
「勿論私の店にだ」
「へぇ気を付けて帰ってくださいね」
何か散々言ったあともう帰っちゃうんですね……あっ、お見送りしないと、とか思ってたら天塚さんが私の所へ来て無理やり立ち上がらせて来ました。
「何を言ってるんだ桜塚も一緒に行くんだぞ?」
「はい?」
ぱちんっと指を鳴らした天塚さん、いやいやそんな事はどうでも良くて、私も連れてくんですか? 今この瞬間? いっいやいやいや、おっ可笑しいっ非常に可笑しいですよ! こんなの普通じゃありません!
「お呼びですかい社長」
「桜塚をヘリに乗せろ」
「へい、御安いご用で」
ってうわぁっ!さっきのガタイの良いグラサン男さんじゃないですかっ、何時の間に家に入ってきたんですか? って……何かこっちに近付いて来てますね、なっなんですか?
「失礼しやす」
「えっうっうわっ!」
担がれた、肩に担がれた……まるで重い荷物を持つかの様に。
「なっ何してるんですか!おっ下ろして下さい!」
「さて桜塚、先に行っておこう」
グラサン男の肩で暴れる私、そんな事を気にせず桜塚さんはこう言って来ました。
「就職おめでとう、私は桜塚を歓迎するぞ」
わぁ満面の笑みですね、って思ってる場合ですか!
「では行こう」
「へい」
えっえぇっ!移動しましたよ?私担がれたまま移動してますよ?
「ちょっ、うわぁぁっ、たっ助けてぇぇ!」
抵抗しながら悲鳴を上げる私、でも虚しくも連れていかれちゃいました、いっ一体この先どうなるんでしょう。
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