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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり

かつ

プロローグ / 001 異世界でスキルをもらったよ

プロローグ

 

 俺は(まる)(やま)(せい)()30歳、職業はSE。

 毎日毎日、時間とさまざまな情報に追われ、残業を繰り返し、彼女なんて作る暇もない。

30歳までドウテイだと魔法使いになれる』

 そんな言い伝えが頭をよぎる。

『いっそのこと、魔法使いになったら仕事も魔法でさっさと終わらせることができて楽かも』とか、くだらないことを考えながらゆっくりしていた。

 というのも、昨日まで不具合修正をしていたシステムが、やっとちゃんと動くようになり、溜まりに溜まった有給を今日からまとめて消化しているのである。

 そんなこんなで、ボケーッとしながらコーヒーを飲んでいると、視界がだんだん白くなって行き、俺は真っ白な光に包まれた。

「うわ―――!!

001 異世界でスキルをもらったよ

 

 気が付くと、俺は石造りの大きな部屋の中心に立っていた。

 ハッとして顔を上げると、目の前に王様らしき人がいて俺に話しかけてくる。

「っp〝づおいlsmdろlぴfs」

 王様の話は聞いたことがない言葉で、何を言っているかさっぱり分からない。

 辺りを見渡すと、俺の周りを貴族ふうの人たちや兵士ふうの人たちが取り囲んでいる。

 いきなりのことに唖然としていると、王様の脇にいた『魔法使いふうの男』が俺のそばに近づいてきて、話しかけてきた。

「lptれpp、ぴょぃfsdそ」

 またもや何を言っているのかは分からないが……何かを、俺に手渡そうとしているようだ。

 思わず、それを受け取ると……それは、『淡く光る石』だった。

 思わず受け取ってしまったが、これをどうしろというのかサッパリ分からない。

 すると、石の光がいきなり強くなり、その光は俺の体を包み込んだ。

「勇者様、私の言葉が分かりますか?」

「え、あ、はい、分かります」

「よかった、その石はそのままお持ちになっていてください」

 なぜか急に言葉が分かるようになった。

 この石は翻訳機か何かか? でも、なんか科学というより魔法っぽい感じだ。

 それになぜ俺を勇者様と呼ぶんだ? どういうこと?

 異世界にでも来てしまったのか? さっぱり状況が理解できん。

「言語一時習得の魔石は、問題なく機能したようです」

「そうか、でかしたぞ」

 どうやら、この石は魔石らしい。この人たちの言葉を一時的に習得した?

 やっぱり魔法なのか?

 それでも状況が良く分からないので、俺はじっくり様子を観察することにした。

「わしはドレアドス王だ。勇者よ、お主を歓迎するぞ」

 王様が話しかけてくる。なんか偉そうだな、王様だから当たり前か。

 王様の隣にはかわいい女の子が緊張した表情で俺のことを見つめている。

 あの子はお姫様なのだろうか?

「ではステータスの確認を始めろ」

 王様は俺から視線をそらすと、部下らしき者にそう命じた。

 さっきの魔法使いふうの男が、俺に向かって何やら呪文を唱え始める。

「○◇×……【鑑定】!」

 魔法使いふうの男は呪文を唱え終えると、王様に近寄り、何やら耳打ちをした。

「勇者よ、つかぬことを聞くが、『えすいー』とは、どのような仕事だ?」

 えすいー? エスイー……仕事?

 ああ! SEのことか!

「SEはシステムエンジニアという意味です」

「しすてむ……えん……。して、その『しすてむ』とかいうのは強いのか?」

「強い? 特に強いとか弱いとかはないですが……」

「どうにも要領を得ないな、つまり、そのしすてむは役に立つのか、と聞いておるのだ」

「そりゃあ、役に立ちますよ! これまで俺の作ったシステムは、何万人もの人に使われてますし」

(まあ、俺1人で作ったわけじゃないけど)

「なるほど! その、お主が作ったしすてむとかいう物は、何万人もの者が装備するほど強い武器なのだな」

 王様は、なんか勘違いしているみたいだ。

 どうやって誤解をとこうかと考えていると、王様は勝手に話を進めてしまった。

「よし、ではスキル受領の儀式を行う、準備せよ」

 さっきの魔法使いふうの男が、(ぎよう)(ぎよう)しくトレイの上に何かを乗せて俺の前に持ってきた。

 トレイの上にかぶさっていた布を取ると、青く透き通った宝石と、革製の首輪が置いてある。

 宝石は、最初に渡された石と雰囲気が似ていたが、凄く透き通っていて、いかにも高価な宝石という感じだ。

 革製の首輪は、犬用に比べてだいぶ大きい感じだ。

 ふと見ると、さっきの女の子がその首輪を見て、なぜか驚いている。

 王様は、そんな女の子の様子を特に気に留めることもなく、話を進める。

「それは『マナ結晶の欠片(かけら)』といって、職業に関係する力を授ける石だ。隣のは『封魔のチョーカー』で、敵の魔法から身を守る防具だ」

 王様は早口で説明している。何を急いでいるんだろう?

「まずはマナ結晶の欠片(かけら)に触れて力を授かったら、すぐに封魔のチョーカーを装備するのだ。よいな?」

 王様のその説明を聞いて、さっきの女の子はさらに驚いた表情をして、王様に何かを言おうとしていたのだが……。

「さあ、何をしておる。さっさと儀式を行うのだ」

 王様は、そんな女の子の行動を無視して、俺を()かしてくる。女の子の態度が気になったものの、俺は雰囲気に飲まれてマナ結晶の欠片(かけら)に手を伸ばしてしまった。

 そして、俺がマナ結晶の欠片(かけら)に触れると……それは急に光りだし、光が手を伝って俺の体の中に入り込んでくる。

『【時空魔法】を取得しました。【時空魔法】がレベル5になりました。【情報魔法】を取得しました。【情報魔法】がレベル5になりました』

 俺の頭の中に、機械的な音声が鳴り響く。

 そしてなぜか俺は、さっき使われた魔法が【鑑定】魔法だったこと、俺にもその【鑑定】魔法が使えるようになったことを理解した。

「さあ、何をしておる。さっさとその、どr……。封魔のチョーカーを装備するのだ」

 そのチョーカーに目を向ける。なぜか俺は、それを身につけることに対して、言い知れぬ危機感を覚えた。

 ふと、何気なく女の子の方を見ると、女の子は激しく動揺して、俺から目をそらして下を向いてしまう。

 これは何かあるな。

「【鑑定】!」

 チョーカーを【鑑定】してみると、目の前に透明な窓が開いて、鑑定結果が表示された。

 

〈鑑定〉

【奴隷の首輪】

装備したものを奴隷にする首輪。

レア度:★★★

 

『装備したものを奴隷にする』だと!!

「な、何をしておる!」

 王様は激しく動揺していた。

 俺は、王様を無視してマナ結晶の欠片(かけら)も鑑定してみる。

 

〈鑑定〉

【マナ結晶の欠片(かけら)

職業に則したスキルを授ける石。

※奴隷には効果を発揮しない。

レア度:★★★★★

 

『奴隷には効果を発揮しない』

 なるほど、それで先にマナ結晶の欠片(かけら)を使わせたのか。

「どうやら、この首輪は、封魔のチョーカーではなく奴隷の首輪のようですよ? これはどういうことなんですか?」

 俺に指摘されて、王様は激しく動揺し、黙りこくってしまった。

 周りの人たちは、その様子を見てざわざわし始める。

 女の子はというと、胸をなでおろしたような表情をしている。

 もうちょっとのところで奴隷にされるところだったが、あの女の子のおかげで助かったな。

 あの子はこの首輪のことを知っていて、言い出せないでいたのかな?

「どうやら間違いがあったようだから、チョーカーは……なしだ」

 王様は、抜け抜けとそんなことを言ってくる。

 分かってて装備させようとしていたくせに!

 俺は、この国の人間を信用しないことにした。

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