ガチャを回して仲間を増やす 最強の美少女軍団を作り上げろ
1章 異世界への招待状 (3)
こんな状況でガチャするとか、俺って本当にどうしようもないな。だけど、やっぱりガチャを回すっていうのは胸が躍る。何だかワクワクしてきたぞ。
画面に宝箱が映し出される。宝箱は、銀、金、白、そして虹色へと変化していく。URユニット確定というのは真実のようだ。
【Rキャンプセット、R食料、R布の服、R銅の鎧、R銅のレギンス、Rブーツ、SR鍋の蓋、SRエクスカリバール、Rポーション×10、SSR言語の書、URノール・ファニャ】
画面に表示された宝箱が開き、中から次々とアイテムが排出されていく。
ちっ、ルーナちゃん出なかった……じゃなくてだ。このRキャンプセットとSSR言語の書ってなんだろう? こんなのGCにはなかったはずだ。
詳細を見るために、スマホを操作してGCのアイテム欄を開いて言語の書を選択した。
【言語の書】
異世界の言語を理解することができる。
使用時に少し頭痛がする、かも?
……何なんだこれ?
試しに言語の書をタップしてみた。すると、またスマホの画面が発光し始めて、目の前に光が集まると一冊の本が目の前に現れる。
「な、何だこれ……実体化しやがったぞ。中身は……ッ痛!?」
現れた本を手に取り開いてみた。そして文字が視界に入った瞬間、軽い頭痛がして反射的に体が少しビクンとしてしまう。
「かも? じゃなくて、頭痛するじゃねーか! はぁ……まあいいや。それよりも実体化か」
このGC内の物が実体化するのだとしたら……。ユニットはどうなるのだろうかと、俺の中で期待感が満ちてきた。
今引いたユニットはノール・ファニャ。
このユニットはGC内でも上位に君臨するぶっ壊れユニットなのだ。UR自体がぶっ壊れだとも言われるが、ノールは頭一つ抜けてぶっ壊れている。
高まる期待を抑え、ノール・ファニャの召喚石を選択した。GCのユニットは一度アイテム欄に召喚石として入り、後で選択して解放する方式なのだ。
【ノール・ファニャを召喚いたしますか? Yes、No】と表示されたので、Yesを選択。すると、先程と同じように画面から光が溢れ出す。そして俺の目の前に光が集まり人の形になり、パッと見ると、白い甲冑を纏った銀髪の少女と思われる姿がそこに現れた。
何でパッとしか見られなかったかというとだ……。
「あなたが──へ? ああぁぁァァー!?」
現れて何かを言おうとした途端に、悲鳴を上げながら彼女は背中から落下していった。
「あっ、やべぇ……木の上にいたのすっかり忘れてた……」
落下していく彼女を眺めながら、俺は唖然としていた。これはやってしまったか……。
◆
「うぅ……酷い、酷いのでありますよ……」
白銀の甲冑と鼻の部分まで隠したヘルム。甲冑の下には黒いハイネックタンクトップに、膝下まである白いスカートを穿いている。
光が当たりキラキラと輝いて見える、ポニーテールに結わいた銀髪には目を奪われそうだ。
「初の主との対面だというのに、こんなのあんまりなのでありますよぉ……」
黙っていればその姿は神秘的な雰囲気なのだが、今は涙声で体育座りをして、それも台無しになっていた。
腰には鞘に収められた立派な剣を携えているけど、白銀の縦長の盾は近くの地面に転がっている。
そんな彼女はノール・ファニャ。最上位レアのURユニット。
GCのユニット性能においては、上から数えた方が早い程の評価。その反面見た目の評価はあまり良くなかった。
それは美少女が売りであるGCで、ヘルムを被り素顔を晒さないキャラクターだったからだ。
それでも持っていた数少ないURの一人だったので、俺としてはかなり気に入っていた。年齢は設定で詳しく決まっていなかったはずだが、たぶん十六、七歳辺りだろう。
彼女の固有能力は【騎士の加護】。自軍にいるだけで、全ユニットの攻撃、防御に三十パーセントのバフがかかる。そして、スキル【鼓舞】を使うと一分間全ステータスが二倍に上昇するのだ。完全に壊れたキャラだったな。
「本当に申し訳ございませんでした。私も色々とあり混乱していて、冷静さを失っていたみたいです」
俺は深々とノールに頭を下げた。
考えごとをしてうっかりしていたが、俺は彼女にとんでもなく失礼なことをしていたのだ。間違いなく第一印象は最悪だろう。丁寧に謝って、少しでも印象回復に努めなければ。
何せ呼ばれて早々に四メートル程の高さから落下させられたのだ。そりゃ文句の一つや二つは言いたくなるよね。殴られたっておかしくない。
でも見た感じ無傷で元気だ。あの高さから落ちても無傷で済んでいることに、俺は内心驚いているぞ。
「むぅー、いいのでありますよ。本当は、あなたが──私のマスターでありますか? という感じで、カッコ良く決めたかったのであります……。それよりも! もう少しくだけた感じで、話していただきたいのであります! 何だかムズ痒いと言いますか……話しづらいのでありますよ」
「そうかな? それはすまなかった。もしかしてちょっと変だった?」
「無理してるのがビンビンと伝わってるのであります」
口を尖らせ納得いかないという感じではあるが、何とか許してもらえたようだ。
しかしこういう丁寧な話し方というのはどうも慣れない。すぐ見抜かれてしまったし、ノールも普段どおりにしてくれって言うから、戻すとしよう。
「……とりあえずお互い自己紹介からしようか。俺は大倉平八だ」
「名乗り遅れて申し訳ありません。私の名前は、ノール・ファニャ。ノールと呼んでほしいのであります。以後、よろしくお願いするのでありますよ!」
互いに握手をして自己紹介を終える。まあ、俺の方は名前知っていたんだけどね。
さて……これからどうなるんだろうと不安だったが、ノールが来てくれたおかげで希望が見えてきた。このまま安全な場所まで移動……といきたいところなんだけど、その前に彼女が現状をどの程度把握できているか確認しておこう。お互いに認識の差を、可能な限りなくしておかないと。
「で、さっそくだけどノール。どれぐらい今の状況を把握してるんだ?」
「はい! まず、私は大倉殿の手助けをするために召喚されたということ。そしてここが、大倉殿がいた世界とは違うということであります!」
おぉ、俺が別の世界から来たということは理解しているみたいだ。事情を話さなくて済むし、異世界の人間だとわかっている相手だというのは安心できるな。
それにしても俺の手助けか……GCでも主人公のために女の子達は召喚されて、協力してくれる設定だった。そのまんまということか?
「ふむ、召喚時間とかは決まっているのか? それと、何で俺が異世界から来たってわかった?」
「召喚される際に、私達は召喚者の知識と記憶をある程度いただけるのでありますよ。召喚に時間制限はないのであります。その代わりコストによる制限がありまして、今は私を召喚したら他の者は召喚できないのでありますよ」
俺の知識と記憶がある程度貰えるか。ゲーム内の二次元的な知識だけではなく、俺の持つ三次元の知識。つまりは、現実の知識があると。召喚に時間制限がないのも助かるな。これなら護衛を頼むのも問題はなさそうだ。
それとコスト制か。GC内でも軍団編成には、総コストの合計で制限がかかっていた。たしか初期値は十五。ノールのコストも十五のはずだから、これもゲーム設定の引き継ぎか。
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