マイスウィートウェディング 元上司の旦那様と誓う永遠の愛

佐木ささめ

第一章 結婚式までの長い道のり (3)

「でも多民族国家だから、マレー系やインド系の人たちも多いよっ☆」

「あ……、だめ……」

 胸の尖りを舌先で転がされて、息が弾む。

「金融産業が盛んで世界中から人も集まるし、外国人永住者はかなりいるかなぁ♪」

えて、話しちゃ……だめ……」

 舌による刺激だけでなく、声の振動が体の奥深くまで響くようだった。それは私の中に眠る彼を欲する気持ちを揺さぶり、共鳴して、脚の付け根を湿らせる。──男を迎え入れるために。

「そうそう☆ 僕の母親の一族はちょっと変わった人たちだけどぉ、気にしないで欲しいなぁ★」

 私の胸を嬲りつつ、彼の手がスカートの奥深くをまさぐっている。ストッキング越しに感じる手のひらの動きがやけに淫らで、体をって悶えてしまった。その動きに合わせてするするとスカートごとストッキングとショーツが剥ぎ取られる。お尻から太腿、太腿から膝、膝から足先へと繊維の感触が離れていく。

「それに父親は普通の人だからねっ♪」

「あっ、やぁ!」

 一糸まとわぬ私の両脚を広げて彼の頭が沈んだ。べろりと大きく舐め上げられて背中がる。男の舌に与えられる快楽はいつも大きすぎて、甘ったるい声が漏れるのを止められない。恥ずかしい。

「ああ! あぁあっ!」

 敏感な突起に、歯の硬い感触が当たって腰が揺れる。凶器にもなる牙が女の弱点を狙っていることに、ほんの少し臆する心が生じる。けれど彼に支配されることで、倒錯した悦びが胸の奥をくすぐった。

 自分の頭はおかしくなっているのかもしれない。肉食獣に食われることを嬉しく思うなんて。

 舌と歯で突起をかれる刺激はあまりにも強く、よがることしかできなかった。まともに思考することなどできない。なのに彼は機嫌よく話しかけてくる。

「ねぇ☆ りぃーちゃんのご両親ってどんな方ぁ?」

 いやらしい舌を動かしながら訊かないで欲しい。でも、こういうときは答えないとめられるって分かっている。必死で正気をたもとうと己を律する。

「あ、あっ、わ、わたしのっ、母は、せんぎょ、う、しゅふ、で……っ」

「うんうん♪」

「父は、あっ、あぁん!」

 感じやすい一点ばかりを集中的に攻められると意識が霞がかる。脚が震えだして自然と持ち上がり、何度も虚空を搔く。

 膝裏をつかまれて脚をぐっと押し倒された。あられもなく開脚したまま膝をたたまれると秘所がぱっくりと開かれる。普段は固く閉じている入り口に、体温よりも低い大気を感じてあまりの羞恥に身震いした。

「やぁ! やだぁっ」

「お父さんはー、なぁにぃ?」

 彼は私の片脚をソファの背もたれへ引っかけて固定すると、ほころんだ肉襞へ長い指を沈める。

「ああぁっ!」

「お父さんはなんの仕事をされているの?」

「ひぅ! ひっ、あ、あぅ……、ちち、は、べんごし、で……」

「へー! 弁護士さんなんだぁ★」

 彼が驚いたのか、私のナカをかき回す指先が曲がった。その瞬間に吐き出された嬌声は悲鳴のようで、私のイイところはそこですと主張しているようなもの。私を指だけで思うがままに操る恋人がニタリと嬉しそうに微笑んだ。

 最も弱い箇所を徹底的に嬲られる。快感が強すぎて涙が噴き零れた。下腹に形容しがたい疼きが膨らんで、搔きりたい衝動が溜まっていく。ソファカバーをちぎりそうなほど強くつかんで耐えるけど、そうそう耐えられるものじゃない。

 弾けそうな快楽に我を忘れて乱れた。

「あぁん! ハッ、あ、あぁっ! ひぁん!」

「……りぃーちゃんが僕のことを知りたいって気持ちが分かるなぁ」

「くはぁん! ああぁっ!」

「僕も、君のことをもっと知りたい」

 激しい指使いで、淫靡な粘液がお尻まで垂れているのが自分でも分かる。恥ずかしくて脚を閉じたいのに、痙攣するばかりで思うように動かせない。

 狂ったように悶えているとソファから上半身が落ちそうになった。彼が慌てた様子ですくい上げてくれる。指が抜かれてようやく息が落ち着いた。

 霞がかっていた頭の中も晴れてきたので、先ほどから疑問に思っていたことを尋ねてみた。

「まさゆきさんの、お母さまの一族って、どう変わっているんですか……?」

 服を脱いでいた彼の手が一瞬、止まった。でもすぐに微笑んで素早く全裸になると覆い被さってくる。

「政治家の家系でね。ちょっと面倒くさい人が多いけど、母親も僕も政界とは関係ない一般人だから気にしないで」

 言うやいなや、唇を合わせて舌を絡めてくる。まさしく口を塞ぐ行為に、あまり話したくない内容かもと思った。結婚を決めて家族になる以上は話すべきだと話題にしたけれど、できれば口にしたくないといった気配。

 だから私は積極的に舌を動かして口づけで想いを伝える。あなたがどのような背景を背負っていても構わない、と。

 流れ込む体液を飲み干して唇を離すと、恋人の瞳をまっすぐに見つめる。

「いつか……」

「ん?」

「私をあなたの故郷に連れて行ってください。あなたが生まれ育ったという異国へ。……私が知らないあなたの歴史を教えてください」

 愛する人のすべてを知りたい。独占欲からもたらされる貪欲な言葉は、彼の劣情に火を点けたようだった。

 耳朶をうっすらと赤く染めた彼がぎゅっと抱き締めてきた。体重をかけないようにしながら私の顔中にキスを降らせる。やがて予告もなく秘所の奥の奥まで貫いてきた。

「ふああぁぁ!」

 挿入の刺激で私の腰がぶるりと震え、結合する彼の陰茎も跳ね上がる。その刺激でどれほど固くなっているかを内臓で感じとった。今、彼をここまでらせているのは私であって、彼を鎮められるのも慰めるのも私だけ。その誇りで媚肉が肉塊に絡みつく。

「あ、梨紗……」

 色っぽい囁きが嬉しくて恋人にり付いた。彼は息を整えると、緩やかな律動を最奥へと刻み込む。腰の動きに合わせて私の体も淫らに揺れて、一つの肉体となったかのようだ。

 彼は浅い突きをくり返しつつ、不意打ちで深いところまで串刺しにしてくる。子宮口をノックされるたびに私の肌が桃色に色づいた。

「アッ! アァ!」

「梨紗、りさ……」

 だんだんと打ち付ける動作が速くなり、秘筒が痺れて啼き声が止まらない。体の中で暴れる恋人の分身が気持ちよくて、肌をまさぐる手のひらも心地いい。

 快楽に酔ったのか、肉茎を夢中になって包み込んではしゃぶり続ける。締め付けては絞りあげる。

 呻き声が落ちてきた。快楽に歪む彼の精悍な顔を見上げて、私はよがりつつも思う。

 もっと余裕のない表情を見せて。私に溺れているって、私じゃなきゃ駄目なんだって、言葉ではなくあなたの姿で教えて。

 彼へ手を伸ばせばぎゅっと握り締めてくれた。私よりもずっと大きな手が力強く包んでくれることに安堵し、力を抜いてすべてを受け入れる。彼のすべてを。

 己の体が男を食い締めるのに任せ、ただただ喘ぎ続ける。罪深さを感じさせるほど快楽を貪り、共に昇り詰めて同時に果てる。交わる部分から放つ匂いは、もうどちらのものか分からない。二人分の情事の香りを部屋へまき散らし、汗を流し、卑猥な音を奏で、獣のように絡み合う。幸福だった。

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