マイスウィートハニー 元上司と愛され妻の新婚日記

佐木ささめ

変態メルヘン夫と常識妻のある日の夜 (1)




変態メルヘン夫と常識妻のある日の夜

 四月からここ上海海外赴任となった夫に同行して、ようやく一週間が過ぎたある日の夕方、彼からメールが届いた。


 【件名】m(__)m

 【本文】なし


 メールのくせに文章がなかったら意味が分からないじゃないか。私が、「どうしたの?」と素っ気ないメールを返すと、すぐに返信が来た。


 【件名】(ToT)/

 【本文】ごめんねマイハニー☆ 新人の歓迎会が急に決まったから顔出してくるよ! どうか罪深い僕を許しておくれ! ああ、本当は君が作った僕へのLove☆なご飯を、君を膝に乗せて君のおで食べたかったのにっ! もちろん君のご飯は僕が食べさせてあげるからねっ☆ 食べ終わるまで離してあげないよマイスウィートハニー! でもお風呂は一緒に入ろうね 君の玉のような肌を隅々まで綺麗にしてあげるよ! もちろんナカまで洗ってあ・げ・る 今日は照れないでねハニー☆


 即座にメールを削除してスマートフォンを静かに閉じる。さっさと食事を済ませて風呂に入り寝てしまおう。うん、そうしよう。自分の身は可愛いんだ。

 私はキッチンに立つと自分の食べる分だけ、食事を温め始めた。


 ……が、甘かった。自分はこの変態夫に対する認識を甘く見ていたらしい。

 おかげで今、狭くはないけれどそれほど広くはないバスタブに、夫と二人で浸かっている。この状況に深く反省した。

 例のふざけたメールが届いてすぐ行動に移した私は、手早く食事を済ませて風呂にも入り、彼が帰る前にはベッドへ逃げ込んだ。こうしてしまえばさすがにあの傍若無人な変態も私に手は出せまい、と考えていたのだけど。

 日付が変わる頃に帰ってきた夫は、家中の電気が消えていることで私がすでに寝ていると思ったのか──実際はナイトテーブルの灯りだけで本を読んでいた──、彼は真っ直ぐ寝室へやってきた。

 まだ四月に入ったばかりの上海の夜は寒い。トレンチコートに冷気を纏わり付かせて乗り込んできた彼は、いきなり毛布ごと私を抱き締めた。

「遅くなってごめんねぇ、奥さんっ! 旦那さんが帰ってきたよぅ☆ さあ一緒にお風呂へ入ろう

 と、毛布を引っぺがしやがった。寒い。

「おかえりなさい。私はもうお風呂は済ませました。もう寝てました。おやすみなさい」

 奪われた毛布を取り返そうとしたけれど、すでに私を暖める存在は床に落とされ、夫はこちらのパジャマをウキウキしながら脱がしにかかっている。

「寝てたって、本でも読んでたんデショ? 灯りが点いているしぃ☆ それに僕はお風呂に入ってないから、りぃーちゃんが温めてっ

 そうこうするうちに私の着ているパジャマを全部脱がしてしまった。なんという早業。

「温まりたいならゆっくり一人でお風呂に入った方がいいわよ」

 告げたところで、クシュンッ! とくしゃみが一つ出た。何も着ていないため、夜の冷えた空気がベッドで温まっていた私の体温を容赦なく奪う。夫は素っ裸に剥いた私を軽々と抱き上げて浴室に向かった。

「ほらほら早くお風呂に入らないと風邪引いちゃうよぅ☆」

「誰のせいですかっ!」

 ……との一連の騒動があって、私は今、彼とお風呂に浸かっている状態だ。背後で鼻歌なんか歌っている上機嫌な夫の脚の間に、彼と同じ方向を向いて座っている。夫の胸と私の背中が密着して少し恥ずかしい。それでなくても私の腰になにやら硬いモノが当たっているし、彼の手が私の体をっているし。

「りぃーちゃん寒くない? 温まったかなぁ?」

 違う意味で温まっています。

「もう熱いです。出てもいい?」

「駄目

 ひとことで却下された。同時に首筋に唇の感触。

「あ……」

 そうだ、忘れていた。今日は──もう昨日だけど──金曜日だった。明日の起床時間を気にしなくてもいい夜。こんなとき、彼は私を離してくれない。

 こちらの手などすっぽりと包むほどの大きな掌が、私の両の乳房を摑んできた。

「んっ」

 夫は痛いような痛くないような強さでやわやわと揉みながら、首筋に吸い付いた唇をゆっくりと耳朶までなぞる。その痺れるような感覚で、体が更に熱を持った。ぞくぞくとせり上がってくる緩い快感は私の下半身に疼きをもたらし、胎内から蜜液がとろりと流れ出す感触がある。湯を汚しそうで嫌だったから咄嗟に両脚を閉じると、彼はその行動がお気に召さなかったのか、唇でんでいた耳朶にカリリと軽く歯を立てた。

「うぅんっ」

 ピクンッと体が跳ね上がった一瞬だけ体の力が抜ける。その瞬間を狙って彼の両脚が私の脚の間に入り込み、浴槽の幅一杯まで開かせた。湯の中だというのに水の抵抗力をものともしない動きだ。あなたは魚ですか。

 浴槽の水面がバシャリと大きく波立つ。

「脚、離して……」

「だぁ~めだヨ! 僕の手が入れにくくなっちゃうデショ☆」

 はあ、やっぱりここでヤるんですか。

 宣言通り彼の右手が私の秘所に伸ばされ、長い指が湯と共にゆっくりと膣へ侵入してくる。

「あ、ん……」

 そのまま奥へ奥へと進む指に肉壁が絡み付き、熱い指と湯の熱が私を内側から乱し始める。ぐちゃぐちゃとぬめる膣道を搔き乱す骨張った指が、やがて二本に増やされて更に激しく行き来した。指の第一関節をクッと曲げて強弱をつけながら、鉤状の指で内壁を引っ搔いて刺激する。その度にピリピリと蜜壺が甘い痙攣を起こし、私の官能が攻め立てられた。

「あ……、あぁっ」

「気持ちイイ?」

 背後から笑いを含んだバリトンが囁く。右手で私のナカを狂わせながら、左手は大きな円を描くように乳房を揉みしだいて、ときどきキュッと乳首をつままれる。私の口から甘ったるい声が漏れた。

 自分だけが彼に翻弄されるなんて悔しいけど、私の腰やお尻に押し付けられる彼の分身がはち切れんばかりに膨らんでいて、ああ、このも余裕がないんだなとげに感じた。

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