五年目のシンデレラ 僕は何度も君に恋をする

御堂志生

第一章 結ばれた夜 (2)

 脚の間から聞こえてくる声は、欲情に上ずっていた。

 恥ずかしくてらない。だが、京悟はこの行為に興奮してくれている。彼が喜んでくれるなら、羞恥心に耐えることも愛情だと思う。夏音の心にそんな感情が芽生え始める。

 そのとき、京悟の舌が花びらを搔き分け、彼女の花芯を探り当てた。

「あぁーっ! 京悟……さ、ん……も、わたし……ダメなの、ダメ……あ、あ、あぅ、はぁうっ!」

 先ほどの小さな快楽とは違う、大きなうねりが波のように夏音を押し上げてくる。

「我慢しなくていいんだよ。ほら、イッてごらん。君の可愛い場所がこんなに濡れてきた」

 ピチャピチャと下腹部から聞こえ始めた。それが京悟の唾液ではなく、自分の身体から零れ落ちた液体だと知ったとき、快感と不快感がない交ぜになった不思議な感覚に囚われる。

 京悟は肘で夏音の太ももを押さえ込んだ。自由になった指先でその濡れた部分をる。うぶな淫芽を舌先で舐られ、蜜のるとば口を指で弄られた。

「きょ……うご、さん……そこ……どうす、るの?」

 そろそろと指先が掠めるようになぞってくる。溢れる蜜を指にめながら、蜜窟の内側まで指を押し込み始めた。

「夏音になるべく痛い思いをさせたくないからね。本当はもっと時間をかけたかったけど、今からだと……どうかな?」

 ツプリと音を立て一本の指が蜜の溢れる穴に沈み込んでいく。

 処女襞を傷つけないよう最大限の注意を払ってくれているようだ。指は夏音の膣内を搔き回すでもなく、ただ、ゆっくりと奥を目指しているだけだった。

「痛い?」

 京悟の問いに夏音は目を閉じたまま、首をふるふると横に振った。

「じゃあ、目を開けてくれるかな?」

 うっすらとを押し開ける。

 同時に、淫芽をチューチューと吸われ、その前後を親指で刺激されて──。

「やぁっ……やだ、やだ、あ、あぁ……あああーーっ!」

 夏音は力いっぱい白いシーツを握り締めていた。

 唇を押し当てられ強く吸われた場所も、指を押し込まれている処女窟にも、れるような快感が走り抜ける。脚を突っ張らせて、全身を震わせたあと、夏音の身体は弛緩したように脱力した。

 それでも秘所をすヌメリは次から次に溢れてくる。ジワリと温かい感触がクレバスを伝い、臀部に流れ落ちてシーツを湿らせた。

 大きな波が去り、夏音はフッと我に返る。

 するとお尻の下に感じる冷たい感触に、涙が浮かんできた。

「わたし……恥ずかしい。初めて、なのに……ホントよ、信じて」

 シーツを濡らすほど感じてしまうなんて、経験した友だちは誰もこんなことを教えてはくれなかった。

『とにかく痛いし、普通に考えたらありえない格好をさせられるし……。でも、じっと我慢してたら終わるから。彼が気持ちよかったら、エッチしたあとはもっと優しくしてくれるわよ』

 それがまさか指と舌を使って、夏音のほうが震えるほど気持ちよくさせてもらえるなんて。まるで何度も経験して慣れている女みたいで、必死になって言い訳をしてしまう。

 だが、京悟は唇を離して顔を上げると、夏音の心を温かくさせるような優しい顔で笑った。

「そんなこと……疑ったこともないよ。夏音に最高の思い出をあげたいだけだ。初体験は一生の思い出だろう? 僕たちはこの先何十年も一緒に過ごすんだぞ。君から一生『あのときは痛かった』なんて、言われたくないからね」

 夏音から『好きです』と告白したとき、『結婚を前提なら』と交際を承諾してもらった。恩ある会長の孫と特別な関係になるなら、中途半端な真似はできない、という京悟らしい誠実さだったと思う。

 だがこうしてあらためて言われると、どこかくすぐったく、嬉しい気持ちでいっぱいになる。  

「好き……大好き、京悟さ……あっんんっ」

 唇は離れたものの、京悟の指は夏音の体内に沈んだままだった。

 その指先は、蜜の溢れる膣窟をゆるゆると搔き回し始める。やがて、彼の指先に魔法をかけられたように、未通の肉襞が柔らかくなっていく。

「入り口がだいぶほぐれてきたかな? こうすると、もっと気持ちいいよ」

 京悟は余裕の笑みを浮かべ、夏音の快感を知ったばかりのに触れた。

「きゃんっ! そ、こ……さっき、舐めた……トコ」

 ズキンと電気が走ったようになり、彼の腕にしがみつく。

「そう、ここは指で触られても気持ちいいだろう?」

「や、やだ、やめ……あ、こんなこと……どうして? だって、京悟さんと……結ばれたい、のに……」

 どんなに痛くても覚悟はしている。彼と結ばれるためなら、彼に気持ちよくなってもらうためなら、それなのに、これでは夏音ばかりいい思いをしているではないか。

 嫌なわけではないが、焦る思いと羞恥心に、夏音は及び腰になってしまう。

「こらこら、逃げるんじゃない。ちゃんと結ばれるために、ここはしっかり柔らかくしておかないと」

「ちょ、ちょっとくらい……痛くても、平気よ」

「思いきり痛かったら?」

 京悟の答えに絶句する。

 大丈夫と言いたいが、夏音には見当もつかないので〝絶対〟とは言えない。

「じゃあ、指を増やすよ……いい子にしててくれよ」

 夏音の頰や耳元にキスすると同時に、京悟はささやいた。どこに、どの指を増やすのか、夏音は尋ねようとする。

 その直後、グチュリと音が聞こえて蜜穴に二本目の指が押し込まれた。

「はぁう! あ……あ……きょう……ごさ、ん」

 もう一本の指に添わせながら隘路に滑り込ませる。指が一本増えただけなのに、膣壁が押し広げられ、ピリッとした痛みを感じた。

 だが痛いと言ったら、もうやめておこうと言われるのは間違いないだろう。

 夏音がクッと唇を嚙み締めたとき、その唇に京悟はキスしてきた。

「わかったよ、夏音。でも、覚えておいてくれ。愛しているから、君を一生大切にしたいと思うから、君を抱くんだということを」

 彼の言葉の意味を考える前に、押し込まれていた二本の指が抜かれた。

 身体がほんの少し楽になる。でもすぐに、違うものを同じ場所に押し当てられた。少しずつ少しずつ、彼の熱い昂りが泥濘に沈んでいく。そこはけそうなほど火照った蜜が溢れ、甘い香りを放つ熱に欲棒まで溶けてしまいそうだ。

 ヌチュヌチュと挿入される音が耳に聞こえ、夏音は脚を閉じようとした。

 だが、その両膝を京悟に押さえ込まれ、彼女は身動きが取れなくなる。逃げ出すつもりも、暴れるつもりも一切ない。だが、女の躰は無意識で異物の挿入を感知し、彼女に快感とは別種の違和感を与えた。

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