『意図切』

空わかめ

その5『解明』

導かれるようにして、手渡されたスマホの画面を見る。
ネットニュースだった。
日付を確認すると8日前。

『行方不明の女子大生、遺体が発見される』

記事を読み進める。
添付された画像に映る明るい茶髪の少女。
失踪当時の服装は…ベージュのセーター、桜色のスカート。
遺体の発見場所は他県の河川であり、10日ほど前の大雨による増水などの要因が重なり、遺体に括り付けていた重しが流され浮上した可能性が示唆されていた。

「お姉さん、大学生?」

男は頬杖をついて、ニヤニヤとしながら尋ねる。
「はい」と小さな声で返すと

「どこ大?」

「清章女子…ですけど。」

「ふ~ん。スマホ返して。」

すっと差し出された右手に静留がスマホを乗せると、再び弄り始める。
その表情はどこか楽しげだった。

「う~ん…違うかあ~。」

「何が違うんですか?」

少しムッとして尋ねる静留に対し画面に目を向けたまま男は答える。

「お姉さん、この春に越して来たでしょ?だったら、知らないかもだけど、さっきの行方不明事件、可愛い娘だったから俺結構覚えててさ。もしかしたら、仁美ちゃんと大学一緒なのかな~、って。」

仁美。
先程の記事に書かれていた名前は七原仁美。
男が名を口にした瞬間、足音が激しくなった。
ガタガタと屋敷そのものが揺れているかのようであり、静留の身が竦む。
反して、男は相変わらずの表情のまま

「家は候坊町<ソウボウチョウ>?メゾングランデ302とか?」

男の発した言葉に静留は別の意味で恐怖を覚えた。
指摘された通り、家は候坊町でメゾングランデも現在一人暮らししているマンションからさほど距離はない。

「何が…言いたいんですか…?」

男は答えない。
代わりに再びスマホが差し出される。
画面の表示は静留も利用しているSNSだった。
日付は七原仁美失踪直後だった。

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