ホラー短編集『情報提供求ム』

空わかめ

『DM』

『DM』
コワガリャーさん、初めまして。
突然のDMすいません。
怪奇発掘チャンネル、いつも楽しく拝見しています。

現在私は30代の男性会社員です。
平々凡々と呼んで差し支えない家に生まれ、育ってまいりました。

新卒で就職した会社が所謂ブラック企業でした。
さっさと辞めれば良かったのですが、時は就職氷河期。
3年は我慢しなくてはという固定観念もありしがみついておりました。
7人居た同期が1人辞め2人辞め、1年も経たない内に残ったのは私を含めて3人になった頃、私はノイローゼのようになっていました。
疲れているのに眠れない、理由も無くイライラしてしまう。
ただ不思議な事に辞めるという発想はありませんでした。
そんな中、同期が自死を選択しました。
タイムカードを切ったあとの残業を終え

「お疲れー」

と普段の調子で挨拶を交わしました。
特段変わった感じはしませんでした。
彼を仮にAとしましょう。
幸いにして、その時まで近しい年齢の近しい人間の死に遭遇して来なかった、にも関わらず何故かショックや衝撃はさほどなく「あ~…」と妙に納得したことを覚えています。

ただ残った同期Bはそうではなかったようで、会社に出社しなくなりやがて退社しました。
そこまで来ても、私の中に退社という選択肢はありませんでした。
しかし、同期が全員居なくなったせいか更に多忙になり始めたころ、何故かAの夢をよく見るようになりました。
夢の詳しい内容までは覚えてないのですが、Aは首が長くなっていました。
ろくろ首ではなく、イメージとしては首長族が近いです。
またその時期は夢の中だけでなく、変なものを見る事が増えました。
やっと寝付けたと思えば、不意に目が覚めると舌が異様に長い女性が僕を見下ろしていたり、会社の廊下で両腕が地面につくほど長い老婆が歩いていたり、帰宅し電気をつけると異様に頭の大きな人影が見えたり、年齢や性別こそ様々でしたが、どこか体の部位が異常に肥大化していたのは共通しています。

当然怖かったには怖かったのですが、妙に冷静な部分もあり「あ、これ俺やばいわ…相当疲れてる」と幽霊の類というよりも幻覚の類と考えていた節もありました。

このままでは頭がおかしくなる。
そう思った私は退職しその後、しばらくは貯金を切り崩しながら食いつなぎ、今は再就職しています。
幻覚は相変わらず…、どころかむしろ頻度があがりました。
転勤のある仕事なので、すでに3度引っ越ししましたが彼らはついてきます。
特に自宅は酷く、帰宅する度に新たな幻覚が増えてすぐに家がいっぱいになります。
ですが、私は狂ってはいません。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
これからも動画、楽しみにしています。

さて、最後で1つ謝らなければいけません。

結論から言います。
この話は伝染ります。

退職に際し、前の会社の上司にこの話をしたところ、病院から出てこれなくなったと聞きました。
浮気して私を捨てた元婚約者にも話しました。
彼女は何かから逃げて道路に飛び出して死にました。
私をふった新卒の女の子にも話しました。
行方不明だそうです。

私はこの話を嫌いな人に送っています。

コワガリャーさん、頑張ってください。

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