ホラー短編集『情報提供求ム』

空わかめ

『狐のお面』

まだ実家に住んでたころ。
両親と一緒に二階の寝室で眠っていたころの記憶。
それは時折、やって来た。

背丈は幼かったころの自分と変わらない。
ふと気づくとそこにいて、僕たちの布団の周りをぐるぐると回っていた。

寝る時なので当然部屋は暗い。
じゃあ、なんで存在に気づいたのかと言うと、暗闇の中でぽっかりと狐面が浮かんでいたから。

ソイツは声も出していた。
文字にすると「ルルル」って感じ。
説明が難しいんだけど、ちょうど…こう、上顎に舌を当てて震わせると近い音になる。

何かされたって?
いや、何も。
思い返せば怖いって印象もない。

それで、いつの間にか見なくなって、後にその部屋は僕の部屋になった。
進学を機に家を出たあとは物置に。
ありがちなパターン。

社会人になって、ふと思い出してね。
調べてみたんだ。
もしかしたらお稲荷様かな、なんて思ってさ。
結論から言うと、近くに神社はあったけどお稲荷様は一切関係なし。

となれば僕の記憶違い。
寝ぼけてたって考えるのが普通。…なんだけど。

あ、ちょっと話は変わるけど僕には二人の姉がいる。
二人とももう結婚してて子供もいる。
姪っ子たちはとても可愛い。

話を戻す。
この前、お盆に帰省した。
面倒だけどたまには帰ってこいって両親が言うので。

帰省すると姉夫婦もいた。
僕と違って二人とも実家と同市内に住んでいるのでさほど驚かない。

姪っ子たちが言う。

「かくれんぼしよー。」

実家は無駄に広い日本家屋の為、隠れる場所は沢山ある。
子供からしたら楽しくって仕方ないだろう。

いいよ、って答えると嬉しそうに笑う姪っ子たち。
その時、一番上の姪っ子が言った。

「あ、二階は駄目だからね。」

まあ子供には危ないか。
実家の階段急だし。
さすがお姉ちゃん、なんて思ってたら違った。

「狐さんが居てうるさいから。」

…まだ居る…?

誰か知らない?
こういう事例。

怖いってより不気味なんだ。

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