田舎のお婆ちゃんから聞いた言い伝え

菊池まりな

第3話 暗くなってから田んぼに行ってはいけない理由

夕暮れが迫る田園風景。空は、茜色に染まり、遠くの山並みがシルエットのように浮かび上がる。
 
田んぼのあぜ道には、カエルの合唱が響き渡り、時折、トンボが羽音を立てて飛ぶ。
 
のどかな風景だが、日が暮れると、この田んぼには近づかない方が良いと、村人たちは口々に言う。
 
「日が暮れたら田んぼには行くな。あれは、昔からの言い伝えだ。」
 
村の古老、庄司じいさんは、そう言い聞かせた。
 
庄司じいさんは、村で最も古い歴史を知る人物だった。
 彼の語る昔話は、子供たちの間で、夜な夜な語り継がれていた。
 
「昔、この田んぼでは、夜な夜な奇妙な音が聞こえたんだ。まるで、誰かが悲鳴を上げているような、うめき声のような。村人たちは、その音を恐れて、夜には田んぼに近づかなかった。」
 
庄司じいさんの話は、子供たちの心を掴んで離さなかった。
 
しかし、誰もその音を実際に聞いた者はいない。
 
「きっと、ただの動物の鳴き声だろう。」
 
そう思った子供たちは、好奇心から、夜な夜な田んぼに忍び寄るようになった。
 
ある夜、子供たちは、田んぼの真ん中で、奇妙な光を見つけた。
 
それは、まるで、幽霊火のような、青白い光だった。
 
子供たちは、恐怖に震えながら、その光に近づいていった。
 
すると、光は、ゆっくりと動き出した。
 
子供たちは、その光を追いかけるように、田んぼの中を走った。
 
光は、田んぼの奥深くへと消えていった。
 
子供たちは、光を追いかけて、田んぼの奥深くへと進んでいった。
 
そして、彼らは、そこで、恐ろしい光景を目にした。
 
田んぼの真ん中に、大きな穴が開いていた。
 
穴の底には、真っ暗な闇が広がっていた。
 
子供たちは、その穴に吸い込まれるように、近づいていった。
 
そして、彼らは、穴の中に落ちてしまった。
 
子供たちは、穴の中で、奇妙な光に導かれるように、進んでいった。
 
光は、彼らを、どこまでも、どこまでも、連れて行く。
 
そして、彼らは、ついに、その光の正体に気づいた。
 
それは、田んぼの精霊、水神だった。
 
水神は、子供たちを、自分の住処すみかへと誘っていたのだ。
 
水神は、子供たちに、田んぼの豊穣を願う歌を歌った。
 
子供たちは、水神の美しい歌声に、心を奪われた。
 
そして、彼らは、水神の住処で、永遠に暮らすことを決めた。
 
それから、村では、子供たちが姿を消したという噂が広まった。
 
村人たちは、子供たちが田んぼの精霊にさらわれたのではないかと、恐れた。
 
そして、村人たちは、夜には田んぼに近づかないようになった。
 
「日が暮れたら田んぼには行くな。あれは、昔からの言い伝えだ。」
 
庄司じいさんの言葉は、村人たちの心に深く刻み込まれた。
 
そして、村人たちは、田んぼの精霊を恐れて、夜には田んぼに近づかなくなった。
 
しかし、田んぼの精霊は、今も、田んぼの奥深くで、子供たちを待っている。
 
夜になると、田んぼからは、奇妙な音が聞こえてくる。
 
それは、水神の美しい歌声なのか、それとも、子供たちの悲鳴なのか。
 
誰も、その答えを知らない。

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