殺人犯ですが助けてください、呪われたクソゲーがクリアできません!チャンネル登録お願いします

原案:狩野英孝 著者:架神恭介 キャラクター原案:倉持由香 プロデュース:株式会社ビーグリー

10-6.Review

「ぐああァあああああぁぁッ!!!!」

 怒りに満ちた咆哮が俺の中から溢れ出ていた。
さらに古賀さんが、

「昭和56年12月24日は……わ、私と、お姉ちゃんの……誕生日……」
「ぐゥ、おおおおぉぉおおおッッ!!!!!」

 俺は狂わんばかりに頭をかきむしった!

 おい、じゃあなんだ!? 
古賀瑛子は自分を投影したヒロインがイケメンに告白されて、秘められたスーパーパワーで全てを解決するクソ話に俺達を付き合わせたってことか!? 
俺達を殺しかけてまで!? 
ウ、ウソだろ……!!?

「み、見て、若色さん……お姉ちゃんが!」

 古賀さんが前方を指差した。
古賀瑛子の黒い影がうっすらとした光のようなものをまといつつあった。
ゾッとするような昏い笑みは消え失せて、その顔には柔和な微笑みが浮かんでいる。
その唇が微かに動いていた。

 ――ありがとう。

 そう言っているように俺には思えた。

「やっぱり、お姉ちゃん、心残りだったんだ……。最後まで、ゲームをしてもらえなかったことが……だから、あんなに嬉しそうな顔で……成仏……」

「はあああァァ!??? 成仏させッかよ!!」

 俺は思わず叫んでいた。
全身の気力を振り絞り、震える体で立ち上がった。

 古賀さんが「エェッ!?」という顔で俺を見上げた。

「人にコンテンツ、押し付けるだけ押し付けてよォ! てめェはまだ受けとってねェだろうが!」

 俺は人差し指をビッと突き出した。
古賀瑛子の影へと向けて。
血の塊を口からペッと吐き出す。
そして言った!

「導入は悪くなかった! 夜間のビルから脱出できないシチュエーションにも身近な恐怖があった!」

 古賀瑛子の影が怯えるようにビクッと震えた。
コイツ……絶対に逃さねえ!

「天井点検口イベントのゲームオーバー描写も力が入ってた。だが、褒められるのはそこまでだ! まず、情報量が少なすぎる。全容をプレイヤーが想像で補うにしても提示された材料が全然足りない!」

 そう、「評価」だ。
古賀瑛子はまだプレイヤーの評価を受け取っていない! 
やらせるだけやらせといて感想も聞かずに成仏するんじゃねえ!

「イベントも少なすぎてスカスカだ! 配電盤のパズルには結局何の意味があったんだ! 上司の存在も話に全く関わってこない! 無駄なキャラを出すな、キャラ減らせ! あと、井戸から出てくるあの霊はなんだ! どう見てもアレじゃねえか。いい加減にしろ!」
「ちょ、ちょっと! 若色さん、霊を刺激しない方が……」
「古賀さんは黙ってろ、ゲーマーとして率直な意見を言わざるを得ない!」
「ああああ! 怒ってる、お姉ちゃん怒ってる、言わんこっちゃない!」

 古賀瑛子の霊がブルブル震えている。
さっきまで湛えていた柔和な微笑みがどこかに消し飛び、顔面は憎悪に歪み、全身から漆黒のオーラを放ち、俺の鼻からも盛大に鮮血が噴き出した。

「せっかくJホラーのじめっとした雰囲気で進めてきたのに、最後に霊がモンスター化するのも台無しだ! 丁寧な恐怖が描けないからってクリーチャー造形でゴリ押しすんな!」
「ああああ、また目から血がーッ! 私たちまた呪われてる! や、やめてぇーッ!!」
「指輪の裏の刻印も意味不明だ! くだらねえミスリードすんな! あと拾った指輪でプロポーズすんな! 正気か!」
「ギャーッ、血が、血が! やめてぇぇ!!」
「最終展開に関してはもはや良いとか悪いとかいう次元ではない。論外だ! 妄想は日記帳にでも書いてろ! 商品化すんな! 販売すんな!」

 ボゲェーッ! 

たちまち俺の口から大量吐血!! 
古賀瑛子の霊を見ると物凄い形相で俺を睨んでいる。
「ぶちころすぞ」という漆黒の意志を感じる。

クソが! 
ユーザーの感想を呪いで封殺しようとすんな!

「10点中……2点だ!」

 だが、俺は負けない。
負けてたまるものか!

「本当は1点を付けたいところだが、部分的に光るところもあったので、オマケのオマケで2点! これ以上はビタ1点たりとも付けられねえ!」

 古賀瑛子の憎悪が高まっていく。
その体から放たれた黒い闇が俺の全身を突き刺すたびに凄まじい激痛が全身を駆け巡る。

クソが……。
痛みに耐えきれず膝を突いてしまう。
地面にボタボタと血の滴が垂れ落ちる。

「クソがッ!」

 俺は全身の力を振り絞り、再び立ち上がった。
そして、絶叫した!

「古賀瑛子っ! お前の境遇は同情する……だが、ユーザーの意見は受け止めろ! お前もクリエイターなら、作品の評価と真正面から向き合えッ!!」

 古賀瑛子の影がさらに巨大に広がる。
室内を覆い、ビルそのものを飲み込まんほどに漆黒の呪いが広がっていく。
俺は最後の力を振り絞って叫んだ!

「みんな! みんなも評価しろ! 古賀瑛子の作品に……庵藤と毒島の作品に! 真正面から思いをぶつけてやれ!」

 それが俺の限界だった。
俺はもう立っていられなくなり、血溜まりの中へと音を立てて前のめりに倒れた。
目の前が赤く染まり、続いて真っ暗になっていく。

だが、意識を失う寸前に……俺は見た。
古賀さんが最後の力を振り絞って必死に書き込みをしている姿を。
そして、コメント欄に溢れた、それらの文字列を――。
みんなの想いを――……。


ニラネギ 2点 

Jホラーをやりたい気持ちは伝わるが、粗が多すぎて没入感を損なっている。
ビルの12階に井戸があるのはいくら何でも無茶苦茶。
日報から情報を得る流れは評価できるが4000件も調べさせるのはやり過ぎ。
個人的には評価できる部分もあったが、全体的に独りよがりな作りで戸惑う箇所が多い。
ラストシーンには絶句。


ヘルアネゴ 2点

作り手のこだわりが感じられない。
安易なオマージュや、霊がモンスター化する展開には一気に冷めた。
足元のゴミが邪魔で入れない部屋にも怒りを覚える。
ジャンプボタンは結局一度も使わなかったのでは? 
日報イベントは存在そのものが害悪だが、ロードも妙に長く、この点に関してはプログラマーも同罪。
ラストシーンは誰か止めなかったの?


古賀あすな 3点

単純にエンタメ性が低く、プレイヤーを楽しませようというサービス精神に欠けている。
謎解きに至る情報が不足気味なのは高難易度と言うべきか不親切と言うべきか。
突然怖い絵が出てきて大きな音で驚かせるのは作品の雰囲気にマッチしていないのでやめた方が良い。
ラストシーンは見てる私の方が死にたくなった。


ドクターキリコ 1点

医者として断言するが時間の無駄。
本来なら1点すら付けたくない。
日報イベントの選択肢4000件は伝説に残るレベル。
イベントも少なすぎて、プレイ時間のほとんどはビル内を歩くか日報を見てる時間に費やされる。
実質的なプレイ時間は2時間あるかないか。
これをフルプライスで販売した蛮勇を称えたい。
ラストシーンはある意味、本作最大のホラー体験。

コメント

コメントを書く

「ホラー」の人気作品

書籍化作品