殺人犯ですが助けてください、呪われたクソゲーがクリアできません!チャンネル登録お願いします
9-2.RTA
「……おそらく末期症状です」
「マジっすか……」
「てか、僕も目から出てるんですよぉぉ……」
ニラネギも半べそをかいて叫んだ。
なんてことだ……。
ニラネギいわく、幾つかのアカウントにおいて、更新停止直前の投稿がまさに「目からの出血」だったのだという。
ニラネギの観測によれば、出血からおよそ数日で自殺や急死などの破滅的事態が到来する。
だが、最も早いケースでは出血から一時間後に死亡した例すらあったのだ。
「だから、早く何とかしなきゃいけないんですよ! ひとまず動画のアーカイブを消さないと……」
あ、そうか!
俺がゲーム配信してたから、動画で写真を見た人たちの全員が感染しているのか。
「配信すると死ぬゲーム」だと思ってたから、何があっても俺がどうにかなるだけだと呑気に見てた人たち全員がピンチに陥ってるわけだ。
うわ、ざまあみろ!
……じゃなくて、これは大変だ!!
いや……でも待てよ。
俺の失踪は話題になっていたし、SNSなどでも写真画像と共に出回っていた。
ひょっとして、チャンネル視聴者の域を超えて遥かに大勢の人たちが、同じ呪いを受けた可能性があるんじゃないか?
俺は急いでアーカイブを非公開設定にしたが、えっ、これ……既に遅すぎるんじゃない?
「医者として断言する。この出血は医学的なものではない。先程、自分で確認した」
コメント欄を見るとドクターキリコがそんなことを書き込んでいる。
ていうか、キリコも喰らってるのか!
やっぱりみんな呪われてやがる!
コメント欄は身の不幸を嘆く声や俺への八つ当たりに溢れている。
ええい、俺に当たるな!
俺だって泣きたいんだよ!
「お、おい、ニラネギ、これ、何とかならないのか!? 呪いを解く方法とか!」
「え、知りませんよ!」
「はあァ!? お前、オカルト研究家だろ!? 責任持ってなんとかしろよ!」
「ハァ!? 責任と言うなら若色さんこそ配信の責任を取るべきでしょーが!?」
俺とニラネギが醜く責任をなすりつけあって叫んでいたその時、横で古賀さんが、
「クリア……」
ボソリと呟いた。
ハッとして俺は古賀さんを見た。
古賀さんの小さな唇が震えながら動く。
「もし、お姉ちゃんに……心残り、あるなら……きっと、ゲーム……。最後まで、遊んで欲しかったはず……だから」
「……だから、クリア?」
「こんなのでも……『S/Witch』は、お姉ちゃんが形にできた、初めての作品だから……」
そうだ。
だから古賀さんは俺を縛って脅してまでゲームをクリアさせようとしていたんだ。
写真の拡散が止められないなら、せめて……という想いだったんだろう。
じゃあ、ゲームをクリアすれば助かる……のか?
「ニラネギ! どうなんだ!?」
俺は縋るように問うた。
これが俺達に残された最後の蜘蛛の糸なのか!?
「わ、分かりません……」
ニラネギは歯切れ悪く返した。
「け、けど、可能性があるとしたら、確かにそれかも。毒島氏は既にお祓いや祈祷は試したようですし、まだ、こちらの方が可能性が!!」
なら、やるしかない!
ともかくも指針が決まったことで、お通夜ムードだったコメント欄も「おおっ」と湧き上がった。
現在の視聴者数はいつもの100倍以上だ。
呪いの影響は日本中に、いや、世界にまで広がっていることだろう。
俺の配信は彼らにとっては「最前線の情報」なのだ。
混乱し、絶望する人々にとって「ゲームクリア」という可能性は一つの光明だったに違いない。
だが……!
「で、でも、進めないよね!?」
「進行不能バグだろ、あれ」
「クリアなんて不可能じゃないか!」
コメント欄にはすぐに悲観的な書き込みが溢れかえった。
そう、『S/Witch』には致命的な進行不能バグが潜んでいる。
数時間前に俺が苦しめられた姿をみんな覚えていたのだ。
けれど、俺は違った。俺は思い出していたのだ。
「update_101 .exe」
そう名付けられた実行ファイルの存在を。
あれが修正パッチである可能性を。
俺は一縷の望みを託し、ファイルを実行する。
そして、無事にアップデートがなされたことを祈りながら『S/Witch』を立ち上げた。
その瞬間――!
「え、ええええっ!」
「うおおおお!!?」
「な、何ぃーッ!?」
「バカな、一体何をしたんだ!」
「し、信じられない!」
絶望に包まれていたコメント欄が一転して驚愕と高揚に溢れかえった。
皆がその奇跡を目の当たりにして、俺にどんな魔法を使ったのかと問い詰めてくる。
え、何をしたかって?
俺はただスタートボタンを押してオープニングムービーをスキップしただけだが……?
そう、俺の予想通りだ。
大切なことだからもう一度言う。
オープニングムービーはスキップできる。
庵藤がもしパッチを当てるとしたら……まず、ここが直っているはずだと俺は確信していたのだ!
そして、ゲームが始まると俺は直ちにメニューを開き、ある選択肢にカーソルを合わせて、鉄槌を下すかのように力強くボタンを押下した。
「ゲ、ゲェーッ!!」
「ま、マジかぁ!」
「来たああああ!!!!」
「感動した!!!」
「これで勝つる……!」
コメント欄が熱狂の坩堝と化した。
何をしたか?
そう、セーブである。
メニュー一覧にセーブの選択肢が存在しているのだ。
もう一度言う。
このゲームはセーブができる!
「マジっすか……」
「てか、僕も目から出てるんですよぉぉ……」
ニラネギも半べそをかいて叫んだ。
なんてことだ……。
ニラネギいわく、幾つかのアカウントにおいて、更新停止直前の投稿がまさに「目からの出血」だったのだという。
ニラネギの観測によれば、出血からおよそ数日で自殺や急死などの破滅的事態が到来する。
だが、最も早いケースでは出血から一時間後に死亡した例すらあったのだ。
「だから、早く何とかしなきゃいけないんですよ! ひとまず動画のアーカイブを消さないと……」
あ、そうか!
俺がゲーム配信してたから、動画で写真を見た人たちの全員が感染しているのか。
「配信すると死ぬゲーム」だと思ってたから、何があっても俺がどうにかなるだけだと呑気に見てた人たち全員がピンチに陥ってるわけだ。
うわ、ざまあみろ!
……じゃなくて、これは大変だ!!
いや……でも待てよ。
俺の失踪は話題になっていたし、SNSなどでも写真画像と共に出回っていた。
ひょっとして、チャンネル視聴者の域を超えて遥かに大勢の人たちが、同じ呪いを受けた可能性があるんじゃないか?
俺は急いでアーカイブを非公開設定にしたが、えっ、これ……既に遅すぎるんじゃない?
「医者として断言する。この出血は医学的なものではない。先程、自分で確認した」
コメント欄を見るとドクターキリコがそんなことを書き込んでいる。
ていうか、キリコも喰らってるのか!
やっぱりみんな呪われてやがる!
コメント欄は身の不幸を嘆く声や俺への八つ当たりに溢れている。
ええい、俺に当たるな!
俺だって泣きたいんだよ!
「お、おい、ニラネギ、これ、何とかならないのか!? 呪いを解く方法とか!」
「え、知りませんよ!」
「はあァ!? お前、オカルト研究家だろ!? 責任持ってなんとかしろよ!」
「ハァ!? 責任と言うなら若色さんこそ配信の責任を取るべきでしょーが!?」
俺とニラネギが醜く責任をなすりつけあって叫んでいたその時、横で古賀さんが、
「クリア……」
ボソリと呟いた。
ハッとして俺は古賀さんを見た。
古賀さんの小さな唇が震えながら動く。
「もし、お姉ちゃんに……心残り、あるなら……きっと、ゲーム……。最後まで、遊んで欲しかったはず……だから」
「……だから、クリア?」
「こんなのでも……『S/Witch』は、お姉ちゃんが形にできた、初めての作品だから……」
そうだ。
だから古賀さんは俺を縛って脅してまでゲームをクリアさせようとしていたんだ。
写真の拡散が止められないなら、せめて……という想いだったんだろう。
じゃあ、ゲームをクリアすれば助かる……のか?
「ニラネギ! どうなんだ!?」
俺は縋るように問うた。
これが俺達に残された最後の蜘蛛の糸なのか!?
「わ、分かりません……」
ニラネギは歯切れ悪く返した。
「け、けど、可能性があるとしたら、確かにそれかも。毒島氏は既にお祓いや祈祷は試したようですし、まだ、こちらの方が可能性が!!」
なら、やるしかない!
ともかくも指針が決まったことで、お通夜ムードだったコメント欄も「おおっ」と湧き上がった。
現在の視聴者数はいつもの100倍以上だ。
呪いの影響は日本中に、いや、世界にまで広がっていることだろう。
俺の配信は彼らにとっては「最前線の情報」なのだ。
混乱し、絶望する人々にとって「ゲームクリア」という可能性は一つの光明だったに違いない。
だが……!
「で、でも、進めないよね!?」
「進行不能バグだろ、あれ」
「クリアなんて不可能じゃないか!」
コメント欄にはすぐに悲観的な書き込みが溢れかえった。
そう、『S/Witch』には致命的な進行不能バグが潜んでいる。
数時間前に俺が苦しめられた姿をみんな覚えていたのだ。
けれど、俺は違った。俺は思い出していたのだ。
「update_101 .exe」
そう名付けられた実行ファイルの存在を。
あれが修正パッチである可能性を。
俺は一縷の望みを託し、ファイルを実行する。
そして、無事にアップデートがなされたことを祈りながら『S/Witch』を立ち上げた。
その瞬間――!
「え、ええええっ!」
「うおおおお!!?」
「な、何ぃーッ!?」
「バカな、一体何をしたんだ!」
「し、信じられない!」
絶望に包まれていたコメント欄が一転して驚愕と高揚に溢れかえった。
皆がその奇跡を目の当たりにして、俺にどんな魔法を使ったのかと問い詰めてくる。
え、何をしたかって?
俺はただスタートボタンを押してオープニングムービーをスキップしただけだが……?
そう、俺の予想通りだ。
大切なことだからもう一度言う。
オープニングムービーはスキップできる。
庵藤がもしパッチを当てるとしたら……まず、ここが直っているはずだと俺は確信していたのだ!
そして、ゲームが始まると俺は直ちにメニューを開き、ある選択肢にカーソルを合わせて、鉄槌を下すかのように力強くボタンを押下した。
「ゲ、ゲェーッ!!」
「ま、マジかぁ!」
「来たああああ!!!!」
「感動した!!!」
「これで勝つる……!」
コメント欄が熱狂の坩堝と化した。
何をしたか?
そう、セーブである。
メニュー一覧にセーブの選択肢が存在しているのだ。
もう一度言う。
このゲームはセーブができる!
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