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8-3.真相
ここからは俺の推理となってしまうが、おそらく間違いないだろう。
古賀さんは「UMBRELLA」に対して「庵藤圭司宛の殺害予告」を送ったのだ。
庵藤からすれば、自分を庵藤圭司だと知る何者かからの殺害予告が届き、タイミングからしても『S/Witch』絡みであると気付いたはずだ。
あのゲーム絡みで二人も死人が出ている。
誰が誰を恨んでいてもおかしくはない。
庵藤は殺害予告を重く受け止めた。
そして、庵藤は何よりも危惧した。
「若色が庵藤だと誤認され、何者かから殺意を向けられる」ことを――。
だから、アイツは悩んだ末に決意したのだ。
自分が庵藤だと暴露することを。
正体の分からぬ殺害予告犯の凶刃が俺に向かうことを避けるために。
これまで積み上げてきた全てを犠牲にしてでも俺を守るべく、庵藤は苦渋の決断を下したのだ。
点と点が繋がり、線となって全てが見えていた。
俺にはこの悲しい事件の全体像が全て明らかになっていた。
姉を思う妹の気持ち、俺を思う庵藤の気持ち……。
そういった各人の確かな愛情が僅かなボタンの掛け違いから歪み、錯綜し、最悪の形で現れたのが今回の事件の真相だったのだ。
滑稽ではあるが、これは喜劇ではなく悲劇なのだ……。
「古賀さん、キミは冷静じゃなかった。おかしくなっていたと思う」
蕎麦湯を使った毒殺の件は、まだ分かる。
犯行自体はともかく、事故死に見せかけようとする意図が感じられた。
だが、それ以降の動きはあまりにもお粗末で行き当たりばったりだ。
俺を殺しに来た時も、あんなに部屋の扉を叩けば俺が警戒するに決まっているし、仮に俺を配信中に殺せたとしてもすぐに警察が来て捕まるだろう。
明らかに冷静さを欠いていた。
「呪いを演出するために俺の部屋に手形を残したのもやり過ぎだ。後で指紋照合すれば、キミが付けたものだと簡単に分かる。わざわざ現場に証拠を残したようなものだ」
「え……っ……」
「だが、一連のミスの中でも、最も大きなミスをキミは犯した。なぜ、覆面の正体がキミだと分かったのか? これは本当に馬鹿らしい話なんだ。そのくらいチープなミスだった。そう……」
俺は引導を渡すかの如くに、その事実を彼女に突きつけた。
「キミは俺の前に姿を現したんだ」
「え、えええっ!?」
「その反応……やっぱり、キミは気付いていなかったんだね。俺に見られていたことに」
そう、あの時、俺は二階のオフィスから外付け階段へと逃げていく古賀さんの後ろ姿を確かに見たのだ。
その直後に覆面をかぶった人物が襲ってきた。
じゃあ、そんなの正体は古賀さんに決まってるじゃん!
これはもう推理でもなんでもない。
物理的にそこにいた人がそこにいるというだけの話だ。
古賀さんがいたんだから、そりゃ古賀さんだ。
古賀さんは見られていないと思ってたから、覆面なんて被っちゃって、「謎の殺人鬼ですぅ~」みたいな素振りで出てきたんだろうけど、言っちゃ悪いけど間抜けな話だ。
「うっかり正体を見られたから犯人だとバレる」とか、ミステリーのオチがこれなら読者は激怒するだろうけど、いやでも実際はこんなもんだよな。
生身の人間が行う犯罪なんて隙だらけで当然だ。
それが現実ってもんなんだよ……。
古賀さんは狼狽しきっている。
俺から伝えられた衝撃の事実に打ちのめされているのか、もう何がなんだか分からないといった様子だ。
いや~、分かる。
気持ちは分かるよ。
わざわざ覆面とか被ったのに馬鹿みたいだよね。
白い布とかもまとってたけど、あれ、上の部屋から布団シーツを剥いできたのかな。
体のシルエットが分からないように工夫したんだよね?
なのに、なんか、ごめんね、ホント……。
ひとしきり混乱し、ワタワタとしていた古賀さんだが、彼女は何度か深呼吸を繰り返した。
なんとか気持ちを落ち着かせようとしている。
……それはいいんだけど、そろそろ俺を縛ってる縄を解いてくれないかな?
いい加減、解放して欲しいんだけど。
「若色さん」
古賀さんが顔を真っ青にしながらも、それでも努めて冷静さを装った口調で言った。
「若色さん、誰を見たんですか?」
「ん?」
えっ、なに?
俺は、キョトンとしてしまう。
ちょっと、意味が分からなかった。
あれ?
ひょっとして古賀さん、犯行を否認しようとしてる?
いや、でも、もうそういうフェーズじゃなくない?
いや、犯人ですよね??
犯行を認めたことが全世界に配信されてますが……。
呆れ果てる俺の前で古賀さんは止まらずにまくし立てた。
「契約書の件、誰と話したんですか?」
「え?」
「私、そんな電話してないですよ!」
「は?」
「手形も何のことだか分からないです!」
「えええぇえ……」
「ついでにいうと殺害予告もしてません!」
え、ちょ、ちょっと!
ちょっと古賀さん!
往生際が悪すぎるよ。
俺の中では点と点が繋がり線となって全てが見えてるんだから!
いや、ここから自首する流れでしょ?
今さら悪あがきしないで欲しいな~。
あと、拘束も外して欲しい。
「若色さん、落ち着いて考えて下さい。私が、ここに社員の契約書や履歴書があると知ってて、なんで若色さんを誘導するんですか?」
「や、それは俺にお姉さんのことを思い出させるため……」
「じゃなくて! そんな書類があるって知ってるなら、私はあんでぃろの正体も知ってるはずです。そもそも若色さんを狙う理由がないんですよ!」
「はあ」
俺からものすごく間抜けな声が出た。
え、ヤッバ……ちょっと、よく分かんなくなってきた。
「若色さん、一度整理してもらっていいですか?」
「アッ、ハイ」
俺は頭の中で、点と点が繋がり線になってるはずの全体像を改めて追いかけながら、ポツポツと尋ね出した。
「えっと…………まず、お茶に蕎麦湯を仕込んで、庵藤を殺しました?」
「はい、大丈夫です。殺しました」
いや、大丈夫ですじゃないんだよ、もぉ……。
「その後、俺を殺そうとしました?」
「はい」
「俺をここに誘導しました?」
「はい、姉の件を思い出させようと……」
「で、俺が契約書と履歴書を探すよう電話で示唆した」
「してません」
「二階から外階段に向かって飛び出した」
「してません」
「…………」
「若色さん」
暗がりの中、古賀さんが青ざめた顔に涙を浮かべながら言った。
「若色さん、一体誰と電話して、誰と会ったんですか?」
彼女の瞳からツーッ……と涙がこぼれ落ちた。
涙?
いや……。
何か、違くないか?
そう思った時、俺はふと視線を下に向けた。
そして気付いた。
――真っ赤じゃん?
俺の太腿の付け根あたりが真っ赤に染まっていた。
ゲームパッドを持つ腕の肘の辺りも。
え、なんだこれ?
その赤い染みに、ポツンと一点、さらに赤い染みが加わった。
ポツン、ポツン……。
赤い染みがドンドン増えていく。
「若色……さん」
古賀さんの声が震えている。
「……血、出てます……目から……」
そういう古賀さんの両目からも涙のように血が溢れていた。……え?
「なに? なにこれ……。ふぇ?」
怖いというよりもスッカリ意味が分からず、俺はキョロキョロと視線をさまよわせた。
その時にノートパソコンが目に入った。
しばらく目を逸らしていたコメント欄が俺の視界に飛び込んできたが、それは――、
阿鼻叫喚だった。
「血が、目から血が!」
「部屋の中を女が横切った」
「電話が、電話が!」
「助けてッ!」
「壁に赤い手形が……」
「ホテル? 車!? なんなんだ」
「血が止まらない!」
「電話が繋がらない! 救急車!」
「ベランダで誰かが首を吊ってる……」
「何が起こってる」
「誰か説明してくれ!!!」
はぁあぁ……?
えっ、ちょっと、みんなどうした?
落ち着け。
いや、意味が全然分かんないんだけど。
え、何?
ドッキリ?
でも血は実際に出てて……えっ、えっ!?
その後もコメント欄はドンドン流れていったが、その中で一つ、気になる書き込みが目に入った。
「だから早く連絡しろって何度も言ったじゃないですか!!」
ニラネギだ。
なんか……すごい怒ってる。
そのニラネギから、続けて怒気に満ち満ちたコメントが飛び込んできた。
「バカ! 早く伝えたかったのにバカ! 『S/Witch』の呪いは実在するんですよ!!!」
……え、えぇえぇー!?
古賀さんは「UMBRELLA」に対して「庵藤圭司宛の殺害予告」を送ったのだ。
庵藤からすれば、自分を庵藤圭司だと知る何者かからの殺害予告が届き、タイミングからしても『S/Witch』絡みであると気付いたはずだ。
あのゲーム絡みで二人も死人が出ている。
誰が誰を恨んでいてもおかしくはない。
庵藤は殺害予告を重く受け止めた。
そして、庵藤は何よりも危惧した。
「若色が庵藤だと誤認され、何者かから殺意を向けられる」ことを――。
だから、アイツは悩んだ末に決意したのだ。
自分が庵藤だと暴露することを。
正体の分からぬ殺害予告犯の凶刃が俺に向かうことを避けるために。
これまで積み上げてきた全てを犠牲にしてでも俺を守るべく、庵藤は苦渋の決断を下したのだ。
点と点が繋がり、線となって全てが見えていた。
俺にはこの悲しい事件の全体像が全て明らかになっていた。
姉を思う妹の気持ち、俺を思う庵藤の気持ち……。
そういった各人の確かな愛情が僅かなボタンの掛け違いから歪み、錯綜し、最悪の形で現れたのが今回の事件の真相だったのだ。
滑稽ではあるが、これは喜劇ではなく悲劇なのだ……。
「古賀さん、キミは冷静じゃなかった。おかしくなっていたと思う」
蕎麦湯を使った毒殺の件は、まだ分かる。
犯行自体はともかく、事故死に見せかけようとする意図が感じられた。
だが、それ以降の動きはあまりにもお粗末で行き当たりばったりだ。
俺を殺しに来た時も、あんなに部屋の扉を叩けば俺が警戒するに決まっているし、仮に俺を配信中に殺せたとしてもすぐに警察が来て捕まるだろう。
明らかに冷静さを欠いていた。
「呪いを演出するために俺の部屋に手形を残したのもやり過ぎだ。後で指紋照合すれば、キミが付けたものだと簡単に分かる。わざわざ現場に証拠を残したようなものだ」
「え……っ……」
「だが、一連のミスの中でも、最も大きなミスをキミは犯した。なぜ、覆面の正体がキミだと分かったのか? これは本当に馬鹿らしい話なんだ。そのくらいチープなミスだった。そう……」
俺は引導を渡すかの如くに、その事実を彼女に突きつけた。
「キミは俺の前に姿を現したんだ」
「え、えええっ!?」
「その反応……やっぱり、キミは気付いていなかったんだね。俺に見られていたことに」
そう、あの時、俺は二階のオフィスから外付け階段へと逃げていく古賀さんの後ろ姿を確かに見たのだ。
その直後に覆面をかぶった人物が襲ってきた。
じゃあ、そんなの正体は古賀さんに決まってるじゃん!
これはもう推理でもなんでもない。
物理的にそこにいた人がそこにいるというだけの話だ。
古賀さんがいたんだから、そりゃ古賀さんだ。
古賀さんは見られていないと思ってたから、覆面なんて被っちゃって、「謎の殺人鬼ですぅ~」みたいな素振りで出てきたんだろうけど、言っちゃ悪いけど間抜けな話だ。
「うっかり正体を見られたから犯人だとバレる」とか、ミステリーのオチがこれなら読者は激怒するだろうけど、いやでも実際はこんなもんだよな。
生身の人間が行う犯罪なんて隙だらけで当然だ。
それが現実ってもんなんだよ……。
古賀さんは狼狽しきっている。
俺から伝えられた衝撃の事実に打ちのめされているのか、もう何がなんだか分からないといった様子だ。
いや~、分かる。
気持ちは分かるよ。
わざわざ覆面とか被ったのに馬鹿みたいだよね。
白い布とかもまとってたけど、あれ、上の部屋から布団シーツを剥いできたのかな。
体のシルエットが分からないように工夫したんだよね?
なのに、なんか、ごめんね、ホント……。
ひとしきり混乱し、ワタワタとしていた古賀さんだが、彼女は何度か深呼吸を繰り返した。
なんとか気持ちを落ち着かせようとしている。
……それはいいんだけど、そろそろ俺を縛ってる縄を解いてくれないかな?
いい加減、解放して欲しいんだけど。
「若色さん」
古賀さんが顔を真っ青にしながらも、それでも努めて冷静さを装った口調で言った。
「若色さん、誰を見たんですか?」
「ん?」
えっ、なに?
俺は、キョトンとしてしまう。
ちょっと、意味が分からなかった。
あれ?
ひょっとして古賀さん、犯行を否認しようとしてる?
いや、でも、もうそういうフェーズじゃなくない?
いや、犯人ですよね??
犯行を認めたことが全世界に配信されてますが……。
呆れ果てる俺の前で古賀さんは止まらずにまくし立てた。
「契約書の件、誰と話したんですか?」
「え?」
「私、そんな電話してないですよ!」
「は?」
「手形も何のことだか分からないです!」
「えええぇえ……」
「ついでにいうと殺害予告もしてません!」
え、ちょ、ちょっと!
ちょっと古賀さん!
往生際が悪すぎるよ。
俺の中では点と点が繋がり線となって全てが見えてるんだから!
いや、ここから自首する流れでしょ?
今さら悪あがきしないで欲しいな~。
あと、拘束も外して欲しい。
「若色さん、落ち着いて考えて下さい。私が、ここに社員の契約書や履歴書があると知ってて、なんで若色さんを誘導するんですか?」
「や、それは俺にお姉さんのことを思い出させるため……」
「じゃなくて! そんな書類があるって知ってるなら、私はあんでぃろの正体も知ってるはずです。そもそも若色さんを狙う理由がないんですよ!」
「はあ」
俺からものすごく間抜けな声が出た。
え、ヤッバ……ちょっと、よく分かんなくなってきた。
「若色さん、一度整理してもらっていいですか?」
「アッ、ハイ」
俺は頭の中で、点と点が繋がり線になってるはずの全体像を改めて追いかけながら、ポツポツと尋ね出した。
「えっと…………まず、お茶に蕎麦湯を仕込んで、庵藤を殺しました?」
「はい、大丈夫です。殺しました」
いや、大丈夫ですじゃないんだよ、もぉ……。
「その後、俺を殺そうとしました?」
「はい」
「俺をここに誘導しました?」
「はい、姉の件を思い出させようと……」
「で、俺が契約書と履歴書を探すよう電話で示唆した」
「してません」
「二階から外階段に向かって飛び出した」
「してません」
「…………」
「若色さん」
暗がりの中、古賀さんが青ざめた顔に涙を浮かべながら言った。
「若色さん、一体誰と電話して、誰と会ったんですか?」
彼女の瞳からツーッ……と涙がこぼれ落ちた。
涙?
いや……。
何か、違くないか?
そう思った時、俺はふと視線を下に向けた。
そして気付いた。
――真っ赤じゃん?
俺の太腿の付け根あたりが真っ赤に染まっていた。
ゲームパッドを持つ腕の肘の辺りも。
え、なんだこれ?
その赤い染みに、ポツンと一点、さらに赤い染みが加わった。
ポツン、ポツン……。
赤い染みがドンドン増えていく。
「若色……さん」
古賀さんの声が震えている。
「……血、出てます……目から……」
そういう古賀さんの両目からも涙のように血が溢れていた。……え?
「なに? なにこれ……。ふぇ?」
怖いというよりもスッカリ意味が分からず、俺はキョロキョロと視線をさまよわせた。
その時にノートパソコンが目に入った。
しばらく目を逸らしていたコメント欄が俺の視界に飛び込んできたが、それは――、
阿鼻叫喚だった。
「血が、目から血が!」
「部屋の中を女が横切った」
「電話が、電話が!」
「助けてッ!」
「壁に赤い手形が……」
「ホテル? 車!? なんなんだ」
「血が止まらない!」
「電話が繋がらない! 救急車!」
「ベランダで誰かが首を吊ってる……」
「何が起こってる」
「誰か説明してくれ!!!」
はぁあぁ……?
えっ、ちょっと、みんなどうした?
落ち着け。
いや、意味が全然分かんないんだけど。
え、何?
ドッキリ?
でも血は実際に出てて……えっ、えっ!?
その後もコメント欄はドンドン流れていったが、その中で一つ、気になる書き込みが目に入った。
「だから早く連絡しろって何度も言ったじゃないですか!!」
ニラネギだ。
なんか……すごい怒ってる。
そのニラネギから、続けて怒気に満ち満ちたコメントが飛び込んできた。
「バカ! 早く伝えたかったのにバカ! 『S/Witch』の呪いは実在するんですよ!!!」
……え、えぇえぇー!?
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