殺人犯ですが助けてください、呪われたクソゲーがクリアできません!チャンネル登録お願いします
7-2.休憩
来る時に見たあのホテル――、
「『月乃ホテル』だ!」
早速、ホテルのサイトを確認する。
「全室に夜景をテーマとした内装を施し、カップルにロマンチックな一時を」うんぬんと書かれている。
客室の写真を見ると、やはり室内の壁紙は全て夜景で統一されていた。
間違いない。
社長と女性ディレクターはここを訪れて「休憩」したんだ。
写真は全て、この部屋の中で撮られたもの……
いや、正確には、ここで撮られた一枚の写真から一部を切り抜き、拡大したものだったんだ!
ホテルの室内ということを前提に見ていくと……写真の意味が見えてくる。
この四角いビニール包装は、その……そういうことの際に使うものを取り出した後のゴミで、
このハンカチ……じゃなくてティッシュも、そういうことの後に拭ったもので……
えっ、じゃあ、血……?
血って!
え、ええぇ……!?
コップは二人で普通に使ったものとして……。
しかし、この斜め線はやっぱりよく分からないな。
……って。
待てよ?
これ、よく見ると線の周りに黒いポツポツがあるような……すごく薄いけど、これ、ひょっとして毛……?
え?
……お??
おおおお、マ、マ、マジか……!
ウソだろ、おい!
こんなゲームが全年齢で売られてたの!??
おい、何考えてんだ、毒島、お前、頭おかしいんじゃねえか。
おぉぉぃ!?
だが、こんな部分的な画像では、ほとんどの人には何がなんだか分からないだろう。
それこそ、この写真の意味を説明でもされない限り……。
そうか……。
つまり、「犯行」とは……
「この画像の意味を……説明すること、か……」
毒島氏はあの時の配信で、この画像を表示して……さらに、その意味を説明することで……故人を貶めようとした。
自殺した女性社員に対する八つ当たりだったのか?
毒島氏本人も既に自殺を考えていて破れかぶれだったのかもしれない。
庵藤はそれを察した。
だからこそアイツは慌ててここに駆けつけた……。
株式会社サイドソフトと『S/Witch』に関する背景情報が俺の中で明らかになってきた。
それは目眩がするような「真実」だった。
だが、本当の問題はここからだ。
そう――、
なぜ「犯人」は呪いを偽装して俺を殺そうとしたのか。
犯人の動機はなんだ?
俺を殺すことで犯人は何を得られる?
……いや、違うな。
犯人は俺を止めたかったのか?
――ガチャン!
その時、二階から金属音が響いた。
聞き覚えのある音だ。
俺は急いで下階へと向かった。
階段を降りた瞬間に、ショートカットの女性の後姿がオフィスの扉を閉めて中へと入っていく姿が垣間見えた。
古賀さんだ!
もう着いたのか?
……いや。
そうか、そういうことか!
「待ってくれ。聞きたいことがあるんだ!」
俺は大声で叫び、古賀さんの後を追ってオフィスの中へと駆け込んだ。
外付け階段への扉が開いていた。
そこに古賀さんの姿がスッと入り込んだ後、扉がガシャンと閉まる。
やっぱりさっきの音もこの扉だ。
古賀さんが外付け階段から入り、また出て行ったのか?
――ガチャ!
俺は駆け寄って扉を開いたが、外付け階段から下を見てもどこにも古賀さんの姿がない。
なぜ俺から逃げるんだ?
俺の中で疑惑は確信へと変わりつつあった――。
「ん……?」
諦めて扉を閉めようとした時、差し込んだ月明かりにより、俺はあるものを発見した。
扉の下に落ちていたそれは……トールケースだ。
DVDなどを入れるのに使うケースで、もちろんゲームにも使われている。
ジャケットの付いたそれは……間違いない。
現物を見るのは初めてだが、ここに来るまでに画像では何度か見ていた。
『S/Witch』の製品版ディスクだ。
好都合だ。
ちょうど確認したいことがあったのだ。
トールケースを拾い上げる。
外側のジャケットにはお目当ての情報はなかったので、中を開いた。
薄い説明書が同梱されていたのでめくっていく。
最終ページにそれはあった。
スタッフクレジットだ。
まずはメインプログラマーを確認する。
「あんでぃろ」 となっていた。
間違いない、庵藤だ。
「あんでぃろ」は庵藤と俺が、気の迷いで漫才コンビを組んで文化祭に出た時のコンビ名だ。
全く、こんなところで勝手に使いやがって……。
そして、ディレクターの名前も確認する。
やはり……やはりだ。
俺は少しだけ考えてから、庵藤のノートパソコンを開き、手早く準備を始めた。
 *
昭和84年9月3日1時17分 ――配信再開――
「UMBRELLAです」
地べたに置いたノートパソコンの前に座り込み、俺は配信を立ち上げていた。
深夜に突発的に始めた生配信にもかかわらず、視聴者数がグングン回り始める。
自分が「時の人」になっていることを実感せざるを得ない。
コメント欄には
「生存確認」
「安心しました」
「生きとったんかワレ!」
などの温かい言葉と共に、
「やりすぎ」
「結局ヤラセかよ」
「数字稼ぎ乙」
といった非難の声が入り混じっている。
常連視聴者と思しき名前もいくつも見かけた。
その中にはニラネギ、ドクターキリコ、ヘルアネゴらもいた。
ニラネギからは
「大切なお話があります。できるだけ早く、個別で連絡を下さい」
というコメントが届いたが、しかし、申し訳ないが、みんなにも、ニラネギにも、今は答えている余裕がない。
急ぎ確認すべきことがあって、俺は生配信というリスクを踏んだのだ。
「今回の件、俺に色々と聞きたいことがあるのは分かります。ですが、まずはどうかご協力下さい」
「『月乃ホテル』だ!」
早速、ホテルのサイトを確認する。
「全室に夜景をテーマとした内装を施し、カップルにロマンチックな一時を」うんぬんと書かれている。
客室の写真を見ると、やはり室内の壁紙は全て夜景で統一されていた。
間違いない。
社長と女性ディレクターはここを訪れて「休憩」したんだ。
写真は全て、この部屋の中で撮られたもの……
いや、正確には、ここで撮られた一枚の写真から一部を切り抜き、拡大したものだったんだ!
ホテルの室内ということを前提に見ていくと……写真の意味が見えてくる。
この四角いビニール包装は、その……そういうことの際に使うものを取り出した後のゴミで、
このハンカチ……じゃなくてティッシュも、そういうことの後に拭ったもので……
えっ、じゃあ、血……?
血って!
え、ええぇ……!?
コップは二人で普通に使ったものとして……。
しかし、この斜め線はやっぱりよく分からないな。
……って。
待てよ?
これ、よく見ると線の周りに黒いポツポツがあるような……すごく薄いけど、これ、ひょっとして毛……?
え?
……お??
おおおお、マ、マ、マジか……!
ウソだろ、おい!
こんなゲームが全年齢で売られてたの!??
おい、何考えてんだ、毒島、お前、頭おかしいんじゃねえか。
おぉぉぃ!?
だが、こんな部分的な画像では、ほとんどの人には何がなんだか分からないだろう。
それこそ、この写真の意味を説明でもされない限り……。
そうか……。
つまり、「犯行」とは……
「この画像の意味を……説明すること、か……」
毒島氏はあの時の配信で、この画像を表示して……さらに、その意味を説明することで……故人を貶めようとした。
自殺した女性社員に対する八つ当たりだったのか?
毒島氏本人も既に自殺を考えていて破れかぶれだったのかもしれない。
庵藤はそれを察した。
だからこそアイツは慌ててここに駆けつけた……。
株式会社サイドソフトと『S/Witch』に関する背景情報が俺の中で明らかになってきた。
それは目眩がするような「真実」だった。
だが、本当の問題はここからだ。
そう――、
なぜ「犯人」は呪いを偽装して俺を殺そうとしたのか。
犯人の動機はなんだ?
俺を殺すことで犯人は何を得られる?
……いや、違うな。
犯人は俺を止めたかったのか?
――ガチャン!
その時、二階から金属音が響いた。
聞き覚えのある音だ。
俺は急いで下階へと向かった。
階段を降りた瞬間に、ショートカットの女性の後姿がオフィスの扉を閉めて中へと入っていく姿が垣間見えた。
古賀さんだ!
もう着いたのか?
……いや。
そうか、そういうことか!
「待ってくれ。聞きたいことがあるんだ!」
俺は大声で叫び、古賀さんの後を追ってオフィスの中へと駆け込んだ。
外付け階段への扉が開いていた。
そこに古賀さんの姿がスッと入り込んだ後、扉がガシャンと閉まる。
やっぱりさっきの音もこの扉だ。
古賀さんが外付け階段から入り、また出て行ったのか?
――ガチャ!
俺は駆け寄って扉を開いたが、外付け階段から下を見てもどこにも古賀さんの姿がない。
なぜ俺から逃げるんだ?
俺の中で疑惑は確信へと変わりつつあった――。
「ん……?」
諦めて扉を閉めようとした時、差し込んだ月明かりにより、俺はあるものを発見した。
扉の下に落ちていたそれは……トールケースだ。
DVDなどを入れるのに使うケースで、もちろんゲームにも使われている。
ジャケットの付いたそれは……間違いない。
現物を見るのは初めてだが、ここに来るまでに画像では何度か見ていた。
『S/Witch』の製品版ディスクだ。
好都合だ。
ちょうど確認したいことがあったのだ。
トールケースを拾い上げる。
外側のジャケットにはお目当ての情報はなかったので、中を開いた。
薄い説明書が同梱されていたのでめくっていく。
最終ページにそれはあった。
スタッフクレジットだ。
まずはメインプログラマーを確認する。
「あんでぃろ」 となっていた。
間違いない、庵藤だ。
「あんでぃろ」は庵藤と俺が、気の迷いで漫才コンビを組んで文化祭に出た時のコンビ名だ。
全く、こんなところで勝手に使いやがって……。
そして、ディレクターの名前も確認する。
やはり……やはりだ。
俺は少しだけ考えてから、庵藤のノートパソコンを開き、手早く準備を始めた。
 *
昭和84年9月3日1時17分 ――配信再開――
「UMBRELLAです」
地べたに置いたノートパソコンの前に座り込み、俺は配信を立ち上げていた。
深夜に突発的に始めた生配信にもかかわらず、視聴者数がグングン回り始める。
自分が「時の人」になっていることを実感せざるを得ない。
コメント欄には
「生存確認」
「安心しました」
「生きとったんかワレ!」
などの温かい言葉と共に、
「やりすぎ」
「結局ヤラセかよ」
「数字稼ぎ乙」
といった非難の声が入り混じっている。
常連視聴者と思しき名前もいくつも見かけた。
その中にはニラネギ、ドクターキリコ、ヘルアネゴらもいた。
ニラネギからは
「大切なお話があります。できるだけ早く、個別で連絡を下さい」
というコメントが届いたが、しかし、申し訳ないが、みんなにも、ニラネギにも、今は答えている余裕がない。
急ぎ確認すべきことがあって、俺は生配信というリスクを踏んだのだ。
「今回の件、俺に色々と聞きたいことがあるのは分かります。ですが、まずはどうかご協力下さい」
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