殺人犯ですが助けてください、呪われたクソゲーがクリアできません!チャンネル登録お願いします
7-1.休憩
昭和84年9月3日1時02分 ――廃墟侵入から27分経過――
点と点が繋がり、線となりかけている感覚が俺の中にあった。
「一度、情報を整理しよう……」
俺はそう呟いて、先程は斜め読みしただけだったニラネギの記事を改めて精読し始めた。
ニラネギは心霊研究家の葱沢藤一郎であり、コメント欄では、その見識から『S/Witch』の呪いを否定していた。
だが、この記事の書きぶりからして今は何か引っかかるものを感じているようだ。
一つには俺の挙動が怪しかったからだろうが、どうもそれだけではない気がする。
ニラネギが進めているという「裏取り」は何なのだろう?
そして、より重要なのは、ニラネギの記事中にあった「暴露話」だ。
サイドソフトの元プログラマーが残した愚痴だが、ディレクターの女性社員が自殺した件と例のゲーム中の写真に何か関係があることを示唆していた。
手元の履歴書と照合させて確認する。
この暴露ネタの書き込み主は……
「おそらく庵藤だ」
実際、庵藤はプログラマーとしてサイドソフトに応募していた。
そのことが履歴書からも裏付けられた。
さらに確証を得るべく、俺は庵藤のノートパソコンのメーラーを開き、過去のメールを確認していく。
すると……
ビンゴだ。
やはりあった。
「暴露話」の書き込みがなされた同日に、庵藤がメールのやり取りをしている。
宛先は大型掲示板でレス相手が晒していたメールアドレスで、相手の名前は…………、
「これ! 見覚えがあるぞ……!」
俺はさっき投げ捨てた診察券を拾い上げた。
これだ。
毒島太郎が通院していたという精神科病院……
「桐公メンタルクリニック」だ!
つまり、こういうことか。
kirikouこと桐谷公典氏は、医者と患者という立場で毒島氏と接点を持った。
偶然なのか、毒島氏の動向を気に掛けていたのか、kirikouは毒島氏の物と思しき「犯行予告」の書き込みを見つけて危惧を覚えた。
しかし、kirikouの立場では確かめることもできない。
その時に庵藤の書き込んだ愚痴を見て話し掛けたのだろう。
自分の立場を語れなかったのは患者に対する守秘義務の関係か。
ん……?
ちょっと待て。
じゃあ、ニラネギに「暴露話」の情報提供をしたのも、このkirikouってことか?
コメント欄でニラネギがやり取りをしていた相手が……確か……
「ドクターキリコ……」
いや……。
ひとまず今は整理を進めよう。
庵藤は元上司である毒島氏の「犯行予告」を見て、慌てて配信を止めに行った。
場所はここ……ビル二階の株式会社サイドソフト元オフィスだ。
そして、毒島氏を説得して「犯行」を止めることに成功した。
しかし、その直後に毒島氏は自殺してしまう。
毒島氏は既に精神的な危機状態にあり、庵藤の来訪と自殺に関係があるのかは分からない。
だが、庵藤はおそらく自分を責めたのだろう。
キリコからの受診を勧めるメールも未読だったし、毒島氏の自殺を知った後、パソコンにも向き合えない程の精神状態になったのではないか?
そして、家を飛び出し、ホームレスとなった挙げ句に…………俺と再会した。
アイツは俺にも過去の職場の話をしたがらなかった。
きっと、この件に負い目を覚えていたのだろう。
しかし、庵藤は毒島氏の何を止めようとしたのか?
毒島氏による「犯行予告」とは?
「犯行予告」としてキリコが伝えている肝心のリンク先が消失しており、詳細が掴めない。
「いや、待てよ……」
内容はともかく、庵藤は止めることに成功したんだ。
ということは……
俺は改めて、毒島氏の「最後の配信」動画を確認した。
毒島氏は呼び鈴と扉を殴る音に反応して、配信を止めてから玄関へと向かっていた。
つまり、ここまでの配信では「犯行」は起こっていない。
「犯行」が『S/Witch』に関係あるとすれば、この後に発生するイベントの何かがカギだ。
そして、毒島氏はゲーム中でしきりに「写真」を探していた……。
この「写真」は庵藤が「女性ディレクターの自殺」と関係があると示唆していたものだ。
「じゃあ、あの写真が『犯行』?」
……いや、それは意味が分からない。
てか、そもそもどんな写真だったっけ?
ダブルピースの写真以外は印象に残ってないんだよな。
誰かアップしてないかな……。
そう思ってSNSを探すと、すぐに見つかった。
「UMBRELLA配信中に映り込んだ不気味な写真の数々!」
「夜空で笑う謎の女」
「血塗られたハンカチ」
といった煽り文句と一緒に例の写真画像がアップされていた。
くそ、俺はこんなに困ってるのに、人の不幸で思い切り楽しんでやがる……。
俺は改めて写真をまじまじと観察する。
……やっぱり全然分からない。
夜空を背景にダブルピースで微笑む女のドアップや、布団の上のハンカチ。
コップ。
ビニール包装。
斜め線……。
「一体、これが何なんだ?」
そういえば、「ハンカチに血が付いている」とヘルアネゴが言っていたな。
この投稿主もそれに倣って「血塗られたハンカチ」などと書いてるが、てか、これハンカチか?
ティッシュにも見えてきたんだけど。
「……ん?」
待てよ、これ……。
このハンカチの写真の背景、これって……よく見ると……
「これ、夜空じゃないか?」
は?
なんだこれ??
布団の背後に夜空がある?
屋外に布団を敷いた?
……いや、違うな。
夜空じゃない。
これ、室内か!?
夜空の壁紙が貼られた室内なんじゃないか!?
あっ……。
俺はアップされていた写真を頭の中でジグソーパズルのように並べ替えていく。
そして、手元のスマホで地図アプリを立ち上げた。
庵藤の「暴露話」にあったぞ。
社長と女性ディレクターは車で出て行った、と……。
布団があったということは宿泊施設で、それは車を出す程度には遠い場所で……
……あった!
点と点が繋がり、線となりかけている感覚が俺の中にあった。
「一度、情報を整理しよう……」
俺はそう呟いて、先程は斜め読みしただけだったニラネギの記事を改めて精読し始めた。
ニラネギは心霊研究家の葱沢藤一郎であり、コメント欄では、その見識から『S/Witch』の呪いを否定していた。
だが、この記事の書きぶりからして今は何か引っかかるものを感じているようだ。
一つには俺の挙動が怪しかったからだろうが、どうもそれだけではない気がする。
ニラネギが進めているという「裏取り」は何なのだろう?
そして、より重要なのは、ニラネギの記事中にあった「暴露話」だ。
サイドソフトの元プログラマーが残した愚痴だが、ディレクターの女性社員が自殺した件と例のゲーム中の写真に何か関係があることを示唆していた。
手元の履歴書と照合させて確認する。
この暴露ネタの書き込み主は……
「おそらく庵藤だ」
実際、庵藤はプログラマーとしてサイドソフトに応募していた。
そのことが履歴書からも裏付けられた。
さらに確証を得るべく、俺は庵藤のノートパソコンのメーラーを開き、過去のメールを確認していく。
すると……
ビンゴだ。
やはりあった。
「暴露話」の書き込みがなされた同日に、庵藤がメールのやり取りをしている。
宛先は大型掲示板でレス相手が晒していたメールアドレスで、相手の名前は…………、
「これ! 見覚えがあるぞ……!」
俺はさっき投げ捨てた診察券を拾い上げた。
これだ。
毒島太郎が通院していたという精神科病院……
「桐公メンタルクリニック」だ!
つまり、こういうことか。
kirikouこと桐谷公典氏は、医者と患者という立場で毒島氏と接点を持った。
偶然なのか、毒島氏の動向を気に掛けていたのか、kirikouは毒島氏の物と思しき「犯行予告」の書き込みを見つけて危惧を覚えた。
しかし、kirikouの立場では確かめることもできない。
その時に庵藤の書き込んだ愚痴を見て話し掛けたのだろう。
自分の立場を語れなかったのは患者に対する守秘義務の関係か。
ん……?
ちょっと待て。
じゃあ、ニラネギに「暴露話」の情報提供をしたのも、このkirikouってことか?
コメント欄でニラネギがやり取りをしていた相手が……確か……
「ドクターキリコ……」
いや……。
ひとまず今は整理を進めよう。
庵藤は元上司である毒島氏の「犯行予告」を見て、慌てて配信を止めに行った。
場所はここ……ビル二階の株式会社サイドソフト元オフィスだ。
そして、毒島氏を説得して「犯行」を止めることに成功した。
しかし、その直後に毒島氏は自殺してしまう。
毒島氏は既に精神的な危機状態にあり、庵藤の来訪と自殺に関係があるのかは分からない。
だが、庵藤はおそらく自分を責めたのだろう。
キリコからの受診を勧めるメールも未読だったし、毒島氏の自殺を知った後、パソコンにも向き合えない程の精神状態になったのではないか?
そして、家を飛び出し、ホームレスとなった挙げ句に…………俺と再会した。
アイツは俺にも過去の職場の話をしたがらなかった。
きっと、この件に負い目を覚えていたのだろう。
しかし、庵藤は毒島氏の何を止めようとしたのか?
毒島氏による「犯行予告」とは?
「犯行予告」としてキリコが伝えている肝心のリンク先が消失しており、詳細が掴めない。
「いや、待てよ……」
内容はともかく、庵藤は止めることに成功したんだ。
ということは……
俺は改めて、毒島氏の「最後の配信」動画を確認した。
毒島氏は呼び鈴と扉を殴る音に反応して、配信を止めてから玄関へと向かっていた。
つまり、ここまでの配信では「犯行」は起こっていない。
「犯行」が『S/Witch』に関係あるとすれば、この後に発生するイベントの何かがカギだ。
そして、毒島氏はゲーム中でしきりに「写真」を探していた……。
この「写真」は庵藤が「女性ディレクターの自殺」と関係があると示唆していたものだ。
「じゃあ、あの写真が『犯行』?」
……いや、それは意味が分からない。
てか、そもそもどんな写真だったっけ?
ダブルピースの写真以外は印象に残ってないんだよな。
誰かアップしてないかな……。
そう思ってSNSを探すと、すぐに見つかった。
「UMBRELLA配信中に映り込んだ不気味な写真の数々!」
「夜空で笑う謎の女」
「血塗られたハンカチ」
といった煽り文句と一緒に例の写真画像がアップされていた。
くそ、俺はこんなに困ってるのに、人の不幸で思い切り楽しんでやがる……。
俺は改めて写真をまじまじと観察する。
……やっぱり全然分からない。
夜空を背景にダブルピースで微笑む女のドアップや、布団の上のハンカチ。
コップ。
ビニール包装。
斜め線……。
「一体、これが何なんだ?」
そういえば、「ハンカチに血が付いている」とヘルアネゴが言っていたな。
この投稿主もそれに倣って「血塗られたハンカチ」などと書いてるが、てか、これハンカチか?
ティッシュにも見えてきたんだけど。
「……ん?」
待てよ、これ……。
このハンカチの写真の背景、これって……よく見ると……
「これ、夜空じゃないか?」
は?
なんだこれ??
布団の背後に夜空がある?
屋外に布団を敷いた?
……いや、違うな。
夜空じゃない。
これ、室内か!?
夜空の壁紙が貼られた室内なんじゃないか!?
あっ……。
俺はアップされていた写真を頭の中でジグソーパズルのように並べ替えていく。
そして、手元のスマホで地図アプリを立ち上げた。
庵藤の「暴露話」にあったぞ。
社長と女性ディレクターは車で出て行った、と……。
布団があったということは宿泊施設で、それは車を出す程度には遠い場所で……
……あった!

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