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原案:狩野英孝 著者:架神恭介 キャラクター原案:倉持由香 プロデュース:株式会社ビーグリー

6-3.肝試し

「その場所、若色さんは何か知ってるんじゃないですか?」

 古賀さんの言葉が頭の中でリフレインした。
いや……知ってるはずないんだけど。
なんでだ?

 その答えを探して、さらに灯りを彷徨わせていると、ぎょっとするものが視界に飛び込んできた。

「わあぁあぁぁ!」

 腰が抜けそうになり、膝がガクガク震えた。

 御札だ。
外付け階段へと通じる扉に十数枚の御札がデタラメに貼り付けられていた。
そのうちの幾つかは破れている。
さらにドアノブにはガムテープがギチギチに巻き付けられており、隣の壁面に取り付けられたフックに繋がっていた。

扉が開かないよう処置したものと思われたが、フックとドアノブを結びつけていたはずのガムテープは途中でぷっつりと切れてしまっている。
ドアノブにはカギが付いているのに、家主はなぜこんなことをしたのだろう?

「あ……!」

 そこまで考えたところで、俺の頭の中で突然何かの糸が繋がった。
そうだ……

 家主は外付け階段を怖れていたんだ。

 そして、俺がこの部屋に感じた既視感……。
俺は答え合わせをするかのようにスマホで「株式会社サイドソフト」を検索した。

 やはり、だ。
お目当ての情報はすぐに見つかった。
株式会社サイドソフトは『S/Witch』の開発元だったのだ。
この部屋に感じた奇妙な既視感は、俺がゲーム中で見た物で……。
つまり、あのゲーム中で描かれていたオフィスは、この自社オフィスをモデルとしていたのだ。

 ということは…………あの扉の先は……。

「ディレクターが……首吊り自殺した……外付け階段か?」

 それに気付き、ごくり……と息を飲み込んだ瞬間、

「テッテレー♪」

 俺のスマホが鳴った 。
また古賀さんだ! 
もう! 
びっくりさせないでくれ!

「あ、もしもし、若色さん。中に入りましたか? 庵藤さんいましたか?」
「い、いや、いない……たぶん。一階と二階にはいなかった。まだ三階があるが……」
「そうですか……。ところで、なぜここの場所が指定されていたのか、何か思い当たることはありますか?」
「あ、ああ……。ここ、『S/Witch』の開発元の会社だ。たぶんゲーム中のオフィスのモデルでもある」
「……それだけですか?」
「ん?」
「他に何かありませんでしたか?」

 古賀さんの声に困惑の色が混じっている。
確かに庵藤がなぜここを指定したのか、俺にもさっぱり分からない。
関係あるのかどうか分からないが、一応扉のことも伝えておこうか。

「御札があった。扉……。ディレクターが自殺したっていう外付け階段に通じる扉だ。大量の御札が貼られていて……」
「…………そ、それで?」
「うーん…………?」

 なんだこの会話。

 自分でやっといてなんだけど。
「それで?」と言われても困るんだよな。
俺だって何がなんだか分からないよ。
小説や漫画の主人公なら、この辺でピンと来て何かを看破するのかもしれないけどさ。
いや、全然分からない。
俺は探偵じゃないんだから、そういうことを期待されても困るんだが。

 ……といったことを俺は正直に伝えてみた。

「いや、分かんないじゃなくて。何かあるんじゃないですか? こう、何か気付いたとか、何か思い出したとか、何か心に去来するものがあったとか……」
「いや、ない」
「ホントに!?」

 古賀さんが苛立ちの混じった声音を出す。
いやいや、古賀さん、テレビの見すぎでしょ。
そんな都合良く何か閃くとかフィクションの中だけだよ~。

実際は何も分からん。
俺は探偵じゃなくて、ただの俳優。
そんな都合良く脳みそ回ったりしないよ。

 だから俺は断言した。

「全然ない。何も分からんし、何も閃かん」
「マジで……」

 電話の向こうで古賀さんが絶句している。
しばらくの間があってから、古賀さんがしつこく尋ねてきた。

「えっと……あの、何か、思うこととかは?」
「ない」
「……そ、そうですか。し、強いて言うなら?」
「強いて言うなら怖い。人が自殺した現場とか怖すぎる。なんで俺がこんなところに来なきゃいけないのか、怖さを通り越してだんだんムカついてきた」
「わ、分かりました。もういいです……」

 古賀さんが急にプツンと電話を切った。
え、えええ……。
ちょっと冷たくない? 

そりゃ俺だってこんなところまで来たんだから何かを見出したいよ。
でも分かんないんだからしょうがないだろ? 
俺もだんだんイライラしてきたんだけど……。

 いや、だが庵藤がここへ導いたということは必ず何かがあるはずだ。
後は……三階か。
嫌だなあ。

 俺は三階へと通じる階段にスマホの光を向けた。
行きたくないなぁ。

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