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1-1.殺人
昭和84年9月2日21時13分
――『配信すると死ぬゲーム』!? 一体何を言ってるんだ!?
こみ上げてくる嗚咽を必死に堪えながら俺はゲーム配信を続けていた。
頭の中は滅茶苦茶に混乱して思考は散り散り。
ゲームパッドを持つ腕の震えも止まらない。
「えっ、知らなかったんですか!?」
「このいわくつきゲームを? 知らずに選んだ?ww」
「実況中に死んだって噂、聞いてません?」
コメント欄では視聴者から眉唾物の情報が続々と寄せられてきて俺の混乱を助長させる。
俺はもう泣きそうだった。
配信すると死ぬ?
このゲームを?
いやいや!
そんな馬鹿な話があるか!?
「ハハ、オカルトだ。く、下らない……」
力なく呟いた俺の声をマイクも拾わない。
都市伝説?
呪われてる?
制作者が自殺?
配信者も死ぬ?
マジかよ。いや、でも待て。待ってくれ。
仮に、仮にだ。
百歩譲って『配信すると死ぬゲーム』が事実だったとしよう。
でもそれなら、なんで……
――なんでコイツは既に死んでるんだ!?
俺は足下に横たわる「庵藤圭司 だったモノ」を見下ろした。
かつての友人は、舌を突き出し白目を剥いたギャグみたいな顔で死んでいた。
それをじっと見ているうちに俺の口の中には酸味がかった嫌な味が広がって、
全身にどっと汗が吹き出してくる。
いやいや、おかしいだろ。
『配信すると死ぬゲーム』だかなんだか知らないが、コイツは配信が始まる前から死んでいたのだから。
なぜって? いや、だってそれは、
――俺が殺したからなんだけど。 
昭和84年9月2日17時33分   ――配信開始の約3時間前――
話は少し前に遡る。
あの時に掛かってきた一本の電話が全ての始まりだった……。
「古賀さん……古賀さん、古賀さん!」
ラジオ局での収録を終えた後のことだ。
ぼうっと廊下の隅を見つめているマネージャーに俺は何度も呼びかけた。
「ひゃいっ!」と慌てた素振りで、彼女が――古賀あすなが振り返った。
「はわわ、ごめんなさい! す、すいません、気付かなくて……」
「いや、良いんだけどさ。どしたの? ボーッとしちゃって」
「ひぇっ……あはは! やー、お姉ちゃんに似た人が通りがかった気がして」
「え? ここ、関係者以外は入れないでしょ? ひょっとしてお姉さんも業界人?」
「いや、全然! 一般人でした~」
そう言って古賀さんはテヘヘと可愛らしく笑った。
おれも釣られて笑ってしまう。
古賀さんはいつも革ジャンにポンパドールといった反骨精神溢れる装いの女性だが、意外とドジっ子なところもあって憎めない。
事務所の同僚社員や上司からのウケもめっぽう良いそうだ。
まだ20代後半という若さもあって、いろんな意味で好感を持つ人が多い。
「あ、若色 さん、ハイ、これ」
ラジオ局から外に出たタイミングで、古賀さんがコンビニ袋を差し出してきた。
中身は500mlのペットボトルの麦茶とサラダうどん。
今夜は動画配信サイトでのゲームのライブ配信が予定されている。
元は趣味で始めた俺の個人チャンネルだが、今では本業とも密接に関わり合っており手は抜けない。
「舞台役者の本業に加えて、ゲームチャンネルの運営だなんて、本当に大変ですよね。お疲れ様です」
「ま、まあね……。でも、好きでやってることだから」
「知ってます? ネット上では『若色涼太 は寝ていない』とか噂されてるんですよ。実際、いつ寝てるんですか? 動画編集も自分でやってますよね?」
「ハハ……まあ、大変だよ、ハハハ」
俺は笑って誤魔化した。そんな噂が立ってたのか。
いや、すまん、寝てる。
忙しいことは間違いないが、それはそれとして毎日七時間は寝ている。
古賀さんは、そんな俺の過密スケジュールを気にして、度々差し入れをくれるようになったのだ。
夜に配信が予定されている時はこうして必ず夕食を用意しておいてくれる。
配信は長丁場になりがちだから英気を養って下さいね、ということなのだろう。
サラダなど野菜多めのセレクトなのも嬉しい。
「ちゃんと野菜食べて下さいね。麦茶もですよ? ノンカフェインでミネラル豊富ですから」
ロックな外見やドジっ子仕草とは裏腹に、古賀さんは仕事は常に着実で確実、細かな気配りもできる人だ。
仕事中の顔立ちはいつもクールで頼りがいがあり、俺はいつも彼女の存在に感謝している。
でもごめん、古賀さん。この食事は俺が頂いてしまいます。
「テロリン、テロリン♪」
若干の罪悪感を覚えながらも差し入れを受け取った瞬間、胸ポケットのスマホが鳴った。
発信者の名前を見た瞬間、嫌な予感が走ったことを覚えている。
その予感は当たった。電話に出た俺は、途端に、
「おい! バカな事を言うな!」
語気荒く相手に苛立ちをぶつけていたのだ。
その時は「何を言ってるんだコイツは」という気持ちで一杯だった。
早朝から立て続けの取材と収録で俺はクタクタだったのだ。
ようやく今日は店じまいだと思ったのに、ここに来て超弩級のトラブル発生だ。
ほとほと嫌になる……!
「ど、どうかしました……?」
ただならぬ雰囲気を察したのか、古賀さんが心配そうな眼差しを向けてくる。
けど、この件は彼女にも相談できない。
俺は目を逸らし、タクシーを捕まえながら、声を抑えて電話口の相手に伝えた。
「とにかく、今すぐそっちに行くから。早まった真似はするなよ」
なにか言おうとした古賀さんを振り返りもせず、俺はタクシーに飛び乗った。
怒りのあまり喉がカラカラになって古賀さんにもらったばかりの麦茶をグィッと煽ってしまう。
電話口の相手は庵藤圭司 。
コイツが何者かと言えば……
俺のゲーム配信チャンネル「UMBRELLA」  の本当の配信者だ。
――『配信すると死ぬゲーム』!? 一体何を言ってるんだ!?
こみ上げてくる嗚咽を必死に堪えながら俺はゲーム配信を続けていた。
頭の中は滅茶苦茶に混乱して思考は散り散り。
ゲームパッドを持つ腕の震えも止まらない。
「えっ、知らなかったんですか!?」
「このいわくつきゲームを? 知らずに選んだ?ww」
「実況中に死んだって噂、聞いてません?」
コメント欄では視聴者から眉唾物の情報が続々と寄せられてきて俺の混乱を助長させる。
俺はもう泣きそうだった。
配信すると死ぬ?
このゲームを?
いやいや!
そんな馬鹿な話があるか!?
「ハハ、オカルトだ。く、下らない……」
力なく呟いた俺の声をマイクも拾わない。
都市伝説?
呪われてる?
制作者が自殺?
配信者も死ぬ?
マジかよ。いや、でも待て。待ってくれ。
仮に、仮にだ。
百歩譲って『配信すると死ぬゲーム』が事実だったとしよう。
でもそれなら、なんで……
――なんでコイツは既に死んでるんだ!?
俺は足下に横たわる「庵藤圭司 だったモノ」を見下ろした。
かつての友人は、舌を突き出し白目を剥いたギャグみたいな顔で死んでいた。
それをじっと見ているうちに俺の口の中には酸味がかった嫌な味が広がって、
全身にどっと汗が吹き出してくる。
いやいや、おかしいだろ。
『配信すると死ぬゲーム』だかなんだか知らないが、コイツは配信が始まる前から死んでいたのだから。
なぜって? いや、だってそれは、
――俺が殺したからなんだけど。 
昭和84年9月2日17時33分   ――配信開始の約3時間前――
話は少し前に遡る。
あの時に掛かってきた一本の電話が全ての始まりだった……。
「古賀さん……古賀さん、古賀さん!」
ラジオ局での収録を終えた後のことだ。
ぼうっと廊下の隅を見つめているマネージャーに俺は何度も呼びかけた。
「ひゃいっ!」と慌てた素振りで、彼女が――古賀あすなが振り返った。
「はわわ、ごめんなさい! す、すいません、気付かなくて……」
「いや、良いんだけどさ。どしたの? ボーッとしちゃって」
「ひぇっ……あはは! やー、お姉ちゃんに似た人が通りがかった気がして」
「え? ここ、関係者以外は入れないでしょ? ひょっとしてお姉さんも業界人?」
「いや、全然! 一般人でした~」
そう言って古賀さんはテヘヘと可愛らしく笑った。
おれも釣られて笑ってしまう。
古賀さんはいつも革ジャンにポンパドールといった反骨精神溢れる装いの女性だが、意外とドジっ子なところもあって憎めない。
事務所の同僚社員や上司からのウケもめっぽう良いそうだ。
まだ20代後半という若さもあって、いろんな意味で好感を持つ人が多い。
「あ、若色 さん、ハイ、これ」
ラジオ局から外に出たタイミングで、古賀さんがコンビニ袋を差し出してきた。
中身は500mlのペットボトルの麦茶とサラダうどん。
今夜は動画配信サイトでのゲームのライブ配信が予定されている。
元は趣味で始めた俺の個人チャンネルだが、今では本業とも密接に関わり合っており手は抜けない。
「舞台役者の本業に加えて、ゲームチャンネルの運営だなんて、本当に大変ですよね。お疲れ様です」
「ま、まあね……。でも、好きでやってることだから」
「知ってます? ネット上では『若色涼太 は寝ていない』とか噂されてるんですよ。実際、いつ寝てるんですか? 動画編集も自分でやってますよね?」
「ハハ……まあ、大変だよ、ハハハ」
俺は笑って誤魔化した。そんな噂が立ってたのか。
いや、すまん、寝てる。
忙しいことは間違いないが、それはそれとして毎日七時間は寝ている。
古賀さんは、そんな俺の過密スケジュールを気にして、度々差し入れをくれるようになったのだ。
夜に配信が予定されている時はこうして必ず夕食を用意しておいてくれる。
配信は長丁場になりがちだから英気を養って下さいね、ということなのだろう。
サラダなど野菜多めのセレクトなのも嬉しい。
「ちゃんと野菜食べて下さいね。麦茶もですよ? ノンカフェインでミネラル豊富ですから」
ロックな外見やドジっ子仕草とは裏腹に、古賀さんは仕事は常に着実で確実、細かな気配りもできる人だ。
仕事中の顔立ちはいつもクールで頼りがいがあり、俺はいつも彼女の存在に感謝している。
でもごめん、古賀さん。この食事は俺が頂いてしまいます。
「テロリン、テロリン♪」
若干の罪悪感を覚えながらも差し入れを受け取った瞬間、胸ポケットのスマホが鳴った。
発信者の名前を見た瞬間、嫌な予感が走ったことを覚えている。
その予感は当たった。電話に出た俺は、途端に、
「おい! バカな事を言うな!」
語気荒く相手に苛立ちをぶつけていたのだ。
その時は「何を言ってるんだコイツは」という気持ちで一杯だった。
早朝から立て続けの取材と収録で俺はクタクタだったのだ。
ようやく今日は店じまいだと思ったのに、ここに来て超弩級のトラブル発生だ。
ほとほと嫌になる……!
「ど、どうかしました……?」
ただならぬ雰囲気を察したのか、古賀さんが心配そうな眼差しを向けてくる。
けど、この件は彼女にも相談できない。
俺は目を逸らし、タクシーを捕まえながら、声を抑えて電話口の相手に伝えた。
「とにかく、今すぐそっちに行くから。早まった真似はするなよ」
なにか言おうとした古賀さんを振り返りもせず、俺はタクシーに飛び乗った。
怒りのあまり喉がカラカラになって古賀さんにもらったばかりの麦茶をグィッと煽ってしまう。
電話口の相手は庵藤圭司 。
コイツが何者かと言えば……
俺のゲーム配信チャンネル「UMBRELLA」  の本当の配信者だ。
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