私服の時間

清水レモン

やあ秋、ごきげんよう。元気してたかい?

夏服そりゃあ好きだけど

なんかちがう

気温上昇でアスファルトゆがむ

まだまだ余韻も強めだし

夏季限定メニューの看板まだ

風に吹かれてる


ひとあし早く

さっさと厚め長袖に着替えて

私は歩きたい

葉っぱ散る遊歩道

ぐらり晩夏



いままでのやりかたが通用しなくなる

おのれの限界とっくに過ぎている

しっかり首ごと覆い隠して

私は歩き出す

なんだよこれ

なんなんだよ と

状況把握もままならないのに

揺れて不安で心配でしかたないけど

もう歩きはじめたわけだし

私が放つ汗を含めて

ありとあらゆる液が濡らす

私が浴びる泥を掠めて

ありったけの恨みを載せた




駅前の噴水が日暮れて茜色に染まるのを

風をあおいで眺めていたら

もうなにもかもどうでもいいや

どうでもいいから

どうでもよくなって

怨みつらみを夢に包んで宙に飛ばした



だれかたたきおとしてくれないかな


いっそ紙風船パァーンて



ミストに濡れた夏の肌は痛くて

もういいよ

もういいんだよと

繰り返すうわごとが自覚させる




まだ夏を生きていたかった


とめどなく渇ききったノドからの声

まだ夏を生きていたかった

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