私服の時間

清水レモン

まっくらやみ

ちょっと油断
すっかり夏の気分で
そりゃあ梅雨もあるにしろ
こんな時刻
夕暮れ前に
いちめん
まっくら

ちょっと脱線
軽く見てると致命傷
そりゃあムキになるはずだ
損な地獄
オークウッド床
頬の熱よ冷めたまえ

酔いたかった空気
いつまでもあかるい空
のままで
いてほしかった
パシフィックブルーよアリベデルチ
問いたかった罪は
時効すらなく知らんぷりされ
なにごともなかったように
ラッシュアワー


そもそもなんの話でしたっけ
追いたかった影を
脳裏に見つけてしまいました
いまさらだけど
いまさらだよね
いちばん後ろからトボトボ歩くしかない
けど行くよ
もう決めた
もともとなんの取り柄もなかった
その日その日さえ戦う毎日
いまさらだよな
いまさらだがな
勝ち取って来たんだよ?

失われた歳月を他人は簡単に嘆くけど
その影で
ちょっとづつ絶望の意図を解きながら
息も絶え絶えに紡いでいるんだ
おかげさま

いまさらだとて
いまさらだもの
精一杯この手を伸ばしてやるさ
もうまっくら
誰も気にもとめない駅前で噴水が
つかのまの涼となる

いそがしいはずの人たちが
目立ち騒ぐホラ吹きに群がっているね
いつものことさ
いつものことで
おかげさま

おれは ここ こっちこっち ここ

こっそりまた手を伸ばして空を見あげるんだ
まっくらやみ
だから
どんなに小さくても
光を見逃さない

ほらね
いそがしいはずの人たちが
目立ち騒ぐホラ吹きに群がっているね
眩しく華やぐアーケード
いつものことか
それならそうと
おれが最初
あの光

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品