私服の時間

清水レモン

おさがり

おさがり届いて
箱をあければ
なにこれ
え それ
好奇心がうずきだす

自由に使っていいといわれ
なにをどう自由かわからないけれど
だんだんわかってきたことがある
着こなしは
ひとそれぞれ


同じ服でも
同じ靴でも
同じ鞄でも
ひとがかわると
まるでちがう

めずらしく従姉からの手紙もあって

「革が化けると靴になり
 革を包むと鞄だよ」

あたまのなかで上手にイメージできなかったけれど
おれはガールフレンドを想像して

じゃあまずはこの服を着てみてよ
と裸になってもらう
あ 待って 先に こっち
と靴を履いてもらう

そのときピンポンなった

まさかね

おれは気にしない方向
ところが数秒後いきなりノックなしで
ガールフレンドが現れた



まだ頭のなかには靴だけ履いているきみがいる

「従姉から荷物届いたんだってね
 わたしにも服があるって聞いて」


そういう話だった…ね
おれはとまどう
とまどう理由がないくせに
頭のなかをクリーンにするため
おれは言う

ちゃんとノックしてくれよ
はいるときノックしろって
いつもきみが言ってるくせに


ごめんなさい

なぜか素直に言われたとたん
罪悪感に襲われた


でも
きみは悪気ないよと笑っているから
おれの罪悪感も消えるだろう


そのうちに
あたらしい服を選んでいく
あたらしい靴を確かめる

ねえ ひょっとして これ着れる
ねえ ひょっとして これ履けちゃう

あたらしいもの全部おさがり
お店の試着室では味わえない空気
もしかしたらこれが自由なのかと
罪悪感がすっかり消えた頃に考えた



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