私服の時間

清水レモン

パフスリーブ

風通しのいい夏の部屋は潮の香りにみちて
うっとりしているうち なにもかも
さびつかせちゃうのさ

見晴らしのいいベランダで干した水着をたたむとき
なんの計画もないときこそ
ふだん思い描いていることが形になるのかもって
気づいちゃったりするんだよ

せっかくだもの
ピンとはりめぐらされた感度で
あいつの野望を見抜いてやる
どうせまたろくでもないことでしょ
どうせまた

あわいブルーに見えるパフスリーブが
おれの視線を釘付けにさせて
見抜くつもりが先に見透かされて
水平線まで並べたナットぜんぶ
さびつかせちゃうのさ

潮の香りが濃いね
いつものようにハンガー使えば
記憶の底が抜けちゃいそうさ

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