私服の時間

清水レモン

梅雨明けしてた

梅雨明けまだかと思っていたら
とっくに明けたと言われてしまう
じゃあもう隠し撮りなんて必要ないか
あなたを追いかけるのも おしまい

気が変わっただけのこと
じめっと頬がべたついて
汗を吸って乾かなくなった
いっそ脱いで風にあてたい

そびえる高層
雑居のモザイク
禁じ手ばかりを繰り出したがるひと

その手には のらないよ
梅雨明けしてたと怒っていたら
夢がかなったのに嬉しくないの?
待ち望んでいたことなのに?
わたしが追いかけたのは影だよ

ふんで ふんで ふみつけたって
痛くもかゆくもない
じゃあそのデータを渡しなさいよと
命じられても無視したろ

出会ったときから隠し撮り
どこかに積もり積もっていても
梅雨明けしたしね
もう関係ない

飽き飽きしたんだ
さあ時間ですよ

どんどんどんどん
にぶい音ノック
もっと軽やかだったはずなのに
どんどんどんどん
ドア越しでもわかります
美しいかどうか
きっと運がめぐってくるよ
それは麗しい響きとともに
ねえ?

そうだっけ
どうだっけ
いまひとつピンとこなくなって
梅雨明けしてた

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