ほっとけないよ?
プロローグⅡ
ときどき画面がフリーズ。
うまくいかないなあ。スペック的には、じゅうぶんなはずなのに。
予算の限界ぎりぎり、さらに蓄積ポイントすべて使い切ったうえで購入した最新のマシン。ディスクの容量もメモリだって最先端級だよ?
半年前から告知されていたオンラインゲーム「パルテノン」を遊ぶため、それだけのために購入した。告知ディスクをインストールして、ネット環境だってもちろんのこと。
それなのに。ああ、それなのに。
「ごめ。カクカク。落ちるわ」
おれはチャットに入力してエスケイプした。
エピソードの終盤で執事が登場するところから、まったくもって機能不全になってしまう。
いや、これでもマシなほうらしい。
おれより先に無言で落ちていく仲間も少なくない。
おれなんかよりベテランでビジネス用の高スペックマシンで遊んでいるひとでさえ、だ。
チャットに関しては不都合を感じない。画面がフリーズしても文字入力は遂行できる。相手に届くかどうか疑問の余地は残るが、やれるだけのことはやれている。
と思う。
ログアウトすると室内は静寂そのもの。
「もう、おしまい?」
ふと声をかけられて振り向くと妻がコーヒーを持ってきてくれていた。
「あーなんかカクカクしちゃって」
「じゃあまだクリアできてないのね」
「そゆこと」
「うふふ」
妻は笑う。
「ちゃんと応援、頼んだの?」
妻は、もうすでに執事エピソードをクリアして、ひとつうえの階級に進んでいた。まったく同じ時期にゲームを始めているのに、レベル差が圧倒的に開いてしまった。
「そりゃ頼んださ」
おれは言う。
おれの知り合い、ありとあらゆるツテを辿って、考えられるメンツで。
「残念だねー」
「なんか嬉しそうに言うね?」
「うふふ」
妻はノートパソコンを使ってオンラインゲームを遊んでいる。
画面をタブレットとして使える、絵描き仕様のタイプだ。
ノート型としては最新鋭で最高スペック。それは、わかる。
だが妻の画面でフリーズしてるとこ、見たことない。
「たぶんだけどね?」
妻が言う、
「パーティメンバーのレベルが段違い。強すぎるの、うちんとこ。
ヒデんとこ、みんなまだ階級が下のままじゃないの。
戦闘中やたら回復しまくらないと進めないでしょう?
うちんとこなんて、なーんにもしないで立ったままでも削られないよ~
そこからして違うんだから」
「ぐうのねも出ないな」
おれはコーヒーを飲んでから言った、
「ま、出会いは運だ。おれはおれのメンバーたちと楽しむよ?
にしてもこのコーヒーおいしいね。
ブラックなのに甘い気がする」
「わかる!?」
「うん」
「違うよねー」
妻はコーヒー豆の説明を始めた。
その話を聞きながら画面を見ると、メール受信のお知らせが点滅している。
ゲームの中からか?
と思ってクリックすると、見慣れない言葉が登場する。
「それ。なあに?」
遠巻きに画面を見ていた妻が聞く。
おれは答える「たぶんこれギリシャ語」
「ひょっとしてギリシャの友だちから?」
「いいや。友だちだったら翻訳機能で日本語に変換されたのが届くよ」
「ふうん」
「ま、いちおう翻訳かけてみるか」
「ウイルスだけは気をつけてねー」
「もちろんさ」
おれがギリシャ語ふうのメールを開けないまま解析を進めると、自動チャットが開いた。
招待状が届いています。と。
ん? と思ったと同時に解析が終わり、未開封のままメールが翻訳された。
そこに書いてあったのは、
『あなたが遠い星で運命のひとと出会いました。親しくなりますか』
というものだった。
うまくいかないなあ。スペック的には、じゅうぶんなはずなのに。
予算の限界ぎりぎり、さらに蓄積ポイントすべて使い切ったうえで購入した最新のマシン。ディスクの容量もメモリだって最先端級だよ?
半年前から告知されていたオンラインゲーム「パルテノン」を遊ぶため、それだけのために購入した。告知ディスクをインストールして、ネット環境だってもちろんのこと。
それなのに。ああ、それなのに。
「ごめ。カクカク。落ちるわ」
おれはチャットに入力してエスケイプした。
エピソードの終盤で執事が登場するところから、まったくもって機能不全になってしまう。
いや、これでもマシなほうらしい。
おれより先に無言で落ちていく仲間も少なくない。
おれなんかよりベテランでビジネス用の高スペックマシンで遊んでいるひとでさえ、だ。
チャットに関しては不都合を感じない。画面がフリーズしても文字入力は遂行できる。相手に届くかどうか疑問の余地は残るが、やれるだけのことはやれている。
と思う。
ログアウトすると室内は静寂そのもの。
「もう、おしまい?」
ふと声をかけられて振り向くと妻がコーヒーを持ってきてくれていた。
「あーなんかカクカクしちゃって」
「じゃあまだクリアできてないのね」
「そゆこと」
「うふふ」
妻は笑う。
「ちゃんと応援、頼んだの?」
妻は、もうすでに執事エピソードをクリアして、ひとつうえの階級に進んでいた。まったく同じ時期にゲームを始めているのに、レベル差が圧倒的に開いてしまった。
「そりゃ頼んださ」
おれは言う。
おれの知り合い、ありとあらゆるツテを辿って、考えられるメンツで。
「残念だねー」
「なんか嬉しそうに言うね?」
「うふふ」
妻はノートパソコンを使ってオンラインゲームを遊んでいる。
画面をタブレットとして使える、絵描き仕様のタイプだ。
ノート型としては最新鋭で最高スペック。それは、わかる。
だが妻の画面でフリーズしてるとこ、見たことない。
「たぶんだけどね?」
妻が言う、
「パーティメンバーのレベルが段違い。強すぎるの、うちんとこ。
ヒデんとこ、みんなまだ階級が下のままじゃないの。
戦闘中やたら回復しまくらないと進めないでしょう?
うちんとこなんて、なーんにもしないで立ったままでも削られないよ~
そこからして違うんだから」
「ぐうのねも出ないな」
おれはコーヒーを飲んでから言った、
「ま、出会いは運だ。おれはおれのメンバーたちと楽しむよ?
にしてもこのコーヒーおいしいね。
ブラックなのに甘い気がする」
「わかる!?」
「うん」
「違うよねー」
妻はコーヒー豆の説明を始めた。
その話を聞きながら画面を見ると、メール受信のお知らせが点滅している。
ゲームの中からか?
と思ってクリックすると、見慣れない言葉が登場する。
「それ。なあに?」
遠巻きに画面を見ていた妻が聞く。
おれは答える「たぶんこれギリシャ語」
「ひょっとしてギリシャの友だちから?」
「いいや。友だちだったら翻訳機能で日本語に変換されたのが届くよ」
「ふうん」
「ま、いちおう翻訳かけてみるか」
「ウイルスだけは気をつけてねー」
「もちろんさ」
おれがギリシャ語ふうのメールを開けないまま解析を進めると、自動チャットが開いた。
招待状が届いています。と。
ん? と思ったと同時に解析が終わり、未開封のままメールが翻訳された。
そこに書いてあったのは、
『あなたが遠い星で運命のひとと出会いました。親しくなりますか』
というものだった。
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