ほっとけないよ?

清水レモン

 ひとの声にも色がある。
 同じ人でも、そのときそのときで変化する。
 ざざーっと波が砂に吸い込まれていくように、声が空間に吸い込まれて消えていくような感覚。いま目の前の彼女が発する声は、スピーカーからではなく宇宙から直接ここまで聞こえていた。
 おれも彼女もスピーカーのような存在感。
 脳内に直接届く場合もあるらしいけれど、おれは耳で聞こえる。そんな気がした。

 「思い出したのね」
 と言う彼女は、現在の肉体を保持したまま透明さを発揮しているようだ。
 向こう側が見えるわけではない。

 「アバターって感じかな?」
 おれが言うと、
 「アバターって?」
 そう聞き返された。
 「そう聞かれても。おれだって、よくわかってないし」
 「世を忍ぶ仮の姿、って言ったら?」
 「わからなくもないけど、ぜんぜん忍んでないよな」
 「逃げも隠れもいたしません」
 「ちなみに、エリカの中の人は、どこにいるの?」
 「どこ? っていうと?」
 「どの惑星にいるんですか」

 おれは宇宙人であることを前提に話を進めていく。

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