ほっとけないよ?

清水レモン

過去ぜんぶ水に流しました

 ときどきある。

 『前に会ったことが』

 とか

 『前に来たことがある』

 とか

 『どこかで聞いたことあるような』

 もしかすると実際ほんとうに会ったことがあるかもしれないし、来たことある場所かもしれない。そんなとき、おれは決めている。

 いちいち気にしない。

 (そりゃまあね、ぜんぜん気にならないと言えばウソになる)

 でも、いやだからこそ、気にしない。そう努めている。

 過ぎたことは水に流してキレイさっぱり忘れよう。
 そう思わなければ前に進めないことがあった。絶望と言ってもいいのかもしれないが、絶望という言葉が個人的に気にくわない。
 
 『おれが悪者になれば解決するのか?』
 …うん、そうみたい。俺オマエが悪いってことにすれば問題なく解決だ。

 『おれは生きていないほうがいいのか?』
 …うん、まさか今頃気づいたの? 俺キミがいなくなったら喜ぶひと多いんだよ。

 鬱々うつうつとして屈折くっせつして自棄いじけながら苦しんだことがある。時間にして48時間くらい。なにひとつ問題は解決しなかったが、問題そのものが消滅したことがある。
 つまり、クラス替え。
 いやなこと言ってくるのは特定の面子メンツだったようだ。当時おれはクラス全員から嫌われてるのかと思ったけど、そういうわけじゃなかったってことに気づくことができた。クラス替えで、がらりと顔ぶれが変わると、まるで新世界。
 むしろ、私おれがいるからこそ楽しい嬉しい面白い。
 『だったら未来だけ気にして生きていこう!』
 いやな記憶こびりつく過去をキレイそっぱり水に流し、おれは生まれ変わった。
 死んだ気になれば、なんでもできる。とは限らないけど、少なくともおれは自決より決闘を選び、自滅より攻撃を試みた。

 むかしのことだけどな!
 小学校四年生だっけ。三年生から四年生になるときのこと。

 そんなこと、ちょっとだけ脳裏よぎった。

 

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