可能性のバイミー
あなたはそこにいますか?
 「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃ」
ガン!
 「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃ」
ガン!ガン!
足元の光が消えると、バイミーは静かに言った
「過去への干渉は終わりました、あなたの未来は書き換わり、最善の未来を引き寄せました」
「私はどうなってしまったのでしょうか?」
「画家を目指さなかったあなたは、26歳までフリーターをしていました、野球を諦め、なにも目指していないあなたは、日々の生活に満足できず、なにか大きな事を成したいと考えていました、そんなある日、高校生の頃に仲の良かった友人から、一緒に起業しないかと誘いを受けます、あなたは熱量をぶつけられる場所を探していました、そんなあなたが誘いに乗らないはずがありません、そして、友人5人で起業した会社はそれなりの規模になりました」
バイミーの話を聞いて私は言いました
「え?大成功じゃないですか、他はどんな感じなんですか?」
「34歳までは充実した暮らしをしていたようです、しかし、あなたは34歳で会社を辞めています、理由は起業した仲間と揉めた事、35歳からは工場勤務をしていて、そこで知り合った女性と結婚をしました、今は子供も3人居て、なにを目指すでもなく普通に生活しています」
バイミーの話を聞いて私は感想を述べる
「凄い人生かと思ったら、急に面白味に欠けますね」
「大きい事を成した後は、満足してゆっくり過ごしたくなると言う事でしょうか?」
「でも子供が3人も居るのは素晴らしいですね」
私の台詞を聞いて、バイミーは言った
「どうしますか?あなたの残りの寿命は21年、12年の寿命を使ったあなたは、家族と職を手に入れた、残念ながら昔の友人関係はなくなっていますが、工場で仲良くなった新しい友人も居るようです、子供もまだ成人していないようですし、この辺りで終わりにしますか?」
バイミーの提案を聞き、しばらく考えてから私は言った
「そうですね、これ以上動かすと、私はまた空回りをして、孤独になってしまいそうなので、ここで終わりにします、早死にすると家族も悲しいでしょうから」
「分かりました、あなたの今後の活躍に期待します、ではお元気で」
別れの台詞を言ったバイミーが鎌を振ると、私は目眩に襲われ、気づいた時には見知らぬ家の、見知らぬ布団の中に居た
周りを見ると、そこには見知らぬ子供と、見知らぬ女性が、気持ち良さそうに寝ていた
私は混乱していたが、バイミーと一緒に引き寄せた未来なのだと、すぐに頭が理解する
理解をすると私は再び睡魔に襲われ、二度目の眠りについた
朝の喧騒を感じ、布団から起きると、寝室には自分一人だけが取り残されていた
見た事もない洗面所に行き、誰のか分からない歯ブラシで歯を磨いていると、子供が大声を上げて、私に近寄って来た
「あー!ママの歯ブラシだよそれ!」
「あ、ああ、ごめんごめん」
どうやら歯ブラシを間違えてしまったらしい
バシッ!
謝った私に、娘は思いっきり蹴りを入れてきた
どうやら私は娘に嫌われているようだ
見知らぬ廊下を歩いていると、長男と次男らしき子供が私に攻撃をしてくる
バシッ!
私は訳も分からないまま、彼らの相手をする
バシッ!
私は息子にも嫌われているのだろうか?
見知らぬ台所に行くと、見知らぬ女性が私に挨拶をしてくる
「おはよう、今日は出るのが遅いのね?」
女性に言われ、時計を確認しながら私は言った
「おはよう、今日はその、そう言う日なんだよ」
「そう言う日ってなによ、私なぎさ連れてくから、食べ終わったら洗ってね」
会話の内容が分からないが、流れに任せて頷く
騒ぐ子供達と、それをまとめる母
物凄く平和に見える光景が、そこには広がっていた
長男と次男らしき子供と、なぎさと呼ばれた娘と、妻らしき人物は私を置いて、家から出て行く
先程まで賑やかだった室内が、急に静かになり、私は安堵の溜息をつく
私は今日からあの人達と暮らすらしい
用意されたご飯を食べながら、感慨に浸っていると、寝室で電話の音が鳴り始める
携帯電話の画面を確認すると、表示名には「工場長」と書かれていた
おそらく職場からの電話だろう
私は怒られるのを覚悟してから、電話に出た
エピローグ
「わあああ」
バイミーは出された料理を見て感嘆の声を漏らす
真っ白な皿に盛られた、美しい球体
神々しいツヤを放つその物体には、手で掴んで食べる為の棒が刺さっていた
バイミーは興奮冷めやらぬ様子で、料理を提供してくれた者に目を向ける
「イルカ!これは本当に無料で食べても良いのですか?」
バイミーにイルカと呼ばれた男は、笑顔で微笑むと、彼女に自慢気に語る
「はい、いつものようにガツっと行っちゃってください「サバの球体」…は私が拘りに拘り抜いた、最高級の一品ですから」
中性的な顔立ちをした彼は、料理師を目指して特訓中の、見習い者で、新しい食べ物を作っては、バイミーを実験台にして遊んでいる、お茶目な奴であった
「それでは、お味、失礼します」
バイミーは手を合わせ、軽くお辞儀をしながらそう言うと、棒をゆっくりと掴み、口を開け、思いっきり球体に齧り付く
ガシッ
ふわり
「ん?」
ガシッ
ふわり
「ん?なんですかコレは?」
バイミーが苦い表情で尋ねると、イルカは楽しそうに説明をした
「これは砂糖菓子です、ふわふわしてて美味しいでしょ?」
「砂糖菓子…サバはどこに…」
「サバは見た目ですよ!見た目!美しい球体とサバのような質感を再現するの、大変だったんですから〜」
バイミーは更に一口食べると、イルカを睨みつけながら発言する
「甘い…しかも中身スカスカ…」
「食べた瞬間口の中で溶けるってのを作りたくてですね、中身が詰まっているとそれが難しいんですよ〜」
「しかも棒が何故か重たい…」
「それはそうですよ、食べる前にバレちゃうと面白くないですからね〜」
イルカの台詞を聞いたバイミーは、小声で毒を吐いた
「詐欺商品…」
彼女の小声をしっかりと聞いていたイルカは、笑いながら言った
「あはははそりゃああんたの商品でしょうが!あははは」
イルカの態度に腹を立てたバイミーは、彼に向かって鎌を投げつけるのだった
ガン!
 「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃ」
ガン!ガン!
足元の光が消えると、バイミーは静かに言った
「過去への干渉は終わりました、あなたの未来は書き換わり、最善の未来を引き寄せました」
「私はどうなってしまったのでしょうか?」
「画家を目指さなかったあなたは、26歳までフリーターをしていました、野球を諦め、なにも目指していないあなたは、日々の生活に満足できず、なにか大きな事を成したいと考えていました、そんなある日、高校生の頃に仲の良かった友人から、一緒に起業しないかと誘いを受けます、あなたは熱量をぶつけられる場所を探していました、そんなあなたが誘いに乗らないはずがありません、そして、友人5人で起業した会社はそれなりの規模になりました」
バイミーの話を聞いて私は言いました
「え?大成功じゃないですか、他はどんな感じなんですか?」
「34歳までは充実した暮らしをしていたようです、しかし、あなたは34歳で会社を辞めています、理由は起業した仲間と揉めた事、35歳からは工場勤務をしていて、そこで知り合った女性と結婚をしました、今は子供も3人居て、なにを目指すでもなく普通に生活しています」
バイミーの話を聞いて私は感想を述べる
「凄い人生かと思ったら、急に面白味に欠けますね」
「大きい事を成した後は、満足してゆっくり過ごしたくなると言う事でしょうか?」
「でも子供が3人も居るのは素晴らしいですね」
私の台詞を聞いて、バイミーは言った
「どうしますか?あなたの残りの寿命は21年、12年の寿命を使ったあなたは、家族と職を手に入れた、残念ながら昔の友人関係はなくなっていますが、工場で仲良くなった新しい友人も居るようです、子供もまだ成人していないようですし、この辺りで終わりにしますか?」
バイミーの提案を聞き、しばらく考えてから私は言った
「そうですね、これ以上動かすと、私はまた空回りをして、孤独になってしまいそうなので、ここで終わりにします、早死にすると家族も悲しいでしょうから」
「分かりました、あなたの今後の活躍に期待します、ではお元気で」
別れの台詞を言ったバイミーが鎌を振ると、私は目眩に襲われ、気づいた時には見知らぬ家の、見知らぬ布団の中に居た
周りを見ると、そこには見知らぬ子供と、見知らぬ女性が、気持ち良さそうに寝ていた
私は混乱していたが、バイミーと一緒に引き寄せた未来なのだと、すぐに頭が理解する
理解をすると私は再び睡魔に襲われ、二度目の眠りについた
朝の喧騒を感じ、布団から起きると、寝室には自分一人だけが取り残されていた
見た事もない洗面所に行き、誰のか分からない歯ブラシで歯を磨いていると、子供が大声を上げて、私に近寄って来た
「あー!ママの歯ブラシだよそれ!」
「あ、ああ、ごめんごめん」
どうやら歯ブラシを間違えてしまったらしい
バシッ!
謝った私に、娘は思いっきり蹴りを入れてきた
どうやら私は娘に嫌われているようだ
見知らぬ廊下を歩いていると、長男と次男らしき子供が私に攻撃をしてくる
バシッ!
私は訳も分からないまま、彼らの相手をする
バシッ!
私は息子にも嫌われているのだろうか?
見知らぬ台所に行くと、見知らぬ女性が私に挨拶をしてくる
「おはよう、今日は出るのが遅いのね?」
女性に言われ、時計を確認しながら私は言った
「おはよう、今日はその、そう言う日なんだよ」
「そう言う日ってなによ、私なぎさ連れてくから、食べ終わったら洗ってね」
会話の内容が分からないが、流れに任せて頷く
騒ぐ子供達と、それをまとめる母
物凄く平和に見える光景が、そこには広がっていた
長男と次男らしき子供と、なぎさと呼ばれた娘と、妻らしき人物は私を置いて、家から出て行く
先程まで賑やかだった室内が、急に静かになり、私は安堵の溜息をつく
私は今日からあの人達と暮らすらしい
用意されたご飯を食べながら、感慨に浸っていると、寝室で電話の音が鳴り始める
携帯電話の画面を確認すると、表示名には「工場長」と書かれていた
おそらく職場からの電話だろう
私は怒られるのを覚悟してから、電話に出た
エピローグ
「わあああ」
バイミーは出された料理を見て感嘆の声を漏らす
真っ白な皿に盛られた、美しい球体
神々しいツヤを放つその物体には、手で掴んで食べる為の棒が刺さっていた
バイミーは興奮冷めやらぬ様子で、料理を提供してくれた者に目を向ける
「イルカ!これは本当に無料で食べても良いのですか?」
バイミーにイルカと呼ばれた男は、笑顔で微笑むと、彼女に自慢気に語る
「はい、いつものようにガツっと行っちゃってください「サバの球体」…は私が拘りに拘り抜いた、最高級の一品ですから」
中性的な顔立ちをした彼は、料理師を目指して特訓中の、見習い者で、新しい食べ物を作っては、バイミーを実験台にして遊んでいる、お茶目な奴であった
「それでは、お味、失礼します」
バイミーは手を合わせ、軽くお辞儀をしながらそう言うと、棒をゆっくりと掴み、口を開け、思いっきり球体に齧り付く
ガシッ
ふわり
「ん?」
ガシッ
ふわり
「ん?なんですかコレは?」
バイミーが苦い表情で尋ねると、イルカは楽しそうに説明をした
「これは砂糖菓子です、ふわふわしてて美味しいでしょ?」
「砂糖菓子…サバはどこに…」
「サバは見た目ですよ!見た目!美しい球体とサバのような質感を再現するの、大変だったんですから〜」
バイミーは更に一口食べると、イルカを睨みつけながら発言する
「甘い…しかも中身スカスカ…」
「食べた瞬間口の中で溶けるってのを作りたくてですね、中身が詰まっているとそれが難しいんですよ〜」
「しかも棒が何故か重たい…」
「それはそうですよ、食べる前にバレちゃうと面白くないですからね〜」
イルカの台詞を聞いたバイミーは、小声で毒を吐いた
「詐欺商品…」
彼女の小声をしっかりと聞いていたイルカは、笑いながら言った
「あはははそりゃああんたの商品でしょうが!あははは」
イルカの態度に腹を立てたバイミーは、彼に向かって鎌を投げつけるのだった

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