可能性のバイミー

360回転

言っていませんでした?

「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃ」
呪文を聞きながら私は高揚感に包まれていた
次はどんな美しい未来に繋がっているのだろう
寿命を2年も使ったのだから、それなりの収穫は期待してしまう
「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃ」
バイミーの唱える呪文も、なんだか癖になってきたなと、そんな事を考えていると、地面の光が消え、バイミーが話しかけてきた
「過去への干渉は終わりました、あなたの未来は書き換わり、最善の未来を引き寄せました」
「今回の私はどうなりました?ゲームの大会では良いいい成績を残せましたか?」
私の質問にバイミーは首を横に振った
「いいえ、あなたは1回戦で大学生に負けました」
バイミーの報告に私は肩を落とす
やはりゲームの世界は甘くないらしい
分かりきっていた事ではあるが
残りの寿命は27年、これ以上望むと泥沼だろう
私はそう判断して、バイミーに言った
「バイミー、この辺りで終わりにしようと思う」
私の台詞を聞いたバイミーは、首を傾げながらかしげながら言ってくる
「よろしいのですか?あなたが選んだ可能性では彼女とは結婚しない事になっていますけど」
私はバイミーの言葉に驚きながら尋ねる
「え!?なんでなんですか!」
「あなたが43歳の時リリースされたFPS「ライフイズビューティ4」はあなたの心をしっかりと掴みました、あなたはこのゲームの面白さおもしろさに魅了され、私生活で度々「ライフイズビューティフォー」と叫びながら、ハードな服装を着てダンスをしだします」
「その行動に彼女は引いてしまった?」
私の質問にバイミーは答える
「いいえ、そんな事で彼女はあなたを見捨てたりはしません、原因はあなたがゲームに熱中しすぎてしまったことにあります、あなたは職場から帰るとすぐに自室へと篭りFPSをします、眠くなるまでずっとです、食事は自室へと運んでもらい、食べながらゲームをしたりもしてました、朝も同じようにゲームをして、軽い挨拶だけをしてすぐに職場へと向かう、そんな日々でした」
「今度はゲームが忙しくて、上手くいかなくなるなんて…」
「あなたは集中すると周りが見えなくなる性格ですから、仕方のない事ではあります、それでどうされますか?5年寿命を使ったあなたは転職を成功させ、職と友を手に入れた、残念ながら彼女とは結婚出来ず、子宝にも恵まれないまま、52歳の現在は独身生活をしていますが」
私は先程までの幸せな自分と、今の幸せではない自分を比べて、酷い喪失感に襲われる
私は縋るように、バイミーにお願いをした
「バイミー、私がFPSにハマる前の状態に戻して欲しい」
私の願いを聞いて、バイミーは首を横に振る
「すみません、言っていませんでした?同じポイントに干渉する事はできません」
「それはどう言う?」
「そのまんまの意味です、あなたが指定した5つのポイント、誕生日を祝う日、管理職を断る日、転職を決意する日、ゲームにハマる日、大会に出る事を決める日、この5つのポイントには2回干渉する事は出来ません、二重干渉を行うと二つのパワーがぶつかってしまいますから、選択を元に戻すことは出来ませんが、戻したい選択よりも前の選択を大きく変える事で、あなたが変えた選択自体を消し飛ばすと言うことは可能です」
「消し飛ばす…それでは私がゲームにハマった後にゲームに飽きさせるように働きかける事は?」
「それは可能です、ただ人間と言うのは一度ハマってしまうとなかなか抜け出せないものです、あなたがゲームにハマった後にハマらないように働きかけても、ふとしたきっかけでそれが再燃する可能性は高いでしょう、タバコやお酒やギャンブルがやめられないのと似たようなものですね、誕生日を祝う、管理職を断る、転職をするなどは頻繁に起こるものではないですから、問題ありませんでしたが」
バイミーの言葉に私は、頭を働かせる
ゲームにハマってしまった時点で、ゲームをやめるのは難しい
しかし、ゲームにハマると、私は彼女とは別れることになってしまう
ゲームにハマる前の選択を、上手く選ぶ事が出来れば、ゲームにハマると言う選択肢自体が消しとぶ
選択を消し飛ばす為には、ゲームより別のなにかに熱中している必要があるかもしれない
しかし、熱中したら私は彼女の事を考えられなくなってしまう
これはどうしようもないのではないか?
私は映像をチェックしながら、改変ポイントを探し続けた

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