可能性のバイミー

360回転

あなたのやりたかった事はなんですか?

私は最後の干渉ポイントについて考えていた
正直な話をすると、私の目的は今の時点で80%程達成されている
お金と友と彼女の3つを手に入れる事が出来たのだ、私がこれ以外に欲しいものと言えば、夢を叶えると言うことだけであろう
私の夢は3つあった
10代の頃の夢は野球選手になる事、20代になってからは画家になる事、そして30代以降はプロゲーマーになる事であった
しかし夢と言うのは本当に難しいもので、おそらく今残っている29回の干渉を全部使ったとしても、叶える事は難しいだろう
夢と言うのはきっかけやタイミングも大事だが、普段からチャンスを掴みに行けるように準備をしておく事の方が、なによりも大事ではないかと感じる
つまり、ターニングポイントに干渉した程度では、到底覆せるものではないと思うのだ
私は、あと一歩で活躍できたかもしれないと、手答えを掴んだ経験すらもないのだ
つまりそれは、分岐点自体が存在していないと言う事で、どうしようもないお話なのである
10代の野球選手に関して言えば、あの頃に戻ってやり直しが出来たとしても、上手くいかない可能性の方が高いだろう
20代に目指していた画家に関してもそうだ、戻って全力を注いだとしても上手く行く保証はない
ゲームにしても同じで、30代以降は徐々に反射神経的な面で衰えていくとも聞くし、30から目指すのは物凄い努力が必要になる
私は自身が輝ける最善の未来について考えつつ、再び人生の映像をチェックしていた
それにしても不思議なものだ
この場所に居ると本当に時間の感覚がおかしいと感じる
こんなに考えたり、映像をチェックしたりして時間を浪費していると言うのに、今だに時計の短針は文字盤を1周しかしていなかった
悩む私にバイミーが声をかけてくる
「西村さん、決まりましたか?あなたが変えたいと願う過去のターニングポイントは」
バイミーの問いかけに私は答える
「決まりません、せっかくですから、夢見ていた自分に近づく干渉をしたいのですが、なかなか良さそうな場所が分からなくて」
「なるほど、夢見ていた自分ですか、西村さん、あなたのやりたかった事はなんですか?」
「私がやりたかった事は私の人生を見ていたあなたなら分かるとは思いますが…やはり野球選手か、画家ガカか、プロゲーマーですかね」
「確かに、あなたは10代の頃は野球ばかりでしたね、しかし大人になる頃にはそれも諦め、昔から好きだった絵を描くことへと夢を変えた、まぁ29歳以降は全くかかなくかかなくなってしまいましたが」
「そう、あのまま画家を目指していたら、また違ったのかな〜なんて思ったりもするんだけど、バイミーから見てどう思いますか?」
「うーん、私は芸術とかはよくわからないのでなんとも言えませんが、競争率が高いのでやはり難しかったのではないかと、それにしても西村さんがプロゲーマーになろうとしていたとは知りませんでした、私はあなたがただ、人生の息抜きにゲームで遊んでいただけのようにしか見えませんでしたから」
バイミーの痛い指摘に私は私なりの言い訳を並べる
「外から見たらそうでしょうね、真剣にゲームをしていたと言っても、はたから見たら遊んでるだけにしか見えませんし、それにプロゲーマーを目指し始めたのには私なりの考えがあってですね」
「考えですか」
「はい、私は元々は野球選手がやりたかったじゃないですか、だけど野球選手は大人になるにつれて望みが薄くなってしまう」
私の台詞にバイミーは頷きながら言った
「まぁ肉体的にも衰えていきますからね」
「そうです、世の中にはやり続けていればいつか成功するみたいな励ましの言葉がありますけど、私はあれを信じていないんですよ、50になるまで野球をやり続けて「いつかプロの舞台で活躍したい」と言っていても現実問題難しい話じゃないですか?」
「まぁ野球は肉体を酷使しますからね、活躍出来る期間には限りがあるかもしれませんね」
「そうです、それでも画家に関して言えば、若い人から年寄りまで幅広いじゃないですか」
「なるほど、それで画家を目指す事にしたのですね」
「はい、でもこの世には画家を目指して毎日ひたすら絵を描いてる人が沢山たくさん居ます、その中には、とても上手いのに評価されていない人達も一定数居て」
「まぁ上手いから必ず支持されると言うものでもないですからね、支持されてるのは上手い人ばかりではありますけど、死んだ後に評価されたりするような事もあったりしますから」
「そうです、そして私はAIブームが来た時に、今後は更に厳しくなりそうだと判断して、プロゲーマーを目指す事に決めたのです」
私の話を聞いてバイミーは首を傾げかしげながら言った
「でも、プロゲーマーも甘い世界ではないでしょう?どうしてあなたはそこに勝算を見出したのですか?」
「確かにプロゲーマーも厳しい世界ですよ、みんなゲームに物凄い時間を費やして、物凄い熱量で勝負をしかけてくる、ただゲームは100%実力の世界、絵のように誰かに気に入ってもらえずとも活躍が出来る世界です、外部要因によって判断されるのではなく、己の力だけで全てが決まってる気がして、私はそこに魅力を感じたのです」
「なるほど、確かに、誰に認められずともゲームは勝ちさえ得られたら、やっていけそうなイメージはありますね、スポンサーが付かなくとも大会の賞金は得られる訳ですから」
「そうなんですよ、しかもゲームは新しいソフトが出たりもする、新しいソフトが出るとプレイヤー達はまた1から一斉にスタートする事になるんです、決まったゲームをやり続ける他のスポーツとは違って、プロゲーマーには後追いの余地が残されていると思うんです」
私の言葉にバイミーは頷きながら言った
「なるほど、ちゃんと考えがあってゲームに励んでいたのですね、それでは次に狙うターニングポイントはプロゲーマーに繋がる未来を探してみては如何ですか?」
バイミーの言葉を聞いて、私はプロゲーマーになる為の干渉ポイントについて考える
映像を見ながらしばらく考えていると、良さそうなターニングポイントを見つけた
私はバイミーに4回目のお願いをする
「バイミー、私が43歳のタイミングで新しく配信が始まるFPSのゲームがあるはずだ、このゲームはリリースされてから一年後大きな大会を開くはず、ゲームが配信されたばかりの時期の私に干渉して、このFPSにハマり、大会に出場する未来を引き寄せて欲しい」
私のお願いを聞いて、バイミーは微笑みながら言いました
「分かりました、ただこの願いを聞く為には寿命が二年分必要になります」
「二年分?」
私の問いかけにバイミーは丁寧に説明してくれる
「はい、FPSにハマるように干渉したからと言って、FPSにハマってるあなたが必ず大会に出場する訳ではない、FPSを始めさせる干渉と大会に出場させる干渉はセットにするのが難しいでしょう」
「なるほど」
少しだけ頭を働かせる
80までの寿命が79になる
80の方がキリが良いいいとは思うのだが、この際仕方がない
こんなチャンスは本当にないのだ、1年分多めに使うぐらいは大丈夫であろう
4年分よりは5年分の方がキリは良いいい気がするし
私はバイミーの提案を受け入れる事に決めた

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